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「この3人と、ライラが結婚後もリアに付く。」
「ライラもですか?」
「ああ。」
「良いのでしょうか。」
「皆、本人たちの希望だ。1人追加する話をした時には、争奪戦になったらしい。」
お父様は笑いながら、話す。
「ジェイソン、ジェイク。会ったことがある者もいると思うが、結婚後もリアの護衛はこの顔触れになる。よろしく頼む。」
「了解した。」
師匠は軽く返す。
「俺はリアを全力で守るが、結婚後遠征に出ることもあるだろう。一人ではリアを守りきれないことは分かっている。一緒に守ってくれ。」
ジェイクは3人に頭を下げた。
メランは驚き狼狽えているが、ノアとネーロは驚く様子を見せず深く頷いた。
まるで、言われるのが分かっていたような…。
まさかね。
「ノア、ネーロ。これからもよろしくね。」
「「はい。」」
「メラン。これからよろしくね。」
「メラン、ですか?」
「そう呼んではだめ?」
首を傾げて聞くと、
「喜んで!」
と返事が返ってきた。
「ぷっ、ふふふっ。」
私は、笑いがこらえきれなかった。
ライラも呼ばれたのだろう。後からやってきて、やはりジェイクのお願いに驚いていた。
「あ、お父様。学園には護衛が増えることを何と?クレマへつける影も学園へどう入るのですか?」
「うーん。」
そこで師匠がジェイクへ質問をした。
「ジェイク。学園の護衛は増やしているんだよな?」
「ああ。あの事件から学園長に許可を得て、スターチスにも協力してもらい、個人ではなく学園全体を守る形で配置している。」
お兄様も頷く。
「ふたり増えてもどうにかなるか?」
師匠がニヤリと笑う。
「俺が把握していれば問題ない。」
ジェイクも同じ顔をした。
やはりふたりは親子。
こういう表情がそっくりだ。
「悪人面ですね。」
お父様がボソッと言った。
師匠がジロリとお父様を見る。
「さて、そういう事でよろしく。解散!」
「おい!」
「父上、まだ途中ですよ。」
「…噂がある程度広まったら、リアにはライラと街に出掛けてもらう。そして、」
お父様が作戦を話していく。
最後まで聞き終わると、師匠が言った。
「プルメリア嬢に負担ばかりかけてすまない。よろしく頼む。」
師匠が、頭を下げる。
こういう所も似ている。
「頭を上げてください。これは、自分の平穏の為でもありますので。」
「噂が広がるまでに、そう時間はかからないと思うが、拍車をかける為に二人で話すことは控えるように。」
私とジェイクは顔を見合わせてから、お父様を見る。
「「はい。」」
声を合わせて返事をした。
私達は、同じ馬車で帰る事になった。当分、二人で話すことはなくなってしまうからとのお父様の計らいだ。
ライラ達も別に戻り、学園で合流する事になっている。
私は、馬車に乗る時に、ジェイクの隣に乗った。
「リア。」
ジェイクが私の手を握り、フニフニと触っている。
「当分は手紙のやり取りもなしか…。」
「そうですね。」
「我慢できるだろうか。」
「あ、そうだ。合図でも考えておきましょうか?」
「合図?」
「ええ。愛してるとか、好きとか、格好いいとか、口に出さなくても分かる様に。」
「言葉のチョイスは考えるとして、それは良いな。」
私達は馬車の中で、ふたりだけの合図を考えた。
そして、決まったものがこれ!
人差し指で肘を触る→愛している
耳を触る→格好いいわ
太腿を軽く2回叩く→可愛い、美しい
『格好いい』は私が、『可愛い、美しい』はジェイクが譲らず採用となった。
ついでに、こんなのも…。
爪を見る→大丈夫、問題ない
靴の踵を軽く鳴らす→助けがほしい
この2つは実践で使えるかは分からないが、面白半分で考えた。
私は窓の外を見る。
学園へ着きそうだ。
「ジェイク。もう少しで着きます。私に頑張る力をください。」
手を広げ、ジェイクを向かえる体勢をとる。
ジェイクは私の腕の中に入り、背に手を回した。しっかり抱きしめ合う。
身体を離した後、私は首元にあるネックレスを取り外す。
「これは、ここまでですね。…大切に仕舞っておきます。」
「ああ。俺は服の下に入れておく。」
「見られないようにしてくださいね。」
「分かっている。」
馬車が止まった。学園に着いたようだ。
「それでは、馬車から降りたら、それらしくするので、こちらを振り向かないで下さいね。」
「何をするんだ?」
「まあまあ。気にせずに、先に降りて歩いて行ってください。」
「…分かった。リア、気をつけろ。」
ジェイクはそう言って、軽く口付けをした後、馬車を降りた。
切ない…。
すぐに黒幕をあぶり出し、平穏な日々を手に入れましょう!
私も馬車から降り、切なさを込めてジェイクの後ろ姿を見つめた。
「ライラもですか?」
「ああ。」
「良いのでしょうか。」
「皆、本人たちの希望だ。1人追加する話をした時には、争奪戦になったらしい。」
お父様は笑いながら、話す。
「ジェイソン、ジェイク。会ったことがある者もいると思うが、結婚後もリアの護衛はこの顔触れになる。よろしく頼む。」
「了解した。」
師匠は軽く返す。
「俺はリアを全力で守るが、結婚後遠征に出ることもあるだろう。一人ではリアを守りきれないことは分かっている。一緒に守ってくれ。」
ジェイクは3人に頭を下げた。
メランは驚き狼狽えているが、ノアとネーロは驚く様子を見せず深く頷いた。
まるで、言われるのが分かっていたような…。
まさかね。
「ノア、ネーロ。これからもよろしくね。」
「「はい。」」
「メラン。これからよろしくね。」
「メラン、ですか?」
「そう呼んではだめ?」
首を傾げて聞くと、
「喜んで!」
と返事が返ってきた。
「ぷっ、ふふふっ。」
私は、笑いがこらえきれなかった。
ライラも呼ばれたのだろう。後からやってきて、やはりジェイクのお願いに驚いていた。
「あ、お父様。学園には護衛が増えることを何と?クレマへつける影も学園へどう入るのですか?」
「うーん。」
そこで師匠がジェイクへ質問をした。
「ジェイク。学園の護衛は増やしているんだよな?」
「ああ。あの事件から学園長に許可を得て、スターチスにも協力してもらい、個人ではなく学園全体を守る形で配置している。」
お兄様も頷く。
「ふたり増えてもどうにかなるか?」
師匠がニヤリと笑う。
「俺が把握していれば問題ない。」
ジェイクも同じ顔をした。
やはりふたりは親子。
こういう表情がそっくりだ。
「悪人面ですね。」
お父様がボソッと言った。
師匠がジロリとお父様を見る。
「さて、そういう事でよろしく。解散!」
「おい!」
「父上、まだ途中ですよ。」
「…噂がある程度広まったら、リアにはライラと街に出掛けてもらう。そして、」
お父様が作戦を話していく。
最後まで聞き終わると、師匠が言った。
「プルメリア嬢に負担ばかりかけてすまない。よろしく頼む。」
師匠が、頭を下げる。
こういう所も似ている。
「頭を上げてください。これは、自分の平穏の為でもありますので。」
「噂が広がるまでに、そう時間はかからないと思うが、拍車をかける為に二人で話すことは控えるように。」
私とジェイクは顔を見合わせてから、お父様を見る。
「「はい。」」
声を合わせて返事をした。
私達は、同じ馬車で帰る事になった。当分、二人で話すことはなくなってしまうからとのお父様の計らいだ。
ライラ達も別に戻り、学園で合流する事になっている。
私は、馬車に乗る時に、ジェイクの隣に乗った。
「リア。」
ジェイクが私の手を握り、フニフニと触っている。
「当分は手紙のやり取りもなしか…。」
「そうですね。」
「我慢できるだろうか。」
「あ、そうだ。合図でも考えておきましょうか?」
「合図?」
「ええ。愛してるとか、好きとか、格好いいとか、口に出さなくても分かる様に。」
「言葉のチョイスは考えるとして、それは良いな。」
私達は馬車の中で、ふたりだけの合図を考えた。
そして、決まったものがこれ!
人差し指で肘を触る→愛している
耳を触る→格好いいわ
太腿を軽く2回叩く→可愛い、美しい
『格好いい』は私が、『可愛い、美しい』はジェイクが譲らず採用となった。
ついでに、こんなのも…。
爪を見る→大丈夫、問題ない
靴の踵を軽く鳴らす→助けがほしい
この2つは実践で使えるかは分からないが、面白半分で考えた。
私は窓の外を見る。
学園へ着きそうだ。
「ジェイク。もう少しで着きます。私に頑張る力をください。」
手を広げ、ジェイクを向かえる体勢をとる。
ジェイクは私の腕の中に入り、背に手を回した。しっかり抱きしめ合う。
身体を離した後、私は首元にあるネックレスを取り外す。
「これは、ここまでですね。…大切に仕舞っておきます。」
「ああ。俺は服の下に入れておく。」
「見られないようにしてくださいね。」
「分かっている。」
馬車が止まった。学園に着いたようだ。
「それでは、馬車から降りたら、それらしくするので、こちらを振り向かないで下さいね。」
「何をするんだ?」
「まあまあ。気にせずに、先に降りて歩いて行ってください。」
「…分かった。リア、気をつけろ。」
ジェイクはそう言って、軽く口付けをした後、馬車を降りた。
切ない…。
すぐに黒幕をあぶり出し、平穏な日々を手に入れましょう!
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