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最果てに俺を捨てようとしてたお兄さんと最果てに辿り着いた俺 ○

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魔王国には本来、いつぞやの通行手形があろうが簡単に入れるものではないらしい。
見せたら門番へ鼻で笑って出直してこい、と言われたがまずはちら、と視界に入った王族サインが奴らの興味を引き、次になぜかレインを見てざわついて最終的に丁重に入国させてくれた。

「レインってなんなんだろうな?」

「?、レオンのお嫁さん」

「そっかぁ」

なんか、レインが法外に強い件含め隠されたルーツ的な物を感じたがきっとこの話はここで流れて終わる。
当人がなんの興味も無さそうに俺にまとわりつきすぎて半分引きずられてるくらいなので。

「……」

「イリア?」

スノウが露店を見て楽しそうにしている横で、ずっとイリアは難しそうな顔だった。

====

「和平シリアル付きブロマイドは一週間ほどご予約が詰まっておりまして、お客様方も予約者としてお名前を控えておきますね」

「はいどーも」

俺個人の話をすればカケラもそんな記念品のカード欲しくないんだけれど、案外人気商品らしい。
有名画家だかが書いた勇者と魔王が手を握って笑顔のカードを見ていると、なんだか確かにアホらしくて争いとかどうでも良くなる緩さを感じていいかもしれない。

「つかコレ買うお小遣いも村長くれてないじゃん、お使いじゃなくてただのパシリなの?」

「……」

「なぁ?」

脇腹をつつくとイリアははっとしたように俺を見て、少し困った曖昧な笑顔を見せてきた。

「あ、あぁ。……そうだな」

「……」

====

今回は一週間以上宿泊が確定している上、せっかく旅の終着点なのだからという事で、
案内人オススメの崖を切り拓いた中央に建てた絶景の見晴らし、馬鹿でかい部屋数も人数分以上あるようなとんでもなく豪華な宿をとってしまった。

イリアが上の空だったのでつい久々に好き放題してしまったけれど、
各部屋のクソデカいベッドを見ても思い詰めた顔をして一体どうしたんだろう。

この辺りは本当に寒いので、もしかしたら体調でも崩したのかも知れない。

夜、若干の下心と一緒に心配でイリアの寝室へ遊びに行く。
イリアは物思いに耽った表情でじっと窓の向こうに映る丸い月を眺めていた。

「起きてたんだ」

「……まぁな」

その真剣な様子に、手を出すにしてももう少ししてからにしようと思い静かに隣に座る。
もたれかかっても特にイリアがそれについて何か言ってくることはなかった。

「そろそろ、サン達のところに戻ろうと思う」

「……あぁ」

それでちょっと悩む、というか寂しくて切り出し方でも困っていたんだろうか。
俺にとっては結構楽しい旅だったのでイリアも同じように思ったからこそ、別れを惜しんでくれているのだと思うと感慨深いものがある。

「そっか」

「あぁ元々、最果てにお前を捨てるのが、俺の目的だったからな、
実際最果ての魔王国に着いてまだ居座る理由はない」

正直イリアが思い悩む理由として、この展開はちょっとは予想していた。
やっぱり寂しいけれど、イリアを引き留める権利も口実もないのでまたそっか、とだけ返事をする。

「けど転送石とかどうすんの?俺今や2秒で世界巡るからすぐそっち行けるんだけど」

「俺が持って帰ってそのまま破壊すれば良いだろ」

「本気の力技」

思わずふひゃひゃ、と笑いが出て、そういえばこの笑い方を腹が立つからやめろと言ってきたのもイリアくらいなので本当にこの世で唯一レベルで珍しい、俺に厳しい奴だったなぁ、とすでに懐かしくなる。

「……」

「……?おい、何をしている?」

隣の、しっかりした体勢で座って簡単に崩れないのを無理やりのしかかって寝かせ、首筋を舐める。

「んー?なんか、寂しい感じのお別れって嫌かなって?
せっかく楽しい旅だったんだしさ、最後までイリアにレオンハルトくん愉快な馬鹿だったな、って思い出して欲しいっていうか」

馬乗りになるとイリアは驚いた目をしていたけれど、く、と喉を鳴らして笑い俺の顎を掴んで唇へ親指を添えてきた。

「思い出したくない程馬鹿馬鹿しい旅だった」

イリアの目も口調も、存外優しくて、やっぱり素直じゃないなと苦笑する。

目を見つめ合って胸に込み上げてくるものに従いイリアの唇へ噛み付くような激しくキスをする。
俺の体を撫でていた大きな手を掴んで指を絡め、ベッドの上へ押さえつけるとお返しに手を握り返された。

服の中へ手を突っ込み、形のいい膨らんだ硬めの胸筋をするする撫で上げ指で感触を堪能し、少しイリアが身を捩った頃一旦顔を離す。

「寂しい?」

「せいせいする」

お互い、キスで気持ちよくなって息を整えてるし、口周りとかベタベタなのがおかしくて拭いながら笑った。

服を脱ぎ捨て、裸で抱き合う。

少しの寒さを感じているとさりげなく毛布を被らせてくれるのが優しい。

「もうちょっと惜しんでよ、こんな絶世の美青年もう一生お目にかかれないよ?」

「…離れた途端お前は死んでそうだし、……。」

軽口のつもりで言おうとしたのだろうが、本当に有り得る事なのであまり笑えない。
イリアもそれに気づいたのか慌てて口をつぐみ、深刻そうな顔をしていた。

「あ、あー……、ほらイリア、集中して」

明日の事は明日考えればいいし、と仕切り直しもう一度やらしい雰囲気に戻ってもらうため慌てて胸に口をつけ、じゅるる♡と空気を含んで尖りを吸い上げる。

一緒にゆるく頭をもたげる竿を上下にしごいて弄ると、鼻にかかった声と息づかいが聞こえてきた。

「ふ、……っ」

「あま」

乳首を甘噛みした瞬間とろ♡とミルクが溢れ出す。

ほんのり甘くて美味しいそれを口に含んだままイリアに飲ませると、イリアは俺と舌を絡めながらも少し嫌そうにしていた。

「気持ちいい?ずっとミルク出てるけど」

「……うるさい」

目をじっと覗き込む、恥ずかしそうに逸らされてかわいい。

感情が顔に出てしまっていたのか、イリアは俺の頬を掴んで引っ張り、変な顔だと笑ってきた。

隣に寝かされ、抱えるように俺を押さえると人の陰茎を掴んでくちゅくちゅ撫で始め、
代わりに足を開かせその中央へ指をやると熱い肉の縁は狭そうにキツく締まりながらもなんとか俺を受け入れた。

「……っ、ぐ、う……♡」

「口開けて」

顔を背け唇を噛み、快感に耐えようとしているこの顔も見納めかと思うともう少しちゃんと目に焼き付けておきたいと思った。

後ろ髪を撫で、何かに耐えるよう寄せられた眉間の皺をつつく。

「ここ、シワになるよ」

「だからどうした」

「俺が気になる」

額にキスするとイリアは俺をじっと見つめ、面白くなさそうに額にデコピンをしてくる。

「痛っ、……えっ?なんで?」

「レーヴェの癖に調子に乗るな」

いよいよ「俺」が蔑称になったことに驚いているとイリアは何がおかしいのかまた笑って、
それから俺の腰の上に脚を乗せ自分の後孔に俺のをくちゅ、とあてがった。

「イリア」

「……ん」

もう一度指を絡めて手を繋ぎ、そのすぐあと下半身が熱いぬるぬるの粘膜に覆われる。

「……っ、う…♡」

トロトロのナカは波打つように痙攣し、優しく俺のを包み込んでくれる。
肉襞がくねくね陰茎にしゃぶりつく感触に気を抜くと簡単に射精してしまいそうで、
無意識のうちに腰を振ってナカを突き上げるとじゅぽじゅぽ肉のぶつかる音がするたびに、イリアの低い声とがして腹に擦り付けられた太い竿から濃い先走りが溢れて腹にかかった。

「っ♡ふ、ぐぅっ、……っ♡」

イリアは俺のヘソへ裏筋を擦り付けるのが良いらしく、腰を振って肉棒を何度も当ててくるものだから少しくすぐったい。
視界の端で小麦色の肌が汗ばんで綺麗な光沢を放っているのがいやらしくて、少し歯を立ててその首元に噛み付くとまたイリアの胸からどぷ♡とミルクがこぼれてきた。

「乳首気持ちいい?」

「……っ、あ゛っ……♡ふ、……!」

胸を摘んで軽く引くと蕩けるナカが脈打つ代わりに睨まれる。

謝罪の代わりにどんどん狭くなるナカを突き上げると、しこりを掠めたショックでイリアは低い声で悲鳴と一緒に丸まって俺のヘソ目掛けてびしゃびしゃと大量の精を吐き出した。

「あっ、こら、……っ」

ナカが搾るようキツく陰茎にまとわりつき、そこを数往復すると気持ちよくて耐えきれず俺も射精してしまう。

「……っ、ぐ、う、……っ!?♡」

イリアは俺のを受け止め、目を見開きベッドのシーツなんて握ってその感触に耐えていたけれど、やがてそれが落ち着くと俺の上にそのままべちゃ、と寝転んで身体を押し潰してきた。

「腹、ベタベタなんだけど?」

「……」

自分が出したものを忘れていたのか少し体を起こすと嫌そうにイリアは自分の飛沫が糸を引いているのに顔を顰めて、それから雑にシーツを引っ張って腹をゴシゴシ拭いてそのまままた寝転んできた。

「余計なことしたから疲れた」

「えっ、まさか今の文句俺に言った?」

「あぁ」

驚いたけれどなんだかそれが馬鹿馬鹿しくて笑って、しばらくすると先にシャワーを浴びてこいとベッドから追い出される。

最後なんだし一緒に、とか言おうと思ったけれどなんだかこんな風に明日もその先も続きそうなまま別れるのも悪くないかな、と思い直して1人で浴室へ向かった。

====

交代でイリアがシャワーを浴びに行って、1人静かな部屋に取り残されると改めて少し寂しくなった。
そういえばさっき、イリアは空を見上げて月を眺めていたっけと思い出し少し窓を開ける。

「……えっ」

ある意味いつも通りではあるんだけれど、なぜか落ちないよう嵌め込んであった鉄格子が一部だけ何故か錆びて腐っていたようで少し押すとバキ、という破壊音と一緒に外れて地面に落ちていく。

あ、結構ここ高い。
それはそうだ、絶景の見晴らしとか言われて最高層だかを俺が借りたんだっけ。

今はイリアだってシャワー中だし、スノウもレインも近くにいない。

慣性と重力に従ってバランスを崩し、体が落ちるだけの俺にはこれ以上どうしようもなさそうだ。

どう考えても本気で間に合わないので「今度は必ず声を出す」とか軽率にした約束を破ろうが、今更イリアを呼んで僅差で手遅れになるトラウマを残しても悪いかなぁ、諦めようかな、
……とか考えたところで、
冷静に考えて絶対絶対痛いし、うっかり生きながらえてイリアにめちゃくちゃ怒られるリスクを想像した。

(ついでに言えばレインやスノウどころかアダムやシルヴァあたりもなんか怖い、死後も尊厳を破壊してきそう)

「たすけっ……」

色々嫌で、珍しく諦め悪く助けを求めようとしたが驚きで息を吐き切った肺では満足な声が出せない。
ダメだったかな、とまた思った瞬間、何かを掴もうと伸ばしていた手を逞しい褐色の腕が掴んで強く引いてきた。

腕はものすごい力で俺を振り回すように部屋の方へ引き摺り込み、その瞬間俺に時間が戻ってきたように目まぐるしく風景が動き勢いのまま床に叩きつけられる。

「ぐえっ!?」

結構激しく体を打った、痛い。

けれどもしかしたら痛いと思う事すらできないくらいもっと痛い思いをしていたかもしれない、
助かったのだと気づくと流石に今回は怖かったので、心臓がばくばくして、言葉も上手く出てこなかった。

「お前は、なんでいつも……っ!?」

身体を起こすとイリアも焦っている様子で声を荒げつつ怪我はないかと手や顔を確認される。

「あ、りがとう」

「……無性に、嫌な予感がした」

そしてイリアは頭を抱え大きく溜息を吐いた。

「……っ、考えないようにしていたんだ。
どうせお前は放っておいたら死ぬからせめて、生きてるうちにさっさと離れて後は適当に楽しくしてる筈、そう思い込もうとしたのに……
目の前でこうもあっさり死にかけると……あぁ、くそ、見殺しにするみたいでやっぱり気分が悪い」

俺が何処かで死にかけてもそれは俺がアホなだけで、イリアは何も悪くない。

それどころかこれまで何度も助けてくれたし今回だって伸ばした手を掴んでくれた。

もうそれだけで十分ありがたい命の恩人なのにイリアはまだ俺のため悩み、シャワーを浴びていたままの濡れた髪をガシガシを掻き、少し唸ってから大人しくなった。

「イリア?」

「……」

それから頭を上げ、仕方ない、とこっちを見てくる。

「お前を始末するのに手は汚したくない、が捨てることも忘れるのも満足に出来ない。
……ならせめて、お前がクソみたいな行動をしないか見張ってる」

嫌そうな顔。

「ん?」

こっちはさっきまで死にかけてて、いまだにテンパっているくらいなので状況がうまく飲み込めない。

首を傾げるとイリアは諦め、自分に言い聞かせるように、俺にわかりやすく言い直した。

「……レーヴェも村へやっぱり連れ帰って、手元に置いておく」

「俺は物か?」

「そうでもしてないとお前は死にかけるし、お前の暴走で淫蕩村が出来上がるだろ」

「淫蕩村……」

酷い言われようだが、俺はイリアを引き留める権利が別にないとか言ったのにイリアは面倒見が良すぎて、捨てる対象だった俺の身を案じ結局今後とも見守ってくれるつもりらしい。

「イリア」

「嫌なら、勝手にその辺で朽ちろ」

「ありがとう」

何故か、俺が喜ぶとは思っていなかったらしくちょっとイリアは照れくさそうに目を逸らした。

「これからもよろしくな?」

俺が思っているより、俺はこの旅やみんなとの関係、やりとりを楽しんでいるのかもしれない。

明日からもイリアと軽口を叩けるんだと思うと嬉しくてあっさり寝ついてしまい、翌朝イリアの脇腹をつつき続けた。

鬱陶しかったのか制裁として、現場を見たスノウの顔が青くなるくらい指を捻じられたのに俺は笑っていた。

====

日々閲覧ありがとうございます。
明日より最終話までムーンに追いついたため1日1話 19:00頃更新予定にて公開させていただきます。
引き続きよろしくお願いします。
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