井戸端会議所

ほたる

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第三章・月想い

月想い・第一話

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 その日は休日で、家に父親も母親もいる。そんな日だった。
 せっかくの休日だというのに、親と交流しないで外に遊びに行くなんて、などと不満を言ってくるのには、いいかげん飽きてきたところである。高校生ともなれば、とっくにそういう親離れをしているのが大半だと思うし、そもそも丸一日フリーになるのが休日ぐらいしかないのは、社会人でも学生でも大体同じなのだ。時間の使い方ぐらい自由にしてほしい。別に親は束縛してくるわけではないのだが、小言を言ってくるのが鬱陶しい。親孝行も定期的にしているから、こちら側にも非はないはずだ。
 親のブーイングを無視し、仁志が玄関に向かうと、既に仁美が支度を終えて部屋から顔を覗かせていた。
「前から薄々感じてたけど、お義父さんとお義母さんって親バカみたいだよね」
「どちらかと言うとかまちょだろ」
 子供が自分に構ってくれないから、ブーブー言っているだけだ。高校生にもなって親にベッタリだと、流石に気恥ずかしい。
 それに、仁美が同居しているから、見栄も張っている節もある。
「私は、二人とも私に構ってくれるのは好きだよ。以前は偽の親子で、まともに構ってもらえなかったし」
「それは良かったけど、俺とお前じゃ立場が違うだろ」
「立場が違っても、親は大事にしないとだよ」
「俺は無下にしているつもりはないぞ」
「じゃあもっと大事にしなきゃ」
 仁美にこうも言われてしまえば、もはや何も言い返せない。家族や他人に対する愛情に関しては、仁美の方がより理解している。
 中学生の時のあの日、仁美の偽の親が行方不明になった(恐らく銃のエネルギーが強すぎて消滅した)ことで、仁美は形式上とはいえ家族を失い、アパートの部屋も手放さなくてはならなくなった。行く当てが無くなったと思われたが、まるで当然と言わんばかりに、置弓家が引き取ろうと提案し、仁美が承諾したので、仁美は置弓家の居候として迎えられることとなった。長年仲良くしていたからか、家族と仁美との関係は良好で、母親に至っては「むさ苦しい環境に華が来た」と喜んでいた。旦那と仁志に失礼である。
 その上で、仁美は置弓家に異常に溶け込んでいる気がする。元々の交流があったり、仁美の人間性がいいことも理由の一つだろうが、何より仁美の積極性が強い。居候よりも新しい家族の一員になる、という意識に関しては、親の考え方も含めた方針ではあるのだが、仁美はその方針の意味が若干違っている気がする。さっきも、「おとうさん」「おかあさん」の言い方のニュアンスが、仁志が考えているものとは違って感じられた。
「ちょっと急がなきゃ。時間ギリギリになっちゃう」
「そうだな」
 仁志が同意すると、仁美は両腕を前に伸ばす。仁志はその両腕の間に自分の首を入れ込むように屈んで近づき、仁美を抱き寄せた。
 仁美は仁志の背中に手を回し、離れないようにしっかりとしがみつく。仁志は仁美の腰と足を腕で支えながら、ゆっくりと車椅子から持ち上げる。そのまま身体の向きを変え、仁美を屋外用の車椅子に静かに座らせた。
 姿勢が悪くないかどうかを仁美に確認しつつ、仁志は屋内用の車椅子を畳み、廊下の脇に置いた。その一連の動作を見て、仁美は感嘆したように口を開いた。
「もうすっかり手慣れてきたよね」
「そりゃ三年近くやってきた手順だからな」
「最初の頃が懐かしい。耳まで真っ赤にしちゃって、心臓もバクバクで」
「言うな」
 力の入れ具合とかは、もう迷うこともない。ただ抱き寄せる瞬間は、少しの迷いが生まれることがある。
 当初は、仁志の理想上、お互いに照れるのがいいかも、と思っていたのだが、仁美は逆に嬉々として仁志をからかった。そういう意味では仁美はやっぱりちょっと大人で、無性にも悔しく感じてしまう。
 というのも、仁志は自分が仁美をリードしたい、という欲求を持っているのである。やはりその方が大人の男性らしいと感じ取れるし、ラブコメのヒロインみたいに、照れて動揺する仁美も見たい。
 だが、実際に一歩前にいるのは仁美で、仁志はそれに若干振り回されている状況である。年齢で言うと、実は仁美の方がいくつか上だという話は、同居して間もなく聞いたが、仁美が大人っぽく見えるのはそれだけではないと、仁志は考えている。
 やっぱり仁美には敵わないのか。そう諦めつつも、自分がいじられるままは嫌なので、これ以上噛みつかないでおく。
「私、海外では暮らしたくないなぁ」
 仁志が靴を履いている時、仁美はそう呟いた。急にどうした、と問いたかったが、仁美はすぐに「行こう」と急かすので、特には聞くことはなかった。
 後ろを振り返り、廊下の先の部屋にいるであろう両親に声をかけると、仁美もタイミングを合わせて同じ言葉を発した。
「「いってきます」」





 今日は、学校の先輩である仁美と仁志から、宇宙人である話を詳しく聞き出す予定だ。これは字面以上に大事なことであり、仁美がただの宇宙人で、害はない存在だと判断しなくてはならない。
 厄災討伐は、仁美の協力があってこそ成り立った。もし仁美が関わらなかったら、秋雨家の血筋と能力は永遠に失われていただろう。だから霖太郎は、二人をかなり尊敬している。積極的に無害である理由を探そうと、家を出るときには決意したほどだ。
 だが、今はそれどころではない。決意を二の次においてしまうのは、今この瞬間に命の危機に直面しているからだ。
「うっ」
 自分は何回うめき声を出したのか、数えることすら馬鹿馬鹿しい。こうやって身体を突き飛ばされ続けることは、いつまで続くのか。
 突き飛ばしているのは、悪霊である。以前、曲留美もとい厄災に説明していた、バチバチにバトルをしないと祓えないタイプの霊で、霖太郎はそれに偶然出くわした。
 霊力を感じ、霖太郎はちょっと見に行って、手に負えなさそうなら応援を呼ぼうと、それぐらいの気持ちで動いていた。が、この悪霊はその連絡すら許さない猛攻を仕掛け、霖太郎は為す術無くそれを受ける。
 未だ無傷でいるのは、両親から貰ったお札のおかげだ。厄災を祓った物と同じで、通常の霊力を受け止められる力も兼ね備えている。しかし、このお札だけで悪霊を祓うことはできない。
「マジでふざけんな、何で僕はまた、死にかけてる……」
 心情が声に漏れながらも、霖太郎は今いる林から抜け出さないように、悪霊を誘導して逃げ回る。近くに一般人がいないことが幸いで、戦っていることにどこかの陰陽師が気づいてくれればこちらの勝ちだ。だがそんなに都合良く、誰かが駆けつけてくれるだろうか。
(悪霊を祓う力の使い方は習っている。でもそれを実践に生かせるかは別だ。現に今、必死に力を当てているのに、ろくに弱る気配を見せない)
 これでは先に力尽きるのは、霖太郎のほうだ。頭の回転も鈍くなり、段々と誘導が上手くいかなくなる。遂には林を抜け、市街地が見える位置にまで来てしまった。
(まずい、このままだと、こいつは僕を殺した後にそのまま一般人を……)
 林を出た先はフェンスで区切られており、区切られた先は道路になっている。休日だからか昼でも交通量が多く、事故などを起こせば大惨事は免れない。
 が、それを回避する術を、霖太郎は持っていなかった。フェンスに叩きつけられ、押しつけられるように悪霊の猛攻を受け続ける。
(ダメだ、フェンスごと突破される……!)
 悪霊側もそれを確信しているのか、一度力を溜めてから、腕のような部位を突き出してきた。防ぐしかない霖太郎は、お札でそれを受け止めようとする。
 だが、受けた力は想像の十分の一近く減衰していた。
(え?)
 霖太郎と共に、悪霊側も困惑している。突き出された腕のような部位は、目の前で真っ二つに切断されており。霖太郎の身体に軽く触れていた。そして、霖太郎と悪霊の間に立っている人物が一人。
 横顔がチラリと見えたが、大学生くらいの女性だった。曲留美よりも暗めな茶髪で、ポニーテールが風でなびいている。ギターケースのような物を背負っていて、右手には鉈を持っていた。
 霖太郎は思わず二度見した。女性の右手には、確かに鉈が握られているのだ。
 悪霊のほうが先に動き、もう片方の腕を女性に振るう。が、最初の腕と同様に鉈で切られ、腕の先が宙を舞った。女性は振るった鉈の刃先をくるりと回転させ、息つく間もなく悪霊を切りつけた。
 言語化するなら、一刀両断。悪霊は二つに形を歪め、瞬く間に消滅した。
「怪我は?」
 振り向きざまに女性が声をかける。霖太郎は一瞬、口を開けたまま動かなかったが、慌てて返事をした。
「あ、いや、背中とかは痛いですけど、骨折とかはしてないと思います」
 十秒も経っていない。霖太郎は悪霊から逃げ惑うのに五分近くはかかっていると思っているが、目の前の女性はあっという間に退治した。これが本物の陰陽師か、とただただ舌を巻く。
「そのお札が武器なのか?」
 霖太郎の手元を見て、女性はそう尋ねる。ここで言う武器とは、悪霊などと戦う際に霊力を流し込みながら扱うものを指しており、女性の持っている鉈に相当する。
「武器にしては物足りない気がするが」
「いえ、これは本来そういう使い道ではなくて……。秋雨家ってご存じですか?その家系が代々追っている厄災に特化したもので、」
「お前が、秋雨家の人間か?」
 言葉を遮られてしまい、思わず面食らう。いきなりお前呼ばわりされてしまっていることにも驚き、たじたじになりながらも霖太郎は答えた。
「はい、そうですけど」
「ならばちょうど良かった」
 ちょうど良かったとは、と新たな疑問が生まれたところで、女性は鉈を背中に背負っていたギターケースに仕舞いながら続ける。
「今から秋雨家の所に行って、話を聞くところだったから」
「え、話をですか、でもそんなことをなんでわざわざ……」
 秋雨家の問題は色々と規格外で、普通の陰陽師がそれを知って得することは基本的に無い。だが、女性はそれを知りたがっている。
「当主として、厄災討伐の一連の流れを知っておかないといけない。今日はその話を聞きに来た」
 当主とは、グループの長という意味か。秋雨家がいるグループの当主とは、と考えている間に、霖太郎は今目の前にいる女性が、とんでもない権力を持っていることに気づいた。
「秋雨家も所属している陰陽師集団・芦々家よしあしけ。そこの現当主が私、天王寺郁てんのうじいくだ。よろしく」





 厄災の研究は、平安時代から今までずっと続いている、らしい。
 親から、あるいは祖父母からそういう話を聞いているだけで、根拠があるわけではない。古い文書に記録があるとか言われた気がするが、文書自体が読めない。挙げ句、親も読めないという。
 文書で読めるものは、昭和辺りにいくつかの重要事項を読みやすくまとめられたメモくらいで、確実な情報として重宝しているが、それ以外の情報は伝聞で聞いているだけである。「読めないってのは、旧字体で読めないのか? それとも擦れて物理的に?」
「どっちもです」
 昔に、その手の専門家に見せたことがあるが、ろくに解読できなかった挙げ句、大学で保管したいとしつこく絡まれたので、迂闊に人に見せることを禁止したという。他の専門家とのコネもないので、解読は完全に諦められ、倉庫の奥底に放置されている有様である。
「それはまあ、こっちでも目を通させてもらうが、厄災を討伐したのならこれ以上の探求は必要ないんじゃ」
 曲留美もとい厄災は、霖太郎の手によって完全に消滅した。両親が家に戻ってから検分したので、間違いない。
 しかし、郁の至極まっとうな意見は、厄災の特徴上で否定されている。
「いえ、厄災は完全に消え去っていません。まだ『分身』が、残っている可能性があるので」
「分身だと?」
「自身の成分を完全に分けて、二つの独立体にすることができるんです」
 これはメモにまとめられていた確実な情報の一つで、この性質こそが、平安時代から厄災を完全消滅できていない原因となっている。一定量以上の霊力を集めていれば、厄災はいくらでも分裂することができ、現在の個体数を把握することが不可能となっている。その為秋雨家は、現在は霖太郎の両親が、定期的に全国各地に赴き、厄災の湧き潰しを行っているという状況である。
「両親の検分から、僕が退治した厄災はかなり大きな力を持っていたらしくて、本体と言っても過言ではないと。なので大きな障害は消えたのですが、他の低レベルの分身が……」
「秋雨家の人間でしか湧き潰しができないのなら、効率が悪すぎるな」
「陰陽師の人に秋雨家の能力を使えるかどうか試したことがあるらしいですけど、血を引き継いでいないと無理だったらしくて」
 更に、あまりに低レベルの分身だと、検出することが困難になるという。これでは厄災の根絶は事実上不可能となり、秋雨家の人間は血が絶えるまで、厄災と立ち向かわなければならない。そして血が絶えることは、秋雨家の敗北の証となる。
「想像以上に複雑で、大問題に繋がりかねない話だな、厄災っていうのは。これは詳しく事情を聞かなければ」
「是非よろしくお願いします。……あ、ここの突き当たりの家です」
 家が近くなったところで、霖太郎は郁の道案内を終えた。が、ついて行こうとしない霖太郎に郁が呼びかける。
「何故お前が来ない?」
「え? いや、親のほうが詳しいので僕がいてもいなくても、」
「厄災を討伐した当事者だ。お前抜きで話を聞くわけないだろう」
 当主の言うことだ、基本的に背けない。が、既に悪霊との戦闘で仁美と仁志を待たせている。これでは予定を合わせてくれた二人に申し訳が立たない。
「あの、実はこれから人と会う約束が」
「蹴れないのか?」
「いえ、こちらも重要なことなので、この機会は逃せないというか、あの、厄災討伐の協力を実質してくれた人というか」
 あまり言いたくなかったが、郁の圧に負けて正直に漏らしてしまう霖太郎。それを聞き、郁は目を丸くした。
「なるほど、しかし何故先にそれを言わない」
 やましいことがあったからか、口ごもって返答できない霖太郎。先に切り上げたのは郁だった。
「予定変更だ、その人物との会談に混ざらせてもらう」
「え、でもうちの親と話をするんじゃ」
「時間までは指定できてないから、遅れても問題ない。それよりもそっちが重要そうだ。……お前の仕事に対する姿勢に関しても、な」
 最後にそう言って、郁がギロリと霖太郎を睨んだ。やましいことがばれている、と思わず目をそらしながら、合流場所と二人がどう絡んだのかを教えることとなった。
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