レベル99のおままごと

それぞれの日記（ロボット318号）

　ロボット318号の日記

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　　――単語月――日

　主を失って200年が経った。我々ロボットは秘密基地の修理と、死んでしまった科学者たちの真似事を繰り返した。

　情報ばかりが蓄積されるが、それだけだ。我々ロボットには発想というものがない。なので、情報を元に進むはずの次のステップが分からない。

　ロードマップという概念が我々にはない。ただ、命令オーダーに従う。

　そのためだけに創造されたのが我々ロボットだ。

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　モンスターの暴走の生き残り、冷凍保存されていた幼き科学者が目を覚ました。

　秘密基地は年功序列制。なので、この方が支配者マスターとなる。

　どのような命令にも従う。我々はマスターにそう告げた。

　命じられるままに炊事・洗濯・掃除を行う。

　部屋を作り、模様替えも行った。

　ぬいぐるみ、という綿の玩具を作るのが大変だった。

　作り方が分からず、『動物のデータを元に作ればいいんじゃない？』と言われ作ったのだが、完成品を見せたら叱責を受けた。

　リアルすぎる、と言われた。

　マスターはファンシーなものを、と言う。

　ファンシーが分からない。

　我々に頭の悩ますマスターは自らでぬいぐるみ作成を実行した。

　両手の指10本出血させながらも、それは完成した。

　それで満足したのか、マスターは我々にぬいぐるみ作りの命令オーダーをキャンセルした。

　自分で作るのも醍醐味だと言う。

　200年前に死んでしまった先代支配者マスターの顔が浮かんだ。

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　マスターは夢で見た世界を再現したいと言った。

　だが、その再現方法が難しく、長い道のりになると言う。

　その第一歩が特殊撮影ドラマ――特撮だと言った。

　道半ばで私は死んでしまうかも、いやきっと死ぬのが先だろう。

　それでも、やり遂げたいのだ――メガホンを片手に言う。

　我々ロボットにはマスターの言っていることが分らない。

　だが、それが命令オーダーというのであれば従う。

　それが、我々の存在意義であり、喜びなどだと科学者たちが教えてくれた。