異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい

千晶もーこ

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来たときと同じように、途中で暗くなって来たため、一泊する事になった。
今回は野宿ではなく、途中の村の宿だ。

宿には既にノアとメラン、それからネーロとライラがいた。

「貴方達…。」
「プルメリア様。ご無事で何よりでございます。」

ライラの目には涙が溜まっている。

「ジェイク、降ろしてくれる?」
「しょうがないな。」

まだ、お姫様抱っこをしていた私を、今度は拒否せずおろしてくれた。
私はライラ達へ近づく。

「ライラ、私は大丈夫よ。予定通りではなかったけれど、作戦も上手くいったと言っていいと思うわ。」
「作戦と分かってはいても、心配は変わりません。」
「…ありがとう。」
「旦那様より、こちらを預かってまいりました。」

私は、ライラから手紙を受け取る。

「中に入ってから、読みます。ジェイク、一緒にお願いします。」
「もちろんだ。」
「ライラ、お茶をよろしくね。ノア、ネーロ、メランも行くわよ。」
「「「「はい。」」」」

部屋へ入ると、昨日街で買ったお土産がテーブルの上に置かれていた。

「ライラ。買ったお土産を持ってきてくれたの?」
「はい。」
「リア、作戦中に土産を買っていたのか?」
「ええ。上手くいくか分からなかったので、とりあえず楽しもうと…。」
「リアらしいな。」
「チョコレートを買ったので、一緒に食べましょう。ほろ苦い味で甘すぎないそうです。」
「それでは頂こうかな。」
「皆には、これを1つずつ。」

私は小箱をノア、ネーロ、メラン、ライラへ渡していく。

「ライラは一緒に買いに行ったのだし、開けてしまっても良かったのに。」
「いえ、皆と一緒に頂きたかったのです。」

ライラは、すぐにエプロンのポケットにしまった。

「そうなのね。さて、私はこちらを開けましょう。」

私は手紙を開けて、中身に目を通す。

内容は、
この宿を今回の関係者の為に、貸し切りにしている事。
学園ではなく、家へ戻る事。

そして、『無事で良かった。協力ありがとう。』と締め括られていた。

それを、ジェイクにも見せる。

「了解した。オーパル家へ送ろう。」
「よろしくお願いします。さあ、お茶を頂きましょう。」

手紙を読んでいる間に、ライラがお茶やチョコレートを用意してくれていた。

「これは…」
「どうですか?以前無かった自由にブレンドができるお茶屋さんが、出ていたので買ってみたのですが…。」
「スッキリする味だな。好みだ。」
「良かった。」
「リアがブレンドしたのか?」
「店主にアドバイスを受けながらですよ。もし良かったら、持って帰りますか?」
「良いのか?」
「もちろんです。ライラ。…ん?」

ジェイクに渡すお茶の葉の用意をしてもらおうとライラへ声をかけると、別の3人へ視線が止まった。

「3人とも何をしているの?」

影の3人が小箱を持ったまま、身動きしていなかった。

「プルメリア様からのお土産をどうしたらいいか分からないのかと思われます。」

ライラは、お茶の葉の用意をしながら、3人の状況を話してくれた。

「3人とも、仕舞うなり開けるなりしてちょうだい。」
「…良いのでしょうか。」

ノアがこちらを見ながら、私に確認を取る。

「そうではなかったら、渡さないわよ。高い物でもないし、気にいってもらえるか分からないけどね。」
「「「気に入らない筈ございません!」」」
「そ、そう?」

圧がすごいわね…。

「3人ともせっかくだから、開けたらどうだ?俺だったら、すぐに開けるぞ。」

そのジェイクの言葉に顔を見合わせてから、小箱に視線を落とす。

「あ!お礼も言っていませんでした。申し訳ございません。」
「「申し訳ございません。」」

メランが焦った様に、謝る。それにノアとネーロも続いた。

「良いのよ。さぁ、開けてみて。」

3人はゆっくりと小箱を開けた。

中にはシルバーで作られた馬蹄型の小さなペンダントトップが入っている。

「この辺では珍しいけれど、お守りよ。他国から来ていた商人が店を出していたの。」
「お守りですか?」
「馬蹄は馬の蹄を保護するための物でしょ?守る役割の道具だから、お守りになると言われているの。開いている方を上に持つと幸せをためる、山型で持つと不運を落とす、という意味があるのよ。」
「そんな意味があるんだな。」
「ええ。ライラ含め4人には危険な事もして貰うだろうし、矛盾しているけれど結婚後もお世話になるし、無事に戻って欲しいという願いを込めてね。」
「「「プルメリア様…。」」」

3人はこちらをじっと見て、目が涙で濡れている。ライラは、買い物中に既に泣いていた。

「あっ。ネックレスとか、ブレスレットとか、武器飾りとか、その辺りは自分でアレンジしてね。…それと、もう休憩に入って大丈夫よ。」
「「「はい。ありがとうございます!」」」

小箱を大事そうに抱えて、部屋から出ていった。ライラもお茶の用意が終わり、部屋を出た。
















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