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07 神様からの手厚いビンタ
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更に1か月が経った。
部屋には散乱した紙ばかりが見える。
どれも破られた後がある。
何があったのだろう?
覚えていない。
2/3
一週間後、私は漫画を描いている。
4コマ漫画だ。
黙々と、習字のように4コマ漫画を描いては並べている。
キャラクターたちは、ほのぼのと笑っている。
幸せそうに、幸せそうに。
…………憎いとは思っていない。
私は私自身の惨めさに絶望していた。
4コマ漫画は、まだ増える。
…………。
…………kるえあいべrkヴぉえあヴぉあえおれpれあlぼkちべあおprkbぺあr―――――
(その先を私は憶えていない)
3/3
目が覚めた。
どうやら三日間、寝てしまっていたようだ。
クローン人間1号・2号、そしてロボットたちが傍にいた。彼らの顔を久しぶりに見た気がする。2号の伸長が私の記憶の2号よりも、大分伸びている気がする。
かなり泣かれた。特に2号が顕著で、涙の滝を作っていた。
事情を訊くと、どうやら私は謎の奇声を発した直後、バタリと失神してしまったようだ。
彼らにはかなり心配をかけてしまっていた。
私は謝罪した。彼らは許してもらう条件に特撮を創りたいと言った。
ハテナマークが浮かんだ。これまで一度も、彼らからお願いされたことなどなかったからだ。クローン人間たちなら分かるような気がするが、ロボットも一緒にお願いしている。
疑問の渦に飲まれる中、1号が説明してくれた。
私の失神後、その原因を調べようとした彼らバラバラに破かれた紙を調べた。バラバラになった紙の元の一枚へと繋ぎ合わせる作業を繰り返し、5冊の本が生まれた。
漫画を修繕したのだ。彼らは修繕した漫画を読みこんだ。この中に私がおかしくなった原因があるのではないかと思ったからだ。
そして、その漫画の内容に感動した。それは1号と2号だけでなく、ロボットもだった。
ロボットは漫画の内容よりも、それを創り上げるためにかけた時間・労力、そして私の精神力に感動してくれた。
漫画というものを知らない人にとって、私の下手な漫画は心を震わせるものだった。
クローン2号は『自分もこんな人になりたい。そして、特撮の中なら嘘でもこの人になれるのですか?』――そう思い、目覚めた私にそのまま伝えた。
私は返事出来なかった。
涙が溢れて嗚咽ばかりを出していたからだ。
承認欲求って醜いものだとばかり思っていたのだが、ここまで嬉しいことだとは思っていなかった。
泣きながら2号に言葉を返す。
私は『なれる、なれるよ~』と何度も言ったのだが、上手く言葉に出来た自信がない。
そして、2年後。
最後のシーンを撮り終え、クランクアップした。
――私は異世界で『特撮』を創り上げることが出来たのだ。
更に1か月が経った。
部屋には散乱した紙ばかりが見える。
どれも破られた後がある。
何があったのだろう?
覚えていない。
2/3
一週間後、私は漫画を描いている。
4コマ漫画だ。
黙々と、習字のように4コマ漫画を描いては並べている。
キャラクターたちは、ほのぼのと笑っている。
幸せそうに、幸せそうに。
…………憎いとは思っていない。
私は私自身の惨めさに絶望していた。
4コマ漫画は、まだ増える。
…………。
…………kるえあいべrkヴぉえあヴぉあえおれpれあlぼkちべあおprkbぺあr―――――
(その先を私は憶えていない)
3/3
目が覚めた。
どうやら三日間、寝てしまっていたようだ。
クローン人間1号・2号、そしてロボットたちが傍にいた。彼らの顔を久しぶりに見た気がする。2号の伸長が私の記憶の2号よりも、大分伸びている気がする。
かなり泣かれた。特に2号が顕著で、涙の滝を作っていた。
事情を訊くと、どうやら私は謎の奇声を発した直後、バタリと失神してしまったようだ。
彼らにはかなり心配をかけてしまっていた。
私は謝罪した。彼らは許してもらう条件に特撮を創りたいと言った。
ハテナマークが浮かんだ。これまで一度も、彼らからお願いされたことなどなかったからだ。クローン人間たちなら分かるような気がするが、ロボットも一緒にお願いしている。
疑問の渦に飲まれる中、1号が説明してくれた。
私の失神後、その原因を調べようとした彼らバラバラに破かれた紙を調べた。バラバラになった紙の元の一枚へと繋ぎ合わせる作業を繰り返し、5冊の本が生まれた。
漫画を修繕したのだ。彼らは修繕した漫画を読みこんだ。この中に私がおかしくなった原因があるのではないかと思ったからだ。
そして、その漫画の内容に感動した。それは1号と2号だけでなく、ロボットもだった。
ロボットは漫画の内容よりも、それを創り上げるためにかけた時間・労力、そして私の精神力に感動してくれた。
漫画というものを知らない人にとって、私の下手な漫画は心を震わせるものだった。
クローン2号は『自分もこんな人になりたい。そして、特撮の中なら嘘でもこの人になれるのですか?』――そう思い、目覚めた私にそのまま伝えた。
私は返事出来なかった。
涙が溢れて嗚咽ばかりを出していたからだ。
承認欲求って醜いものだとばかり思っていたのだが、ここまで嬉しいことだとは思っていなかった。
泣きながら2号に言葉を返す。
私は『なれる、なれるよ~』と何度も言ったのだが、上手く言葉に出来た自信がない。
そして、2年後。
最後のシーンを撮り終え、クランクアップした。
――私は異世界で『特撮』を創り上げることが出来たのだ。
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