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「ライラ、家の進行状況はどう?」
「小さい家ですので、そんなにかからないかと。」
「そうなの?」
「はい。私達には使用人もいませんし、家族で過ごせればそれで良いという事になりました。」

それは、私の前世の様な暮らし。
自分で掃除して、食事を作って、庭造りして、愛する人を待つ。

「…羨ましいわ。」
「え?」
「何でもないのよ。完成したら遊びに行っても良いかしら。」
「小さい所ですが、ぜひ。」
「ありがとう。楽しみだわ。」

そこへ、メランがやってきた。

「プルメリア様。スターチス様からお手紙です。」
「お兄様から?」
「はい。」
「何かしら。」

私はその場で手紙に目を通す。

「…まぁ!赤ちゃんが産まれたって!女の子だそうよ。」
「おめでとうございます。」
「会いに行ってもいいかしら。…でも、すぐに行っても疲れさせてしまうだけよね。落ち着く頃が良いわ。ジェイクにも相談しましょう。」

私はジェイクの帰りを待った。
侍女から、ジェイクが帰ったと伝えられた時は、急いで出迎えに行った。

「ジェイク。おかえりなさい。」
「ただいま。そんなに急いでどうした?」
「お兄様から手紙が、」
「スターチス?今日は会っていないな。」
「女の子が産まれたそうです!」
「それは、めでたい。祝をしなくては。」
「はい。1ヶ月くらいして、落ち着いてからお祝いに行こうと思うのですが、どうですか?」
「産まれたらすぐに祝いを出す物と思っていたが、1ヶ月おいても良いものか。」
「リカーナお母様へ確認しましょう。」
「そうだな。」

私達は、まだ夕方と言うこともあって、すぐに確認へ向かった。

「確かに産んですぐに来られるのは疲れていたし、眠かったから、迷惑だったわね…。言えなかったけれど。身内なのだし、手紙でその旨を伝えれば良いと思うわよ。」
「では、そうする。」
「急に来て申し訳ございませんでした。」
「良いのよ。」

私達は家に戻り、お兄様に手紙を書いた。

『産んで1ヶ月程は、安静にさせてあげてくださいね。この時期に無理をしても良いことはありません。
お祝いは、安静期間がおわり落ち着いた頃に、持って伺います。
その時にまた、予定をお聞きしますね。
お姉様にもよろしくお伝えください。』

「これをお兄様へ届けてくれる?」
「畏まりました。」



1ヶ月後…

私達はオパール家にいた。

「お兄様、お姉様、おめでとうございます。」
「ありがとう。」
「名前はアリスだよ。」

お兄様も、お姉様も幸せそうだ。

「当たり前ですが、まだ首も座っていませんね。」
「…ねぇ、リアは出産や子供に詳しいわよね?」
「詳しいのかどうかは別ですが、別の世界での経験はありますから。」
「今回、とても安産だと言われたの。貴方のおかげよ。…改めて他の妊婦さんに、話を聞かせてあげる気はないの?」
「それは…」

ボロが出そうだし、人伝で話すくらいで丁度いい。

「…そうよね。」
「ジャスミンが色々聞いて、良いと思ったものを、教えてあげたら良いじゃないかな?」
「そうするわ。出産前の散歩みたいにね。…リア、他にもあったら教えてね。」
「はい。」
「リア、祝の品を忘れているぞ。」

話の区切りがついた所で、ジェイクが袋を前に出した。

「そうだった。」

少し大きめのドレスと、着ぐるみ数着、そしてスタイを多めに用意した。

「開けてもいい?」
「どうぞ!」
「可愛い!チス、これ!」
「着せてみたくなるな。」
「着せてみましょう。えーと、これなら…」

お姉様は小さめの猫の着ぐるみをアリスに着せた。

「可愛い!!!!!」
「はぁ。ため息が出る程、可愛いね。」

そこへお父様と、お母様も来た。
そして、アリスを見て悶絶している。

その横で、お姉様は私に言った。

「今回は女の子だったから、次は男の子ね。」
「もうですか?」
「女の子は嬉しいけれど、やっぱり跡取りは必要だと思うの。」
「あ、それなら、」

私は、お姉様に産み分け方法を耳打ちした。

「!…頑張るわ。」
「いえ。お姉様だけではなく、お兄様次第という所もあります。」

それを聞いたお兄様も話に入ってくる。

「そうなのか?どんな方法なんだ?」
「体調が戻ってから、お姉様に聞いてください。」
「私から説明するの!?」
「お願いします。」
「俺も知りたい。」

ジェイクまで…。

「でも、どちらでも嬉しいですよね?」
「もちろんだ。」

話はそこまでにして、私達はお姉様の負担にならない様に早々にお暇した。



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