殺戮部隊と弟子

水無月14

文字の大きさ
上 下
12 / 83

偶発魔法

しおりを挟む
 「私は何をすればいいの……?」
 「封印術式に別の術式を上書きしてくれればいい」
 「術式の上書きなんてしたことないわよ。てか、まずそれ犯罪だし!」
 「アホか貴様は! こんな状況で犯罪もクソもあるかよ!」
 魔法術式の上書きそのものはそう難しいことではないので今のミラでも十分に可能。
 ほとんどの場合は打ち消す形で術式はその効力を失うが、ごく稀に“例外”というものが存在し、法律をもって禁止としたのはその例外を危険視したからに他ならない。

 その通称を偶発魔法イレギュラー

 術式を上書きした際に打ち消されることなく奇蹟的に新たな魔法を創出すること。
 そのうちのいくつかは現代魔法理論の礎になったと言われているが、最悪のケースにおいては一夜にして一国が跡形もなく消し飛んだというとんでもない記録が残されている。
 だからこそミラは戸惑った。万に一つの確率で自分がそれに該当してしまうかもしれない。
 加えて法を犯したくないという気持ちも手伝ってミラは躊躇してしまった。
 「聖騎士のじじいが食い止めしている間に早くしろ!」
 「くっ……」
 「死にたいのか死にたくねぇーのかどっちなんだテメェーは!?」
 この女は二度殺す。四条要の苛立ちはピークを迎えていた。
 一刻を争う事態だというのに何を悠長なことをしているのか。
 聖騎士団に入団したばかりの新米だとしてもお粗末過ぎる状況判断能力。
 そんな奴に頼らないといけない現状が歯痒い事この上なかった。
 「わかったわよッ! やればいいんでしょ!? やればッ!」
 ヒステリックに喚いたミラは半泣きになりながら四条要を睨みつける。
 「全部アンタの所為だからね!」
 頭の中がパンク寸前となりながらもミラは半ば捨て鉢同然に覚悟を決めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

(完結)王家の血筋の令嬢は路上で孤児のように倒れる

青空一夏
恋愛
父親が亡くなってから実の母と妹に虐げられてきた主人公。冬の雪が舞い落ちる日に、仕事を探してこいと言われて当てもなく歩き回るうちに路上に倒れてしまう。そこから、はじめる意外な展開。 ハッピーエンド。ショートショートなので、あまり入り組んでいない設定です。ご都合主義。 Hotランキング21位(10/28 60,362pt  12:18時点)

【完結】後妻に入ったら、夫のむすめが……でした

仲村 嘉高
恋愛
「むすめの世話をして欲しい」  夫からの求婚の言葉は、愛の言葉では無かったけれど、幼い娘を大切にする誠実な人だと思い、受け入れる事にした。  結婚前の顔合わせを「疲れて出かけたくないと言われた」や「今日はベッドから起きられないようだ」と、何度も反故にされた。  それでも、本当に申し訳なさそうに謝るので、「体が弱いならしょうがないわよ」と許してしまった。  結婚式は、お互いの親戚のみ。  なぜならお互い再婚だから。  そして、結婚式が終わり、新居へ……?  一緒に馬車に乗ったその方は誰ですか?

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

処理中です...