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74 噂

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次の日、リカルド殿下は私とクレマの元にやって来た。

「ふたりともすまなかった。エメラルド隊長から聞いた。」
「気にしないと言うのは無理かもしれませんが、せっかく親しくなれたのです。楽しく過ごしましょう。」

私は、にっこり笑いかけ、クレマも隣で頷いている。

その時、ジェイクのことが視界に入り、視線はリカルド殿下のまま、耳を触る。
そうだ、昨日決めた合図を送ってみたのだ。
ジェイクは指先で太腿を2回叩く。

表情には出せないけれど、嬉しい。
ふたりだけのひみつの合図、これは癖になりそうだ。

「あら。プルメリア、今日はいつものをしていないのね。」

クレマが自分の首元をチョンと指して言う。

さすが、クレマ。すぐに指摘してくれた。

「あ、そうね。」

私はそれ以上は言わずに、笑ってすます。

「えーと…。」

クレマは困ったように、リカルド殿下をみた。
リカルド殿下はクレマと目があった後、ジェイクの方に振りかえる。
ジェイクは無表情だ。

ふたりを騙しているようで、心苦しいがしょうがない。
解決後に謝ろう。

その後はクレマもリカルド殿下も何も触れずに、今まで通り過ごした。


そんな日常を過ごしていると、ある日…

「プルメリア様!」
「あら、おはよう。」
「おはようございます。」

以前、婚約者の噂を聞きに来た女生徒だ。

「あの、お聞きしたいことが…」
「何かしら?」

ついに来た!?

「…婚約の話がなくなったというのは本当でしょうか?」

来たー!!!

私は何も答えず、微笑む。
そして、間を開けて口を開こうとすると、

「いえ、変な事を聞いてしまってすみません!失礼致します。」

そう言って、走り去って行った。

「なんか…。大丈夫かしら、あの子…。」

思わず呟く。


また別の日…

「プルメリア。貴方、婚約を解消されたと噂されているみたいよ。」

私とクレマのふたりになった時に、噂の事を話された。
きっと、ふたりになる時まで、話すのを待ってくれていたのだろう。

「そう。」
「そう、って…。」
「クレマはどう思う?」
「…間違いだと思うわ。貴方達、馬鹿が付くくらい思い合っているでしょう?」
「ありがとう。」
「何がありがとうなのよ。」
「私達を信じてくれて、かしらね。」
「…意味が分からないわ。」
「うん。…終わったら話すわ。」
「はぁ…。噂はこのままでいいのね?」
「ええ。」

クレマは心配しながらも、私を信じて見守ってくれる。

私は、素晴らしい友達を持ったわ。

リカルド殿下がやってきた。
ジェイクも一緒だ。
私は、腕を組むフリをして、人差し指で肘を触る。
ジェイクは軽く太腿を叩く。
仕事中のジェイクが、肘を触るのは難しい。

この合図は改良点が必要ね。

私は、私室に戻ると、真っ先にベッド横の引き出しに仕舞ってあるネックレスを出す。

「ただいま。今日も格好良かったわ…。」

ジェイクの瞳を思い出しうっとりしていると、ライラに声をかけられる。

「プルメリア様。旦那様からお手紙が届いております。」
「分かったわ。ライラ、お茶を入れてくれる?」
「畏まりました。」

私はお茶を飲みながら、手紙に目を通す。
その間にノア、ネーロ、メランも集まる。
どんな内容か検討はついているのだろう。

「次の休みに、ライラと街にでかけます。3人は、作戦通りに。」
「「「はい。」」」








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