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2章 呪いの首輪と呪いのおパンツ
呪いのおパンツの手掛かり④
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意識を飛ばしてるリビアを背負って塩まみれで宿に戻ると、それを見たジョニーが発狂した。
「何で塩まみれになってるの!?」
「あ、そこはリビアじゃないのね」
「どうせ変なことでもしてきみに怒られたんだろ」
あながち間違ってないから苦笑いするしかなかった。
「まったく、何をしたんだか。ほら、きみもキレイにしておいで」
「ほーい」
塩まみれの体を流しにシャワーへ。部屋に戻るとジョニーはまだソファーに座っていた。髪が濡れたままだけど隣に座る。
「収穫はあった?」
「んー、何かいろいろ」
おじいちゃんが教えてくれたことをジョニーに話した。うまく伝えられるか不安だけど、そこはさすがジョニーである。私のチグハグな話をうまく整理しながら話を聞いてくれた。
「依頼者を探した方が早いかもね。それとそれを作れる呪術者」
「うまくいくかな」
「さぁ、どうだろう。でも可能性はゼロじゃないだろう?また明日、お店に行くのならもっと詳しい話を聞かないと」
「……うーん、……うん」
「行きたくないの?」
行きたくない、と言えば、そうかもしれない。思い出したくない、助けてくれと、知らない私がまた嘆く。きっとあの不思議な感覚に陥ると思うし、やっぱり自分と向き合うにも、その覚悟が私にはない。
「私がもう一人いるみたい」
「もう一人?」
「自分を知るのが怖いの。きっとろくな話じゃないって私でもわかる。もう一人の私も嫌だって泣いてる」
「ハル」
どうやら震えてたらしく、ジョニーが背中を擦ってくれた。冷えた手が服越しに伝わる。素直になれる、優しい手だ。
「分かってるよ、向き合わないと前に進めないし、【呪いの首輪】も【呪いのおパンツ】も外せないって。でも、怖いよ」
「……ハル」
「ジョニー、怖いことから逃げるのはダメなことなの?」
私の嘆きにジョニーは答えなかった。ただずっと背中を擦ってくれた。私は気づいてる。その答えは私が出すべきであって、ジョニーが決めることじゃない。でも、甘えずにいられない。
「ねぇ、答えてよ」
ジョニーは背中を擦るのをやめて、肩に手を回しそっと抱き寄せてきた。その答えのない優しさに寄り掛かる。
「ジョニーは優しいね」
「そんなことないよ。これしか思い付かないだけ」
「十分優しい答えだよ」
「そう?」
「そうだよ。だからついつい甘えちゃう」
「いいよ、いっぱい甘えて。甘えたなきみも好きなんだ」
「じゃ、甘えよー!」
ジョニーの太ももに頭を預けた。濡れた髪が服を湿らせても、文句を言わずに、嬉しそうに頭を撫でてくる。それが堪らなく心地よくて、自然と喉がゴロゴロ鳴いた。
「優しいのはきみも同じだよ」
「そうでしょ?私ってば女神だから」
「そのワガママで図太い無神経な性格も二癖くらい味があっていいと思う」
「ねぇねぇ、ジョニーさん。それはただの悪口だから褒めるならキチンと褒めて」
「んー、宇宙一かわいいよ」
「アイス食べたいな」
「褒めたらそれ?」
鼻を摘まんできたジョニーにクスクス笑うと、「そういやリビアに何されたの?」と笑顔で質問された。その笑顔と穏やかな空気に釣られて、正直にキスされたとぶちまけた。しまった、リビアの運命分岐が!と焦ったのもつかの間、ジョニーは笑顔を崩さずに聞いてきた。
「そうだ、アイスキャンディを買ってあるんだけど食べる?」
「マジで!?食べる!」
どす黒い雰囲気を纏ったジョニーに気づかない私は、アイスという単語にテンションがうなぎ登り。ジョニーがアイスを取りに立ち上がったあとも、クッションを抱えながら上機嫌にゴロゴロしていた。
「はい、甘えん坊さん。ミルク味のアイスキャンディだよ。あーん、する?」
「あーーん!」
クッションで両手が使えないから代わりにアイスを持って口に近づけてきた。それを頬張ると、口いっぱいに甘いミルクの味が染み渡る。
「おいしい?」
「ん!」
でも人に食べさせるのは難しいらしい。たまに喉奥までグッと押し込まれる。
「ぐぅ」
苦しい声が出て、「ごめん!」と謝りながらジョニーがアイスを引っこ抜く。
「らいじょーぶだよ」
オドオドとした手つきでアイスを持ってきたかと思えば、舌が届く微妙な距離にアイスを置いた。舌を伸ばしてペロペロすると、今度は口に含ませて、そしてまた喉奥にぐっと押し込んでくる。思い切り噛み付きたいけど、それをしようとすると引っこ抜かれてしまう。
めちゃくちゃ焦れったい。でも食べさせてくれてるし。甘えたいと言ったのは私で、その流れでコレだし。
荒くなる息をそのままに、必死にペロペロしてアイスを食べて、ようやく違和感を感じた。
こういうのをリビア御愛用のビデオで見たことがある。女の人が男の人のアレを咥えてチュパチュパ的なやつ。……これチュパチュパしてるっぽくない?気のせい?私の考えすぎ?本物でチュパチュパ的なやつをしたことがないからわかんないけど……
でもまさかジョニーがチュパチュパ……ナイナイ、それはナイ。優しいジョニーが変態的行為に走るとか、絶対にナイナイ。
「はぁ、必死に舐めてる。上手だね、かわいいね。涙目になってるけど、疲れちゃった?」
「ん」
「でもせっかく買ってきたんだから、頑張って食べてね。ほら、こっちも舐めて。このままだと垂れちゃうよ」
「ふぁい」
「うん、上手。ねぇ、もっと舌を出して……そうそう、舐め上げるように…、もうちょっと、……口に含んで」
わざとじゃないと思う。思いたい。思わせて。ジョニーがこんなことを……いや、やっぱり違う。ナイナイ。認めナイ。絶対に認めるものか。
でも一応、リビアが目を覚ましたら……
「ハルは舐めるのも上手なんだね。体が元に戻ったらやりたいことリストに入れとくね。……絶対に舐めてもらうから」
ジョニーが変態になってしまった件について相談してみようと思う。
「何で塩まみれになってるの!?」
「あ、そこはリビアじゃないのね」
「どうせ変なことでもしてきみに怒られたんだろ」
あながち間違ってないから苦笑いするしかなかった。
「まったく、何をしたんだか。ほら、きみもキレイにしておいで」
「ほーい」
塩まみれの体を流しにシャワーへ。部屋に戻るとジョニーはまだソファーに座っていた。髪が濡れたままだけど隣に座る。
「収穫はあった?」
「んー、何かいろいろ」
おじいちゃんが教えてくれたことをジョニーに話した。うまく伝えられるか不安だけど、そこはさすがジョニーである。私のチグハグな話をうまく整理しながら話を聞いてくれた。
「依頼者を探した方が早いかもね。それとそれを作れる呪術者」
「うまくいくかな」
「さぁ、どうだろう。でも可能性はゼロじゃないだろう?また明日、お店に行くのならもっと詳しい話を聞かないと」
「……うーん、……うん」
「行きたくないの?」
行きたくない、と言えば、そうかもしれない。思い出したくない、助けてくれと、知らない私がまた嘆く。きっとあの不思議な感覚に陥ると思うし、やっぱり自分と向き合うにも、その覚悟が私にはない。
「私がもう一人いるみたい」
「もう一人?」
「自分を知るのが怖いの。きっとろくな話じゃないって私でもわかる。もう一人の私も嫌だって泣いてる」
「ハル」
どうやら震えてたらしく、ジョニーが背中を擦ってくれた。冷えた手が服越しに伝わる。素直になれる、優しい手だ。
「分かってるよ、向き合わないと前に進めないし、【呪いの首輪】も【呪いのおパンツ】も外せないって。でも、怖いよ」
「……ハル」
「ジョニー、怖いことから逃げるのはダメなことなの?」
私の嘆きにジョニーは答えなかった。ただずっと背中を擦ってくれた。私は気づいてる。その答えは私が出すべきであって、ジョニーが決めることじゃない。でも、甘えずにいられない。
「ねぇ、答えてよ」
ジョニーは背中を擦るのをやめて、肩に手を回しそっと抱き寄せてきた。その答えのない優しさに寄り掛かる。
「ジョニーは優しいね」
「そんなことないよ。これしか思い付かないだけ」
「十分優しい答えだよ」
「そう?」
「そうだよ。だからついつい甘えちゃう」
「いいよ、いっぱい甘えて。甘えたなきみも好きなんだ」
「じゃ、甘えよー!」
ジョニーの太ももに頭を預けた。濡れた髪が服を湿らせても、文句を言わずに、嬉しそうに頭を撫でてくる。それが堪らなく心地よくて、自然と喉がゴロゴロ鳴いた。
「優しいのはきみも同じだよ」
「そうでしょ?私ってば女神だから」
「そのワガママで図太い無神経な性格も二癖くらい味があっていいと思う」
「ねぇねぇ、ジョニーさん。それはただの悪口だから褒めるならキチンと褒めて」
「んー、宇宙一かわいいよ」
「アイス食べたいな」
「褒めたらそれ?」
鼻を摘まんできたジョニーにクスクス笑うと、「そういやリビアに何されたの?」と笑顔で質問された。その笑顔と穏やかな空気に釣られて、正直にキスされたとぶちまけた。しまった、リビアの運命分岐が!と焦ったのもつかの間、ジョニーは笑顔を崩さずに聞いてきた。
「そうだ、アイスキャンディを買ってあるんだけど食べる?」
「マジで!?食べる!」
どす黒い雰囲気を纏ったジョニーに気づかない私は、アイスという単語にテンションがうなぎ登り。ジョニーがアイスを取りに立ち上がったあとも、クッションを抱えながら上機嫌にゴロゴロしていた。
「はい、甘えん坊さん。ミルク味のアイスキャンディだよ。あーん、する?」
「あーーん!」
クッションで両手が使えないから代わりにアイスを持って口に近づけてきた。それを頬張ると、口いっぱいに甘いミルクの味が染み渡る。
「おいしい?」
「ん!」
でも人に食べさせるのは難しいらしい。たまに喉奥までグッと押し込まれる。
「ぐぅ」
苦しい声が出て、「ごめん!」と謝りながらジョニーがアイスを引っこ抜く。
「らいじょーぶだよ」
オドオドとした手つきでアイスを持ってきたかと思えば、舌が届く微妙な距離にアイスを置いた。舌を伸ばしてペロペロすると、今度は口に含ませて、そしてまた喉奥にぐっと押し込んでくる。思い切り噛み付きたいけど、それをしようとすると引っこ抜かれてしまう。
めちゃくちゃ焦れったい。でも食べさせてくれてるし。甘えたいと言ったのは私で、その流れでコレだし。
荒くなる息をそのままに、必死にペロペロしてアイスを食べて、ようやく違和感を感じた。
こういうのをリビア御愛用のビデオで見たことがある。女の人が男の人のアレを咥えてチュパチュパ的なやつ。……これチュパチュパしてるっぽくない?気のせい?私の考えすぎ?本物でチュパチュパ的なやつをしたことがないからわかんないけど……
でもまさかジョニーがチュパチュパ……ナイナイ、それはナイ。優しいジョニーが変態的行為に走るとか、絶対にナイナイ。
「はぁ、必死に舐めてる。上手だね、かわいいね。涙目になってるけど、疲れちゃった?」
「ん」
「でもせっかく買ってきたんだから、頑張って食べてね。ほら、こっちも舐めて。このままだと垂れちゃうよ」
「ふぁい」
「うん、上手。ねぇ、もっと舌を出して……そうそう、舐め上げるように…、もうちょっと、……口に含んで」
わざとじゃないと思う。思いたい。思わせて。ジョニーがこんなことを……いや、やっぱり違う。ナイナイ。認めナイ。絶対に認めるものか。
でも一応、リビアが目を覚ましたら……
「ハルは舐めるのも上手なんだね。体が元に戻ったらやりたいことリストに入れとくね。……絶対に舐めてもらうから」
ジョニーが変態になってしまった件について相談してみようと思う。
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