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番外短編詰め合わせ:本編の合間合間のどうでもいい話

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【72話 スノウくんの1日】
「スノウ犬(いぬ)」

スノウが謎の白い子犬を抱いている、ふわふわの毛並みで可愛い。

「…この犬は?」

「スノウ犬だ、忠犬で聞き分けがすごく良いしよく懐く。
好物は粉ミルク、ビスケット、レオ様。
特別な犬だから一ヶ月に一枚のビスケットで生きるんだ」

「…聞き分けのいいよく懐く忠犬を月一のビスケットで飼おうとするなよ…可哀想だろ…ほら、おいでー、スノウ犬」

スノウにこの子犬を任せてはいけない。

名前を呼ぶとスノウ犬は嬉しそうに鼻を鳴らして駆け寄ってきて、俺の前でコロコロ転がってお腹を見せてきた、かわいい。

まだ子犬だし、旅に連れていくのも可哀想だなぁと思って実家で飼うことにして、シルヴァに預けたら「すぐ犬とか拾いたがる」って初めてなのにめちゃくちゃ怒られたけど最終的には飼っていいよ、って言ってもらえた。

「では、いきましょうか?リオン?」

『ガルルルルル』

「痛!?何故突然!こら!やめなさい!」

「スノウ犬はアレでも生まれた時に名付けられた名前を少しは大事にしているからな、急に違う名前で呼ばれたらそれは怒る」

「…そう」

スノウ犬、難しいわ。

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【73話 痴話喧嘩で酔ったイリアとラブラブセックス】
「きっかけ」

「いちごって美味しいよな、結構好き」

レーヴェはそんな事を言いながらドバドバと練乳をかけては苺を口に運んでいて、3つめくらいを食べた時急に咥えたまま頭突きをしてきたので驚いた。

唇に苺が触れ、反射的にそれを食べてしまうと甘い味が口内に広がる。

…なんで先端の方が甘いんだろうな?と、意味と意図のわからない疑問を投げかけてくるだけでこの行為についての說明はなかった。

「何故今、急に突撃してきた?」

「イリアがいちごを食べる度俺とのキスを思い出したら楽しいかなって」

改めてかくにんしても発想も、何が楽しいのかもわからなかったがその得意げな顔が気に食わなくて最後の一つだった皿に残ったのを奪って食べると、さっきは勝手に口に入れたくせに卑しいとかやり口が長男とかうるさく騒いできた。

キスは思い出さないが、キーキーと喚いて苺如きで騒ぐレーヴェの顔は忘れられないような気がして、悔しくて甘ったるい口内を反射的に水で濯いでいた。

====

②『その後』

レーヴェが初めて気持ち悪い寝相を見せてきたのはいつだっただろう。

「……」

 深夜、火にくべられた芋虫のような動きで床をのたうち回っていて、非常に気持ち悪いので無視して背を向けて寝た。
 だが、それからたまにレーヴェは妙な寝相を見せるようになった。

「……っ!?おいレー…寝てるのか!?」

 寝ながら人の耳を甘噛みする、尻を揉む、下腹を撫でる。
 …最悪だ。
 事後でお互い服を着ていないので素肌を直で不躾に触られて不快なことこの上ない。

「……チッ」

 叩き起こそうが一瞬だけ起きてまたしばらくすると同じことをする。
 床に叩き落としても這い上がってまでしつこく仕掛けてくるので仕方なく押さえつけて眠るとようやく大人しくなった。
 以来、レーヴェが隣にいる日は渋々、押さえつけるか同等の効果を発揮する腕枕をして寝ている。

「…で?レオンハルトくん抱き枕は100点中120点超えてる?」

 こっちの事情も知らず、ニヤニヤと頭の悪い質問をしてきたから【マイナス】45点だと素直な感想を伝えたら「低いな」と文句を言われた。

 …マイナス、都合よく聞き逃したなコイツ。

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【74話 レオンがタイムスリップする話】
「終わる世界」

「レオン、何処…?」

どうして彼は戻ってきてくれないんだろう。
トイレを、彼に貸した部屋を、キッチンを、全て名前を呼び探したけれど彼は何処にもいなかった。
探知の魔法で彼の魔素を辿ればすぐに居場所は分かるはずなのに、もしかしたら何処かで怪我をしているかもしれないのに、怖くてどうしてもそれができない。

恐ろしい考えが頭にまとわりついて、それを理解してしまう前になんとか体を動かした。

そうだ、高台行こう。

あそこで彼と出会ったから、きっとまたあの場所に行けば笑って僕の手を握ってくれると思った。
前は初対面で驚いてしまったけれど、もう次は失敗しない。

この一週間、きっと何かを失敗したからこんな事になってしまっているけれど、レオンは優しいから、僕の運命の人だからもう一度チャンスをくれる。
謝って、悪いところを全部直して、
(僕にとっての彼がそうであるように)僕も彼にとって理想の恋人になれるようもっと“ちゃんと”しよう。

走ったせいで足が重くて苦しい。
優しい彼を失望させてしまった自分の愚鈍さに嫌気がさした。
どうして昔から、いつも僕はこうなのだろう、ごめんなさい。

「…あぁ、きれい」

高台に着いて遮るものの何もない景色に目を細めた。

もうすぐ夜が明ける。

====

【なし】
「xxしないと出れない部屋」

・イリア

目が覚めると変な部屋に居た。
白い空間、ベッドの上には眠るイリア。
寝てる、よく寝てる。

「う……」

鼻をつまむと逃げるけどやっぱりよく寝てる。

可愛いので隣に寝転んでキスしながら色々して、途中で目が覚めたイリアもちょっと怒ってたけど結局色々した。

なんか頭の後ろで「ビー」って音が鳴ってたけどよくわからない。

終わってから二人で扉を開けたら目が覚めたけどどう言う夢だったんだろうか。

・レイン

「レオン、起きて」
「ん……?」

ゆすり起こされ目を開ける。
レインだ、今日も瞳孔に全く光が差してないしクマのせいかなんとなく病的な印象がして怖い、可愛い。

「ここ、セックスしないと出れない部屋なんだって」

眠たいけどなんか新しいタイプの誘い方を覚えたらしい。
可愛いなぁと撫でくりまわしてキスしてたらレインも嬉しそうに擦り寄ってきて、致したら目が覚めた。
…最近、変な夢が多いな。

・スノウ

「…あ、今日もこの夢?」

見慣れた白い部屋、今日もセックスしたら出れるのかな、と思いベッドに寝そべると出口のところに何か看板が出ていた。

「…『100回メスイキしないと出れない部屋』?」

「……」

スノウの顔が赤い。

「あ、あそこに道具も置いてあるから……」

スノウが指さす先には今までなかったヤバい道具、ついでにスノウも全裸に首輪のメス奴隷ルック。

「…頑張ろっか?」

この部屋、相手を選んでルール決めてたんだ。

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【112話 マゾ騎士が終日スライムに搾精されてる回】
『私は町の敬虔な農民信徒の生まれだが…?』

公園で鳩にパン屑を与えていたら、聞き慣れた名前の話題が聞こえてきた。

「あの、スノウくんっているじゃん。一昨日からギルドにいる」

「うん」

「彼は実は亡きウッソ国の王子らしい」

「まじか」

まじか。
俺も知らなかった。

「なんでも婚約した隣国の姫を攫われ一夜で壊滅した母国の復讐の旅をしているんだとか」

「…それでか、あんなに哀しい目をしているのは…」

「あぁ、毎夜亡き祖国のため祈っているらしい」

…昨日の晩のスノウなら、汚い声で喘いでうるさかったから放置したら悲しそうな目をして恥みたいな祈りっていうかおねだりしてきたけど…。

「もしかしてあのチョーカーも」

「あぁ、あの下には敵国の魔導士がつけた呪いの傷跡があってそれがスノウくんを苦しめていると聞いた」

浮かれ変態が首輪だと皮膚を荒れさせるので妥協案で買ったチョーカーだ。

「…幸せに、なってほしいな…」

「……」


宿に帰って、いままでしたこともない靴へのキスを笑顔でしようとしてきたスノウを慌てて髪を引き阻止し、スノウに今幸せか聞いてみる。

「え……♡こ、こんな格好いいご主人様に毎日愛してもらえて、気持ちよくて幸せなこと他にないが……感謝が足りていなかっただろうか?」

控えめに聞いてやっぱり靴を舐めようとしてきたのでまた変なこと覚えたのだと確信する。
靴の代わりに俺も舐められて嬉しい場所を舐めさせたら「幸せですぅ♡♡♡」とか改めてフゴフゴ言ってた。

良かったね、変態(スノウ)の幸せを祈ってた人たち。

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【88話 催淫魔法でマゾ騎士がさらにクソ淫乱になった】
『レオン愛好会』

二人に写真を見せる。

「ほう」

「…なるほど」

レオ様が寝ぼけて上半身裸で、ズレたズボンを上げている写真だ。

一見だらしない所作だが、油断したレオ様の、寝起きで珍しく目つきの悪い表情や、さりげない日常を切り取った写真にシルヴァさんもアダムさんも歓声を上げた。

「…これは、なんとも…あぁ♡だめですよ、坊っちゃま…♡なんとはしたない、私が行って今すぐズボンを直さなくては…っ♡」

「レオンはこんな顔もするんだな」

最終的に今回の写真は一番気に入ったシルヴァさんの元へ渡った。

「人間如き、搾精タンクくらいにしか思ってなかったが…たまには誰かと一緒に眺めるのも悪くないな」

「えぇ、珍獣扱いでシェアされる坊っちゃまを無性に愛しく思います」

「……?」

二人の言うことは少し難しい。
私はどちらかといえばレオ様に愛玩動物として愛でられたい派だ。

「さて、今回も志を共にする同胞のためアダム様のお作りしましたよ」

「…おぉ、かっこいいな!」

シルヴァさんから新しいバッチを貰う。
『レオンハルトくん保護愛好会』公式ピンバッジだ。

「今後とも、このバッジに恥じないよう坊っちゃまを愛で触りつつ生きていきましょう」

「あぁ!これからもよろしく頼む」

「...こちらこそ」

三人で固く握手を交わした。

…なぜかレオ様の『この集まりがもう恥だ』という声が聞こえてきた気がするが、気のせいだろう。

楽しい。

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【113話 逞しいお兄さんが珍しく変なことしてると思ってたら発情してた】
『でも急に噛まれるとビビる』

この間やたら気分が高まっていた時、ヘラヘラたんぽぽを毟っていたレーヴェが無性に気に食わなくて腰に頭を擦り付けてしまった。

「何!?怖い怖い怖い怖い怖い!!!」

やたら怯えて木にしがみついてまで逃げようとしているレーヴェの腰の感触が心地よくてついそれを長くしてしまって、顔を上げるといつもの憎たらしい半笑いとは対極の半泣きでオドオドしている顔と目が合って面白い。

アイツは劇的なバカで発言も非常識かつ失礼なものがかなり多いが、根はスノウやレインに比べて案外まともなのか全員が狂気じみた発言をするとついツッコミに回っている。

こう言う、レーヴェの予想を上回る動きをすればアイツのペースで色々巻き込まれずに済むかもしれない、俺は一瞬勝機を感じて熱に浮かされていたが悪い気分ではなかった。

…この時は気付かなかったが冷静に考えてみれば本物のバカ相手に奇行で敵うわけもない。

そもそも「レーヴェの意表をつけるくらいの奇行」を思いつくはずもなく、ヘラヘラと馬乗りで胸を揉まれ、発情している腹の立つ顔を見ながらもう暴力で解決するのが一番早いんじゃないのか、という最近頻繁に過(よ)ぎる思考を俺はなんとか捨て去った。

====

【なし】
『レインとスノウはお互いに相手を自分よりやべーやつと思っている』

「……」

目が覚めると、レインがレオ様へバターを塗っていた。

レオ様は熟睡していて、腹に香ばしい溶かしバターを塗られているのに仰向けで寝息を立てている。
(ところで寝顔が彫刻のように美しい)

「……あっ」

レインは私が見ていることに気づくとしまったと言わんばかりに声を出すが、無表情にこっちを見ながらなんとレオ様へバターを塗り続けている。

この折れない心は見習いたい。

「ええと……レインは何を」

戸惑いつつも聞くとレインは徐(おもむろ)にバターまみれのレオ様の腹に顔を埋め、少しして顔を上げた。

「……油っぽいの苦手で。レオンに塗ったら少しは食べれるかな、って思ったんだけど…」

「……?」

聞いても理解できない、やはりレインは私の理解の範疇を超えた行動を取る。

「…勿体無いけど…拭わないとダメかな」

「あ、それは勿体無いので私が片付けておく」

私は善意でレオ様の腹を舌で掃除していたのに、途中で起きたレオ様に「寝込みを襲う変態」の上「寝ている人の腹にバターを塗る変態」の汚名と冤罪まで着せられ、突かれたまま宿の周りを徘徊させられてしまいとても気持ちよかった。

「……何してるんだあのアホ達…」

「さぁ?」

2階から呆れて私たちを見下ろすレインとイリアを見て、それは違うんじゃないか、となんとなく思った。
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