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57 結婚式の日付決定

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数日後、ジェイクがまたレオン殿下の方へ行くことになった。

その前日、私はジェイクから夕方の散歩の誘いを受けた。

「リア、すまん待たせた。」

待ち合わせ場所に、ジェイクが少し遅れてやって来た。走ってきた様で額に汗が滲んでいる。

「大丈夫です。仕事ですもの。遅れるときもあります。」

私はハンカチを出し、ジェイクの汗をふく。

「すまん、ありがとう。自分でする。」

ジェイクはハンカチを受け取り、残りの汗を拭いた。
そして、ベンチへ座る。

「明日、レオン殿下の所へ行った際に、親父と結婚の日取りを相談してこようと思う。」
「はい。」
「あとは、侯爵に打診して、正式な日を決めよう。リアの希望も聞いておきたいのだが。」
「うーん。そうですね…。卒業したら、家に帰って家族と過ごす時間がほしいです。」
「そ、そうか。」

ん?なんだろう。なんか言いたい事がある?

「ジェイク?」
「なんだ?」
「言いたい事があれば言ってください。」
「いや、気にしないでいい。」
「ジェイク。これはふたりで話し合うことです。私だけの希望でなく、貴方の希望も聞きたいです。」
「……早く結婚したい、と思っていたのだ。何なら学生結婚でもと…。」
「…」
「すまん。焦りすぎているな…。」

ジェイクは俯いてしまった。

本当に、この人は…。

「ジェイク。…私は10も年上の男性を可愛いと思っています。」
「え?」

ジェイクが勢いよく顔を上げた。

「そんなに私と一緒に居たいですか?」
「もちろんだ。」
「女冥利に付きますね。学生結婚どんとこいです!…と言いたいところですが、現実的には無理です。ジェイクも分かっているのでしょう?」
「…」
「寮生活で結婚はできません。」
「…だよな。」

ジェイクが項垂れる。

「ふふっ、仕事の時と別人のようですね。」
「嫌か?」
「いいえ。その可愛い姿が見れて嬉しいです。あ、仕事の時はもちろん格好良いですよ。」
「可愛い…、そんな事を言うのはリアだけだな。」
「他にも居たら、私は…」
「私は?」
「泣きます!」
「大丈夫だ。リア以外でこんなに感情的になることは無い。」
「…結婚の日取りですが、卒業式の次の日でもいいですか?」
「いや。それでは、リアが家族と過ごす時間が全く持てない。…少し時間を開けよう。」
「良いのですか?」
「それ位待てる…と思う。その後は、ずっと一緒に居てくれるのだろう?」
「もちろんです!」

そう言うと、ジェイクの笑顔が見れた。

ジェイクは手のひらで私の頬に触れた。
いつの間にか、ライラだけでなくノアやネーロの気配もない。
それをジェイクも感じたのだろう。

「出来る側仕え達だな。」

そう言い、私に口付けをした。
口付けは段々深くなる。

「んっ…はぁ…んんっ…」

私は唇が離された時には、ボーっとしていた。

「…リア、可愛いな。…我慢、我慢だ。」

その時のプルメリアは、ボーっとしていてジェイクの話は耳に入っていなかった。


その数日後、私達の結婚式は卒業の1ヶ月後と決まった。




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