殺戮部隊と弟子

水無月14

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復活

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 「おまっ……致命傷を負ったはずじゃ……」
 「治った」
 「嘘つけ! そんなわけあるか!」
 「うん。治ったのは嘘だけど立って動き回れるぐらいには回復はしたから大丈夫」
 致命傷を負ったはずの弟子の復活。それは想定外以外の何者でもなかった。
 偶発魔法で不死者である自身の能力の一部を継いでいるとはいえ、それは常人よりも傷の治りが早い程度でオリジナルである四条要の能力と比較すれば取るに足らないものだ。当然、致命傷を負えば常人と同じく死は避けられない。
 それは四条要だけでなくネイロも同様の見解だったのでいつしか認識として《真実》となっていたが実際のところは違った。致命傷を受けたはずのミラは短時間の間に動ける程度に回復し、あろうことか剣の貸与を要求してきたのだ。
 それは俄かに信じがたい事だったが現実である以上は認めざるを得ない。
 だが、オルレアの剣を「はいそうですか」と簡単に託す気にはなれなかった。
 「悪いがお前にゃ無理だ」
 「剣を貸すのと奪われるの、どっちがいい?」
 「あ……?」
 「ボクに任せてくれればいい」
 「……生意気言いやがって」
 「そりゃカナメさんの弟子だからね」
 殴りたくなるぐらいのふてぶてしさ。かつての自分を見ているかのようだ。
 それゆえミラの心中が手に取るぐらいハッキリと分かる。
 ――だからこそ行かせてやらせたい。
 ミラこそが現状を打破できる唯一無二の存在。自分でも都合が良すぎると思いつつも四条要は弟子を信じることにした。
 「……先に言っとくが、しくじったら殺すからな」
 「要はしくじらなかったらいいだけの話でしょ」
 「簡単に言いやがる。俺でも無理だったんだぞ」
 「だったら認めてくれる?」
 「あ……?」
 「もう半人前扱いしない? ちゃんとボクを対等に扱ってくれる?」
 「お前な……」
 世界の命運が分かつ場面で弟子が口にしたのは場違いにもほどがある言葉。
 流石の四条要もこれには溜息しかでなかった。
 「やれるものならやってみろ。もしできたなら少しは認めてやるよ」
 「ホント?」
 「いいからさっさとやれ。……あとそれは大事なものだから壊すなよ」
 黙って頷くミラ。その目はやり遂げる覚悟に満ちていた。
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