異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい

千晶もーこ

文字の大きさ
上 下
121 / 134

100 新しい生活

しおりを挟む
結婚式から数日が経った。

朝、目が覚めると隣にジェイクがいる。
横になったままジッと見ていると、ジェイクの灰色の目が開いた。

「リア、早いな。」

柔らかい穏やかな笑顔。

あ~、可愛いぃぃぃぃ!

「ジェイク。おはようございます。」
「おはよう。」

初夜では体力の限界まで行ったが、その次からも行為はあるものの、多分…と言うか絶対、手加減してくれている。何せ、起きるのが楽だ。

ジェイクに我慢させているのも心苦しいけれど、快適に朝を迎えたいとも思う。

こう言うのって、話しあった方が良いのかしら?それとも、その時の雰囲気?

「あの、ジェイク…。」
「うん?なんだ?」

キュン!

またもや笑顔にやられる。

「リア?」
「………はっ!な、何でもありません。」

また今度で良いか…。

「今日は、どうする?」

ここの所、家の中で過ごしていたし、身体もだいぶ楽だ。そろそろ、あれを…。

「えーと、…色々慣れてきたので、今日は身体も楽ですし、あれをしたいです。」
「あれ?」
「あれです。」
「あー、そうか。では、ふたりで案内がてら行くか。」
「はい!ありがとうございます。」

私達は着替えて、廊下を歩いていると、ライラが向いからやってきた。
ライラは、私とジェイクの服装を見て察した様だ。

「ジェイク様、プルメリア様。おはようございます。すぐに準備致します。」

ライラは向きを変えて、来た方向に戻って行った。

「見つかってしまったな。」
「ふふふっ。そうですね。」

私達が玄関に着くと、ライラの他にサムと数人の侍女、侍従、影達までいた。

「大事になってしまいましたね。」
「そうだな。…皆、まだ休んでいて良いぞ。」
「そうは行きません。」

サムが言う。

「お前、本宅の時に俺の朝練に付いてきたことがあったか?」
「それは…。」
「執事長になったからと言って、気負うことはない。」
「プルメリア様も一緒ですし、快適に過ごしていただきたく。」
「快適も何も、一緒に訓練するが?」
「…は?」
「体術、護身術を親父から習っていると言ってあっただろう?」
「はい。お聞きしておりますが、失礼ながらその服装では…。」
「あー、そういう事か…。ライラやノアからは何も?」
「見たほうが早いと、何も教えてはくれませんでした。」
「ははははは。そうか。確かに説明しただけでは、信じがたいか。」
「ジェイク。…まぁ、別にいいですけどぉ。」
「すまん。…怒ったか?」
「怒ってはいません。しかしその言い様、珍獣の様です。」
「珍獣ではなく、女神だな。」
「…」

私はなんて言ったらいいか分からなくなる。

「さて、行こうか。見たいなら付いてこい。」

ジェイクのその発言で、結局使用人のほぼ全てが運動場まで付いてきた。
ほぼというのは、ネーロとメランが家の留守番、料理人達も朝食の準備中だからだ。

他の家に比べたら少ない人数だけれど、大移動だ。朝練をしていた本宅の護衛達も何事だと驚いている。

「リア。折角だから、皆にも参加してもらおう。」
「皆にもですか?」
「ああ。サムはもちろん武術の心得があるが、簡単な護衛術は侍女、侍従全てに教えてある。その練習も兼ねよう。ライラとノアの実力も分かるだろうしな。」

他家から来た侍女と護衛が、上に立つ事に良い気がしない者もいるのは分かる。
それに、私もここに来てから皆との交流が少ない。

私を知ってもらう第一歩ね。

「分かりました。皆さん、よろしくお願いしますね。」




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。

待鳥園子
恋愛
グレンジャー伯爵令嬢ウェンディは父が友人に裏切られ、社交界デビューを目前にして無一文になってしまった。 父は異国へと一人出稼ぎに行ってしまい、行く宛てのない姉を心配する弟を安心させるために、以前邸で働いていた竜騎士を頼ることに。 彼が働くアレイスター竜騎士団は『恋愛禁止』という厳格な規則があり、そのため若い女性は働いていない。しかし、ウェンディは竜力を持つ貴族の血を引く女性にしかなれないという『子竜守』として特別に採用されることになり……。 子竜守として働くことになった没落貴族令嬢が、不器用だけどとても優しい団長と恋愛禁止な竜騎士団で働くために秘密の契約結婚をすることなってしまう、ほのぼの子竜育てありな可愛い恋物語。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています

窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。 シナリオ通りなら、死ぬ運命。 だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい! 騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します! というわけで、私、悪役やりません! 来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。 あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……! 気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。 悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?

白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。 「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」 精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。 それでも生きるしかないリリアは決心する。 誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう! それなのに―…… 「麗しき私の乙女よ」 すっごい美形…。えっ精霊王!? どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!? 森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

処理中です...