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第五章・心亡くし
心亡くし・第七話
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目は覚めたが、瞼は閉じたまま。そういう起き方をたまにするが、そのたまにの一回を、今また体験した。
瞼がまだ開いていないことを認識してもなお、目を開けないようにするのには、二種類の理由があると思っている。まだ眠たいので身体を起こしたくないからか、目を開けることで現実を受け入れたくないからだ。
身体中に残る倦怠感。左の肩には、まだ痛みがジンジンと残っている気がする。
だが、手の先だけが、安定した温もりを感じられていた。その感覚で思わず、仁志は目を開ける。
場所は、直前の記憶と変わっていなかった。かつて仁美の両親を騙っていた宇宙人二人が、仁志の身体からエネルギーの器を取り出す為の手術室だ。3年ほど前に、仁美がこの部屋を銃でボロボロにしており、その残骸らしきものが隅に寄せられている。ほんのりと、鉄っぽい匂いも香るような気がしたが、辺りは綺麗に掃除されているようで、照明に少し反射して、壁や床が白く輝いていた。
周りの光景を眺めていたが、ふと自分の左肩から先の感覚があることに、やっとのことで衝撃を感じた。慌てて見ると、切断した箇所の皮膚の色が違うが、パッと見て問題なさそうに繋がっており、二の腕の穴も同様の形で塞がっている。
そして、手術台らしき場所に仁美が横たわっていて、その右手が仁志の左手を軽く握っていた。
台の横に座って寝ていた仁志は、状態を起こし、仁美の様子を確認する。手はまだ少し冷たいが、呼吸が安定しており、昨日や先ほどの状態よりも良いのだとわかる。そのことに気づいて安心した瞬間、今度は仁志がふらつき始めた。
「まだ起き上がらない方がいいですよ。我々の星の医療技術はこちらの星よりも長けておりますが、血液に関しては人体の自動生成に頼らなければならないので、今は言わば貧血状態です」
不意に声をかけられて、仁志が振り返ると、仁美の母親を名乗る者が、ゆっくりと近づいてきていた。
「……あの、まだ警戒されているのでしたら、何か母親だと証明できる方法はありますか?」
「え、ああ、DNAを照合して、親族かどうかを判別する方法なら」
「DNAですか……。血液とかで良いですかね? でしたら、今すぐ提供できますが」
「あ、いえ、そこまでしてくださるのでしたら、あなたは本当に仁美の母親なのでしょう。疑ってかかってしまい、すみません」
不信感が顔から出ていたのだろう。単純に不快にさせてしまったことに対して仁志が謝ると、仁美の母親は宥めるように手を振った。
「いえ、仕方がないことです。初めは、この子の両親は偽物だったのですから。むしろ警戒してくださっていることにすら感謝します」
優しい物腰に、仁志は段々と安心感を覚え始める。見た目の奇抜な格好はまだ気になるが、この優しさの加減は、仁美と似たようなものを感じ取れる。
「あの子の中の、厄災というものは消え去りました」
仁美の母親がそう告げると、仁志は思わず目を見張り、頭を急に上げる。その勢いで再びふらついてしまい、手で顔を支えるが、手で触れたことがきっかけとなったのか、目頭が急に熱くなってきた。
「そうか……、良かった……」
目の前の視界が赤から黒に変わってから、仁志の記憶がない。その後で郁が退治してくれたのだろう。
これで、仁美の命を脅かす存在は無くなったのだ。
「あの子は生まれた時から、厄災というものを抱えて育ってきていたのでしょう。あの子の父親は放浪癖があり、この星にも訪れたことがありました。そこで厄災なるものを拾ってしまい、その後にあの子が生まれた。
確かに、あの子のエネルギーの無さは少し異常でした。検査をしても、ただエネルギーが減っていることしか判明せず、原因が分からず終いで、面倒ごとが嫌いなあの子の父親が、まだ幼すぎるあの子を売り捌いてしまいました。決定権はあの子の父親が支配していて、私は口出しを許されていなかったので、あの子の味方になれずに……」
そういうことだったのか、と仁志は納得した。仁美自身から、エネルギー生成効率の無さから売られたという話は聞いていたので、そんな親が今更何をしゃしゃり出てきたのか、と思っていたのだが、家庭環境から起こってしまった悲劇、ということなのだろうか。
「その後、十数年が経った時、私でもそれなりの権力と決定権を持てるようになったことで、あの子の捜索を実行できるようになったのです。あの子を買った人物がこの星に来ていることを突き止め、その二人がもういないことを確認したので、あの子を連れて帰ることを決めました。この星に影響を及ぼさない為に、あの子に関わった人の全ての記憶を改変して、問題がない状況を作り出した上で」
やはり、それが目的か。良心的な母親が地球まで仁美を追ってきているとなると、その目的は容易に想像ができる。一般的な親ならば、まずそうしようと考えることが普通だろう。
もちろん、それは仁美との今生の別れを意味しており、仁志にとっては耐えられないことだ。どうにか仁美の母親を説得して、仁美をこの地球に残すことを許してくれないだろうか。
だが、母親に対してそれを提案することは、果たして正しい行いなのだろうか。
「あなたが目覚める少し前に、あの子は一度起き上がったのですが」
仁美の母親が続けた言葉に、仁志は意識を持ってかれて続きを聞こうと身構える。仁美は母親を名乗る人物を目にして、どのような反応をするのか。
「驚きました。私が名乗る前に……」
「お母さん?」
仁美の目が覚めていることに気づいて、仁美の母親が近寄ろうとした時。仁美はその姿を一目見てそう呟くので、仁美の母親は思わず硬直した。
「何故、伝えてもいないのに、」
「何となく、そう思ったんです。物心つく前から既に売られていたので、ようやく会えましたね」
少しだけ、棘を含んだ言い方。親に見捨てられて売られたことで、今更母親が現れてそうなるのも無理はない。しかし、実の我が子の態度に堪らなくなってしまった仁美の母親は思わず仁美をギュッと抱き寄せた。
「……ごめんなさい。突き放す言い方をしてしまいました。正直なところ、私を売った親は信頼できないという思いはあります。
でも、あなたの態度からは、優しさを感じ取れます。何か事情があったのですね。そんなことも知らずに、失礼な態度をして、ごめんなさい」
ああ、この子は優しい。優しくて聡明だ。育てることはできなかったが、自慢の娘として誇れるような存在に、一人で成長したのだと考えると、仁美の母親は思わず涙をこぼす。
その後、仁美が売られてしまった経緯を話すと、仁美は再度、母親に謝った。
「私の過去の話を丁寧に教えてくださって、ありがとうございます。でも、ごめんなさい。私はあなたと同じ場所には行けません」
仁美を連れて帰ろうとしていたことはまだ口にしていなかったが、仁美は先回りして断った。一瞬だけ驚いた仁美の母親だったが、すぐに穏やかな目をして続きを促す。
「理由は、教えてくれますか」
「はい。ですが、とても失礼なことを言うことになりますので、お許しください。
物心ついた時から、私は偽の家族のもとで生活し、成長していきました。それから今まで、様々な出来事があって、命の危機を感じて、でもみんなが助けてくれて、今に至ります」
自分が助かったこと。自分の中の厄災が消えていなくなったことは、自身の奥底から湧き立つ活力で自覚できる。それを感じることができるきっかけになったのは、母親の来訪だということも。だが、
「私の今までの記憶と経験の中に、あなたはいません。過去に私があなたを恋しく思ったこともありません。物心がない頃にしか顔を合わせていなかったことが原因なので、致し方ないと言いたいのですが……。
私には今、義理ですが家族がいます。そして将来、最悪の結果になってもこの人さえ隣にいてくれればそれでいい、と心から思える相手がいます。だから、あなたとの生活は、何も魅力に感じられない」
ごめんなさい、と言葉を区切るたびに、仁美はそう呟いた。涙を流すことはない。ただ、申し訳ないとだけ思っていた。
仁美の母親は、仁美の中の優先度が決して高くなかった。
「ごめんなさい。私は子供として、実の親を愛する心を、どこかに亡くしてしまったみたいです」
「仁美……」
隣で静かに眠る仁美を見ながら、仁志はその手を軽く握り直す。
自分の隣にいたいと主張してくれることは嬉しい。だが、それは実の親を無下にしても手放したくないと言うことは、もちろん嬉しい気持ちもあるのだが、それと同時に、親から仁美を奪った申し訳なさも生まれる。
郁からも煽るように何回か言われた。自分は、本当に仁美の隣に立つ存在として相応しいのか、と。
「私は、まだ諦めておりません」
仁美の母親の口調が、少しだけ強くなった。思わず仁志が向き直ると、仁美の母親は威圧感を放つ目線を送りながら、自身の主張を語る。
「私は、皆様を無力化して、あの子の意思を無視して強制的に帰還させることができるだけの備えがあります。何としてでもあの子を取り戻す。そう私は決心してこの場に立っています。昔から、肝心な時には手段を選ばない性格でした。
あの子が子供としての心を亡くしているのなら、私も親としての心を亡くす覚悟ができます」
そうくるとは思っていなかった。仁美の発言は、周りを魅了する何かがあり、普段からもっともらしいことを話すので、仁美の発言には基本的に従うのが普通だった。
仁美の意見を聞かない選択肢を取り、自身の計画を遂行する。どこか仁美と似ている箇所があるが、そこでほっこりはできない。何としてでも止めなければ、という意思が仁志の中で湧き立つと同時に、ここで抵抗するのはどうなのか、と先ほどから悩んでいたことも浮かび、仁志はどう対応するかを決めきれずにいた。
「ですので、あなたの意見を聞かせてください」
再び、仁志は困惑して仁美の母親を見る。自分の意志の強さを語った上で、こちらの意見を聞くとはどういうことか。情けをかけているのだろうか。
しかしこの流れは、今までずっと慣れ親しんできた。自身の主張を通し相手の考えも取り入れようとする、そのスタイルは仁美の考えと似ている。
「良くできた娘です。昨日の私なら、こうは聞きませんでした。親の血を引いて子供が影響を受けることはよくありますが、親が子供から学ぶこともあると、初めて体感しました」
似ているのではなかった。仁美の母親が、見様見真似で実践してみているのだ。
本当に、仁美はすごい。稚拙な言葉遣いだが、そう表現することが最も適している。凄すぎて、高嶺の花と言われても過言ではない。
だがその高嶺の花が、自分に手を差し伸べているのだ。その手を掴まない選択肢を選ぶなど、何かの冒涜にすら感じてしまう。
「俺は、仁美の言うことが大前提です。その意見に反抗することは、基本的にありません。でももし、優先順位を次に移すなら、それは俺の意見になります。
俺の意見も同じです。仁美はここに残ってもらって、あなたにはついて行かせません。交流を一切できないようにする、とまでは言いませんが、少なくとも、仁美が俺の隣からいなくなるようなことは全力で阻止します。例え仁美から嫌われようと、軽蔑されようと、……恨みを抱かれて、刃物で刺されるようなことになろうとも。そんな状況になるような手段は何も思いつきませんが、もしそうなる手段があったとしたら、それしか方法が無いのなら、最終的に実行すると思います。
支配したい訳ではありません。今は仁美が俺に想いを寄せてくれていても、それが死ぬまで続く保証が無いと言われれば、それを否定できない。仁美の隣に相応しい存在は俺だけしかいないと思うような、驕りもない。それでも、俺は仁美を支えてあげたい。隣に立って、俺が出来うることを尽くして、幸せにしてあげたい。それは俺の役割じゃなくて、意志です。
自分の子を手元から失って、自分が見ていない所まで離れ離れになることは、言葉で言い表せないような不安を生むことも、何となくわかります。何処の馬の骨ともわからない奴に、子を預ける恐怖も。その感情をどうか抑え込んで、俺を信頼してください。
娘さんを、俺にください」
頭を下げた時間は、どれくらいだろうか。何を言われるのか、実力行使に出られるのか、これから起こることは何も想定できないが、自分が取るべき最善手はこれしかないと信じ、仁志は相手からの反応があるまで頭を上げなかった。
仁美の母親が口を開くまでに、一分近くかかったのではないか。そう思えるほどの緊張感の中、降りかかった言葉はあまり期待したものではなかった。
「『ください』と言われてしまうと、どうしてもあげなくなくなるのはどうしてでしょうか」
「えっ、あっあの、でしたら表現を変えて、」
「いや、大丈夫です。この星ではそういう言葉遣いが常套句だということはリサーチ済みです」
仁美の母親の態度は、先ほどと対して変わっていないように見える。呆れる訳ではなく、怒りを露わにする様子もない。しかしこの言葉遣いは、よくない結果を連想してしまうのだが、どうなるか。
「長々と、結論に持っていくまでに色々と話していただきました。突然問われた質問なので、簡潔にまとめるとまでは期待していませんでしたが、そうですね、ある意味では期待以上だと思います。あの子を手放したくないことを、こうも長く語られるということは、それほどあの子を想ってくれている、ということでしょう」
伝えたいことは、伝わっているようだ。後はその言葉を、仁美の母親がどう取り込んでくれるか。
仁志の緊張感が段々と増す中、仁美の母親は突如、話題を転換した。
「私たちが記憶を改ざんした手順を、少しお教えします」
「は、はい?」
「あなた達の本来の記憶は、消した訳ではありません。記憶のメモリは保持したまま、その記憶にアクセスしようとする宛先をいじらせてもらい、変更後の宛先にすり替えた記憶を保存しました。突然大量のデータを空き容量に保存しようとすると障害が起きかねないので、できるだけ大雑把に、主要となる記憶だけを取り込ませて、」
「あの、すみません。ちょっと専門用語が多くて、何を言っているのか……」
「伝わりませんか? 一応、そちらの星の技術用語に沿って説明しているつもりですが」
「いや、多分それは専門的な分野の話ですよね。すみません、俺まだ高校生なので、そういった専門技術の話はまだ……」
話の腰を折りたくはないのだが、仁志が理解できないことは見過ごせない。仁志の話を聞いた仁美の母親は、少し悩んだ上で、噛み砕いた表現をした。
「でしたらこれでどうでしょう。抽象化しすぎて細かくは伝わらないとは思いますが。
我々は、あなた達の記憶に蓋をして、その上に代わりの記憶を乗せました。もし記憶を読み取りたい時は、蓋の上に乗っているものを優先的に取れるように。しかし、あなたの本来の記憶が暴れ出して、蓋と蓋の上の記憶諸共をどこかに弾け飛ばし、本来の記憶を取り戻した」
言いたいことは仁志にも伝わった。だがそれ先ほどの重要な話題を転換するほど必要なことだろうか。
「何を伝えたいのかと言うと、あなたが記憶を取り戻したことは、奇跡ではなく、一応は理論づけられるということです。ですが実際にそうなることは稀で、運がいいと結論を出される。でも、あなたにとってそれは、運がいいということなのでしょうか。
何度記憶に蓋をされても、きっかけさえあれば何度でも蓋を自力で開けて、記憶を取り戻す。それを実現するほどあの子に対する気持ちが、あなたにあるのではないかと思いました」
褒められているのか。「いえ……」と小さな声で答えるだけで精一杯だ。仁美の母親の真剣な目を見ながら、仁志は段々と緊張感が減り、代わりに興奮に変換される感覚を感じる。
この流れは、もしかすると、自分の期待する結論に、
「カマをかけるようなことをして、申し訳ございません。ですがこれで、私も決心がつきます。適度に諦めることも、あの子から学び取りました。
娘を、どうかよろしくお願いします」
自分の将来のパートナーを手放すことになるか。自身の我が子を赤の他人に任せるかどうか。選択次第でその後の人生がガラリと変わるような分岐点を決める話し合いは、二十分と経たずに結論が出た。
今まで散々と、弱っていく仁美を見て苦しくなっていた数ヶ月と比べて、あまりにもあっけないとも言える時間差だが、終わる時はそういうものなのかもしれない。
非常にスッキリした。胸の奥に詰まっていた重い蟠りがストンと落ちて、これ以上ないくらいの晴々とした気持ちだ。
仁美と共に過ごす将来を脅かす障害は、今この時、全て消え去った。
「あと、水を差すようで申し訳ないのですが、一点だけ。我が子を預ける親として、言っておきたいと思うことが」
仁美の母親は申し訳なさそうな態度をとるが、仁志はというと開放感で満たされているので、特に嫌悪感を示すこともなく「何でしょう」と続きを促した。
「自分が殺されるようなことになっても構わない、というような表現をされていたと思うのですが、もちろんそれが一種の比喩だということもわかってはいるのですが、やはりその表現をそのまま受け入れたくはないのです」
「あ、はい。もちろんです。あの、過激な表現をしてしまってすみません。訂正をしても、」
「いえ、その必要はないです。あなたの強い意志はしっかりと伝わりましたので。ですが……」
何だろうか、少し不穏な雰囲気が混ざってきた気がする。だが未だに高揚感が残っている仁志は、静かにその続きを待った。
「私が、どうやってあの子を探すまでの権力を手に入れたかは、想像がつきますか」
「いえ、ただ考えられることとしては、その、仁美のお父様と離婚のような手続きをして、その支配から逃れられたのかなと」
「離婚、まぁ、そういう捉え方もできますね。ですが私が持っている権力のほとんどは、かつてあの子の父親が持っていたものがほとんどなのです」
あれ、これはもしかすると、穏やかな話ではないのかもしれない。危機感を感じ取る仁志だが、ここで「やっぱり無し」は言いづらい。最後まで話を聞く他ないだろう。
「あの子が売りに出された時は、お恥ずかしながら支配に屈していて、言いなりでした。ですが年月が経つほどに、あの子を取り戻したいという気持ちと、あの人に対する恨みが募りまして……。最終的に、手を下しました」
てをくだしました。ぼかした表現をしているが、全くと言っていいほど隠せてはいない。この捉え方をさせるのも、仁美の母親の思惑だろう。
「また、伝えたいことをまとめさせていただくと、あの子は私と同じ血を引いているということです。先ほど申した通り、親から子供に通ずる共通点は、何かしらあると思っております。
今、私はあなたに、あの人のようなことになるという想像はついておりません。ですがもし、万が一にも同じようなケースになったとしまったら……。
嘘から出た実、という言葉があるようですね。そうならないように、私から進言いたします。そうですね、忠告のような形で受け取っていただけると」
はは、と間を繋ぐために仁志は笑いを挟んだが、乾いた音しか出なかった。不必要に脅しを挟むことは、もしかすると郁から学んだかもしれない。
とは言え、他人に自分の子供を預けるのだから、慎重になることに異論はない。仁志と仁美の母親との会談は、浮かれかけていた心を少し引き締めた結果で終わった。
瞼がまだ開いていないことを認識してもなお、目を開けないようにするのには、二種類の理由があると思っている。まだ眠たいので身体を起こしたくないからか、目を開けることで現実を受け入れたくないからだ。
身体中に残る倦怠感。左の肩には、まだ痛みがジンジンと残っている気がする。
だが、手の先だけが、安定した温もりを感じられていた。その感覚で思わず、仁志は目を開ける。
場所は、直前の記憶と変わっていなかった。かつて仁美の両親を騙っていた宇宙人二人が、仁志の身体からエネルギーの器を取り出す為の手術室だ。3年ほど前に、仁美がこの部屋を銃でボロボロにしており、その残骸らしきものが隅に寄せられている。ほんのりと、鉄っぽい匂いも香るような気がしたが、辺りは綺麗に掃除されているようで、照明に少し反射して、壁や床が白く輝いていた。
周りの光景を眺めていたが、ふと自分の左肩から先の感覚があることに、やっとのことで衝撃を感じた。慌てて見ると、切断した箇所の皮膚の色が違うが、パッと見て問題なさそうに繋がっており、二の腕の穴も同様の形で塞がっている。
そして、手術台らしき場所に仁美が横たわっていて、その右手が仁志の左手を軽く握っていた。
台の横に座って寝ていた仁志は、状態を起こし、仁美の様子を確認する。手はまだ少し冷たいが、呼吸が安定しており、昨日や先ほどの状態よりも良いのだとわかる。そのことに気づいて安心した瞬間、今度は仁志がふらつき始めた。
「まだ起き上がらない方がいいですよ。我々の星の医療技術はこちらの星よりも長けておりますが、血液に関しては人体の自動生成に頼らなければならないので、今は言わば貧血状態です」
不意に声をかけられて、仁志が振り返ると、仁美の母親を名乗る者が、ゆっくりと近づいてきていた。
「……あの、まだ警戒されているのでしたら、何か母親だと証明できる方法はありますか?」
「え、ああ、DNAを照合して、親族かどうかを判別する方法なら」
「DNAですか……。血液とかで良いですかね? でしたら、今すぐ提供できますが」
「あ、いえ、そこまでしてくださるのでしたら、あなたは本当に仁美の母親なのでしょう。疑ってかかってしまい、すみません」
不信感が顔から出ていたのだろう。単純に不快にさせてしまったことに対して仁志が謝ると、仁美の母親は宥めるように手を振った。
「いえ、仕方がないことです。初めは、この子の両親は偽物だったのですから。むしろ警戒してくださっていることにすら感謝します」
優しい物腰に、仁志は段々と安心感を覚え始める。見た目の奇抜な格好はまだ気になるが、この優しさの加減は、仁美と似たようなものを感じ取れる。
「あの子の中の、厄災というものは消え去りました」
仁美の母親がそう告げると、仁志は思わず目を見張り、頭を急に上げる。その勢いで再びふらついてしまい、手で顔を支えるが、手で触れたことがきっかけとなったのか、目頭が急に熱くなってきた。
「そうか……、良かった……」
目の前の視界が赤から黒に変わってから、仁志の記憶がない。その後で郁が退治してくれたのだろう。
これで、仁美の命を脅かす存在は無くなったのだ。
「あの子は生まれた時から、厄災というものを抱えて育ってきていたのでしょう。あの子の父親は放浪癖があり、この星にも訪れたことがありました。そこで厄災なるものを拾ってしまい、その後にあの子が生まれた。
確かに、あの子のエネルギーの無さは少し異常でした。検査をしても、ただエネルギーが減っていることしか判明せず、原因が分からず終いで、面倒ごとが嫌いなあの子の父親が、まだ幼すぎるあの子を売り捌いてしまいました。決定権はあの子の父親が支配していて、私は口出しを許されていなかったので、あの子の味方になれずに……」
そういうことだったのか、と仁志は納得した。仁美自身から、エネルギー生成効率の無さから売られたという話は聞いていたので、そんな親が今更何をしゃしゃり出てきたのか、と思っていたのだが、家庭環境から起こってしまった悲劇、ということなのだろうか。
「その後、十数年が経った時、私でもそれなりの権力と決定権を持てるようになったことで、あの子の捜索を実行できるようになったのです。あの子を買った人物がこの星に来ていることを突き止め、その二人がもういないことを確認したので、あの子を連れて帰ることを決めました。この星に影響を及ぼさない為に、あの子に関わった人の全ての記憶を改変して、問題がない状況を作り出した上で」
やはり、それが目的か。良心的な母親が地球まで仁美を追ってきているとなると、その目的は容易に想像ができる。一般的な親ならば、まずそうしようと考えることが普通だろう。
もちろん、それは仁美との今生の別れを意味しており、仁志にとっては耐えられないことだ。どうにか仁美の母親を説得して、仁美をこの地球に残すことを許してくれないだろうか。
だが、母親に対してそれを提案することは、果たして正しい行いなのだろうか。
「あなたが目覚める少し前に、あの子は一度起き上がったのですが」
仁美の母親が続けた言葉に、仁志は意識を持ってかれて続きを聞こうと身構える。仁美は母親を名乗る人物を目にして、どのような反応をするのか。
「驚きました。私が名乗る前に……」
「お母さん?」
仁美の目が覚めていることに気づいて、仁美の母親が近寄ろうとした時。仁美はその姿を一目見てそう呟くので、仁美の母親は思わず硬直した。
「何故、伝えてもいないのに、」
「何となく、そう思ったんです。物心つく前から既に売られていたので、ようやく会えましたね」
少しだけ、棘を含んだ言い方。親に見捨てられて売られたことで、今更母親が現れてそうなるのも無理はない。しかし、実の我が子の態度に堪らなくなってしまった仁美の母親は思わず仁美をギュッと抱き寄せた。
「……ごめんなさい。突き放す言い方をしてしまいました。正直なところ、私を売った親は信頼できないという思いはあります。
でも、あなたの態度からは、優しさを感じ取れます。何か事情があったのですね。そんなことも知らずに、失礼な態度をして、ごめんなさい」
ああ、この子は優しい。優しくて聡明だ。育てることはできなかったが、自慢の娘として誇れるような存在に、一人で成長したのだと考えると、仁美の母親は思わず涙をこぼす。
その後、仁美が売られてしまった経緯を話すと、仁美は再度、母親に謝った。
「私の過去の話を丁寧に教えてくださって、ありがとうございます。でも、ごめんなさい。私はあなたと同じ場所には行けません」
仁美を連れて帰ろうとしていたことはまだ口にしていなかったが、仁美は先回りして断った。一瞬だけ驚いた仁美の母親だったが、すぐに穏やかな目をして続きを促す。
「理由は、教えてくれますか」
「はい。ですが、とても失礼なことを言うことになりますので、お許しください。
物心ついた時から、私は偽の家族のもとで生活し、成長していきました。それから今まで、様々な出来事があって、命の危機を感じて、でもみんなが助けてくれて、今に至ります」
自分が助かったこと。自分の中の厄災が消えていなくなったことは、自身の奥底から湧き立つ活力で自覚できる。それを感じることができるきっかけになったのは、母親の来訪だということも。だが、
「私の今までの記憶と経験の中に、あなたはいません。過去に私があなたを恋しく思ったこともありません。物心がない頃にしか顔を合わせていなかったことが原因なので、致し方ないと言いたいのですが……。
私には今、義理ですが家族がいます。そして将来、最悪の結果になってもこの人さえ隣にいてくれればそれでいい、と心から思える相手がいます。だから、あなたとの生活は、何も魅力に感じられない」
ごめんなさい、と言葉を区切るたびに、仁美はそう呟いた。涙を流すことはない。ただ、申し訳ないとだけ思っていた。
仁美の母親は、仁美の中の優先度が決して高くなかった。
「ごめんなさい。私は子供として、実の親を愛する心を、どこかに亡くしてしまったみたいです」
「仁美……」
隣で静かに眠る仁美を見ながら、仁志はその手を軽く握り直す。
自分の隣にいたいと主張してくれることは嬉しい。だが、それは実の親を無下にしても手放したくないと言うことは、もちろん嬉しい気持ちもあるのだが、それと同時に、親から仁美を奪った申し訳なさも生まれる。
郁からも煽るように何回か言われた。自分は、本当に仁美の隣に立つ存在として相応しいのか、と。
「私は、まだ諦めておりません」
仁美の母親の口調が、少しだけ強くなった。思わず仁志が向き直ると、仁美の母親は威圧感を放つ目線を送りながら、自身の主張を語る。
「私は、皆様を無力化して、あの子の意思を無視して強制的に帰還させることができるだけの備えがあります。何としてでもあの子を取り戻す。そう私は決心してこの場に立っています。昔から、肝心な時には手段を選ばない性格でした。
あの子が子供としての心を亡くしているのなら、私も親としての心を亡くす覚悟ができます」
そうくるとは思っていなかった。仁美の発言は、周りを魅了する何かがあり、普段からもっともらしいことを話すので、仁美の発言には基本的に従うのが普通だった。
仁美の意見を聞かない選択肢を取り、自身の計画を遂行する。どこか仁美と似ている箇所があるが、そこでほっこりはできない。何としてでも止めなければ、という意思が仁志の中で湧き立つと同時に、ここで抵抗するのはどうなのか、と先ほどから悩んでいたことも浮かび、仁志はどう対応するかを決めきれずにいた。
「ですので、あなたの意見を聞かせてください」
再び、仁志は困惑して仁美の母親を見る。自分の意志の強さを語った上で、こちらの意見を聞くとはどういうことか。情けをかけているのだろうか。
しかしこの流れは、今までずっと慣れ親しんできた。自身の主張を通し相手の考えも取り入れようとする、そのスタイルは仁美の考えと似ている。
「良くできた娘です。昨日の私なら、こうは聞きませんでした。親の血を引いて子供が影響を受けることはよくありますが、親が子供から学ぶこともあると、初めて体感しました」
似ているのではなかった。仁美の母親が、見様見真似で実践してみているのだ。
本当に、仁美はすごい。稚拙な言葉遣いだが、そう表現することが最も適している。凄すぎて、高嶺の花と言われても過言ではない。
だがその高嶺の花が、自分に手を差し伸べているのだ。その手を掴まない選択肢を選ぶなど、何かの冒涜にすら感じてしまう。
「俺は、仁美の言うことが大前提です。その意見に反抗することは、基本的にありません。でももし、優先順位を次に移すなら、それは俺の意見になります。
俺の意見も同じです。仁美はここに残ってもらって、あなたにはついて行かせません。交流を一切できないようにする、とまでは言いませんが、少なくとも、仁美が俺の隣からいなくなるようなことは全力で阻止します。例え仁美から嫌われようと、軽蔑されようと、……恨みを抱かれて、刃物で刺されるようなことになろうとも。そんな状況になるような手段は何も思いつきませんが、もしそうなる手段があったとしたら、それしか方法が無いのなら、最終的に実行すると思います。
支配したい訳ではありません。今は仁美が俺に想いを寄せてくれていても、それが死ぬまで続く保証が無いと言われれば、それを否定できない。仁美の隣に相応しい存在は俺だけしかいないと思うような、驕りもない。それでも、俺は仁美を支えてあげたい。隣に立って、俺が出来うることを尽くして、幸せにしてあげたい。それは俺の役割じゃなくて、意志です。
自分の子を手元から失って、自分が見ていない所まで離れ離れになることは、言葉で言い表せないような不安を生むことも、何となくわかります。何処の馬の骨ともわからない奴に、子を預ける恐怖も。その感情をどうか抑え込んで、俺を信頼してください。
娘さんを、俺にください」
頭を下げた時間は、どれくらいだろうか。何を言われるのか、実力行使に出られるのか、これから起こることは何も想定できないが、自分が取るべき最善手はこれしかないと信じ、仁志は相手からの反応があるまで頭を上げなかった。
仁美の母親が口を開くまでに、一分近くかかったのではないか。そう思えるほどの緊張感の中、降りかかった言葉はあまり期待したものではなかった。
「『ください』と言われてしまうと、どうしてもあげなくなくなるのはどうしてでしょうか」
「えっ、あっあの、でしたら表現を変えて、」
「いや、大丈夫です。この星ではそういう言葉遣いが常套句だということはリサーチ済みです」
仁美の母親の態度は、先ほどと対して変わっていないように見える。呆れる訳ではなく、怒りを露わにする様子もない。しかしこの言葉遣いは、よくない結果を連想してしまうのだが、どうなるか。
「長々と、結論に持っていくまでに色々と話していただきました。突然問われた質問なので、簡潔にまとめるとまでは期待していませんでしたが、そうですね、ある意味では期待以上だと思います。あの子を手放したくないことを、こうも長く語られるということは、それほどあの子を想ってくれている、ということでしょう」
伝えたいことは、伝わっているようだ。後はその言葉を、仁美の母親がどう取り込んでくれるか。
仁志の緊張感が段々と増す中、仁美の母親は突如、話題を転換した。
「私たちが記憶を改ざんした手順を、少しお教えします」
「は、はい?」
「あなた達の本来の記憶は、消した訳ではありません。記憶のメモリは保持したまま、その記憶にアクセスしようとする宛先をいじらせてもらい、変更後の宛先にすり替えた記憶を保存しました。突然大量のデータを空き容量に保存しようとすると障害が起きかねないので、できるだけ大雑把に、主要となる記憶だけを取り込ませて、」
「あの、すみません。ちょっと専門用語が多くて、何を言っているのか……」
「伝わりませんか? 一応、そちらの星の技術用語に沿って説明しているつもりですが」
「いや、多分それは専門的な分野の話ですよね。すみません、俺まだ高校生なので、そういった専門技術の話はまだ……」
話の腰を折りたくはないのだが、仁志が理解できないことは見過ごせない。仁志の話を聞いた仁美の母親は、少し悩んだ上で、噛み砕いた表現をした。
「でしたらこれでどうでしょう。抽象化しすぎて細かくは伝わらないとは思いますが。
我々は、あなた達の記憶に蓋をして、その上に代わりの記憶を乗せました。もし記憶を読み取りたい時は、蓋の上に乗っているものを優先的に取れるように。しかし、あなたの本来の記憶が暴れ出して、蓋と蓋の上の記憶諸共をどこかに弾け飛ばし、本来の記憶を取り戻した」
言いたいことは仁志にも伝わった。だがそれ先ほどの重要な話題を転換するほど必要なことだろうか。
「何を伝えたいのかと言うと、あなたが記憶を取り戻したことは、奇跡ではなく、一応は理論づけられるということです。ですが実際にそうなることは稀で、運がいいと結論を出される。でも、あなたにとってそれは、運がいいということなのでしょうか。
何度記憶に蓋をされても、きっかけさえあれば何度でも蓋を自力で開けて、記憶を取り戻す。それを実現するほどあの子に対する気持ちが、あなたにあるのではないかと思いました」
褒められているのか。「いえ……」と小さな声で答えるだけで精一杯だ。仁美の母親の真剣な目を見ながら、仁志は段々と緊張感が減り、代わりに興奮に変換される感覚を感じる。
この流れは、もしかすると、自分の期待する結論に、
「カマをかけるようなことをして、申し訳ございません。ですがこれで、私も決心がつきます。適度に諦めることも、あの子から学び取りました。
娘を、どうかよろしくお願いします」
自分の将来のパートナーを手放すことになるか。自身の我が子を赤の他人に任せるかどうか。選択次第でその後の人生がガラリと変わるような分岐点を決める話し合いは、二十分と経たずに結論が出た。
今まで散々と、弱っていく仁美を見て苦しくなっていた数ヶ月と比べて、あまりにもあっけないとも言える時間差だが、終わる時はそういうものなのかもしれない。
非常にスッキリした。胸の奥に詰まっていた重い蟠りがストンと落ちて、これ以上ないくらいの晴々とした気持ちだ。
仁美と共に過ごす将来を脅かす障害は、今この時、全て消え去った。
「あと、水を差すようで申し訳ないのですが、一点だけ。我が子を預ける親として、言っておきたいと思うことが」
仁美の母親は申し訳なさそうな態度をとるが、仁志はというと開放感で満たされているので、特に嫌悪感を示すこともなく「何でしょう」と続きを促した。
「自分が殺されるようなことになっても構わない、というような表現をされていたと思うのですが、もちろんそれが一種の比喩だということもわかってはいるのですが、やはりその表現をそのまま受け入れたくはないのです」
「あ、はい。もちろんです。あの、過激な表現をしてしまってすみません。訂正をしても、」
「いえ、その必要はないです。あなたの強い意志はしっかりと伝わりましたので。ですが……」
何だろうか、少し不穏な雰囲気が混ざってきた気がする。だが未だに高揚感が残っている仁志は、静かにその続きを待った。
「私が、どうやってあの子を探すまでの権力を手に入れたかは、想像がつきますか」
「いえ、ただ考えられることとしては、その、仁美のお父様と離婚のような手続きをして、その支配から逃れられたのかなと」
「離婚、まぁ、そういう捉え方もできますね。ですが私が持っている権力のほとんどは、かつてあの子の父親が持っていたものがほとんどなのです」
あれ、これはもしかすると、穏やかな話ではないのかもしれない。危機感を感じ取る仁志だが、ここで「やっぱり無し」は言いづらい。最後まで話を聞く他ないだろう。
「あの子が売りに出された時は、お恥ずかしながら支配に屈していて、言いなりでした。ですが年月が経つほどに、あの子を取り戻したいという気持ちと、あの人に対する恨みが募りまして……。最終的に、手を下しました」
てをくだしました。ぼかした表現をしているが、全くと言っていいほど隠せてはいない。この捉え方をさせるのも、仁美の母親の思惑だろう。
「また、伝えたいことをまとめさせていただくと、あの子は私と同じ血を引いているということです。先ほど申した通り、親から子供に通ずる共通点は、何かしらあると思っております。
今、私はあなたに、あの人のようなことになるという想像はついておりません。ですがもし、万が一にも同じようなケースになったとしまったら……。
嘘から出た実、という言葉があるようですね。そうならないように、私から進言いたします。そうですね、忠告のような形で受け取っていただけると」
はは、と間を繋ぐために仁志は笑いを挟んだが、乾いた音しか出なかった。不必要に脅しを挟むことは、もしかすると郁から学んだかもしれない。
とは言え、他人に自分の子供を預けるのだから、慎重になることに異論はない。仁志と仁美の母親との会談は、浮かれかけていた心を少し引き締めた結果で終わった。
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