上 下
68 / 234

第68話 変なお願い

しおりを挟む
 魔導研究所に来た。

 いつもより人が多くて混んでいた。

 ······あれ?ここで働いている人ほとんど男性のハズなのに今日は白衣の女性が多いな。

 受付を済ましてしばらく待ったら呼ばれた。

 そのまま診察室に誘導されて入ると黒髪ロングで白衣の女性がいた。

黒髪ロング 「今男性の姿ですけど、ナーダ·ヌーヴァさんですよね?」

ナーダ 「はい、そうです。朝起きたら性転換してて。」

黒髪ロング 「そうなんですか、実は僕もなんですよ。」

ナーダ 「あの···もしかしてケイさんですか?」

ケイ 「はい、そうです。よくわかりましたね。」

ナーダ 「この国で黒髪の人は珍しいので。」

ケイ 「あっ···そうですよね。ちょっと勘違いしてた自分が恥ずかしいです。」

ナーダ 「勘違いって?」

ケイ 「ナーダさんと少し親しくなったから女性になっても自分だと気づいてくれたのかと思って。」

ナーダ 「そうでしたか。まぁでもケイさんみたいな美しい人は黒髪じゃなくてもわかったかもしれないですね。」

ケイ 「ちょっとお世辞はやめてくださいよ。」

ナーダ 「お世辞じゃないですよ、初めて会ったときからずっとケイさんのことを美しい人だと思っていました。」

ケイ 「えっ?突然、何カミングアウトしてるんですか!」

ナーダ 「男性になったから強気になっちゃいました。」

ケイ 「ナーダさんがそうやってカミングアウトするなら僕もしますよ。」 

ナーダ 「どうぞ」

ケイ 「僕は初めて会ったときからナーダさんのことを凛とした美しい人だと思っていました。」

ナーダ 「ケイさんにそう言われると嬉しいですね。」

ケイ 「それは良かったです。なんか男女で褒め合うと変な気分になりますね。」

ナーダ 「そうですね。」

ケイ 「まぁ本題に戻しますけど、現在この性転換現象は各地で起こっています。」

ナーダ 「そうなんですね。」

ケイ 「はい。だからわりと大きな問題になっています。」

ナーダ 「元に戻るにはどうすればいいんですか?」

ケイ 「昔の文献を調べたんですけど今回のようなことが500年前にも起きていて、大体1週間経過すれば元の姿に戻るそうです。」

ナーダ 「そうなんですね良かった。でも今すぐ戻るのは無理なんですか?」 

ケイ 「魔法で元に戻そうと色々試してみたんですけど何かに阻まれて無理でした。」

ナーダ 「じゃあ1週間この姿で過ごすしかないですね。」

ケイ 「そうですね。」

ナーダ 「まぁ今の顔も体も気に入っているのでこの1週間楽しむことにします。」

ケイ 「ナーダさんはポジティブで凄いですね。」

ナーダ 「そうですか?」

ケイ 「僕は女性の体に全然慣れていないのでしばらくこれだと思うと怖いです。」

ナーダ 「ケイさん、モテそうなのに女性の体は見慣れてないんですか?」

ケイ 「生まれてから一度も女性とお付き合いをしたことはないです。研究一筋なので。」

ナーダ 「でも女性に告白される経験はあるんじゃないんですか?」

ケイ 「それはまぁ···多少は」

ナーダ 「もったいないですね、せっかく格好良いのに。」

ケイ 「好きな人が僕のことを好きになってくれればモテなくていいです。」

ナーダ 「へぇ~今好きな人いるんですか?」

ケイ 「秘密です。」

ナーダ 「残念·····誰なのか知りたかったです。」

ケイ 「それはどういう意味で?」

ナーダ 「興味本位ですね。」

ケイ 「そうですか······」

ナーダ 「一瞬ケイさんの顔が曇ったけど私なんか余計なこと言いました?」

ケイ 「いえ·······別に。」

ナーダ 「良かった。あっそろそろ····長居しすぎたからもう帰りますね。」

ケイ 「ナーダさん、ちょっと待ってください。」

ナーダ 「何?」

ケイ 「今日は早あがりするので、女性の体を慣らす手伝いをしてくれませんか?」

ナーダ 「えっ····何で私なんですか?」

ケイ 「ナーダさんしか頼れる人がいないんです。」

ナーダ 「1人でどうにか克服出来ないんですか?」

ケイ 「自信がないです。」

ナーダ 「付き合ってもいない上に性転換している状態でそれは良くないんじゃ。」

ケイ 「1回だけお願いします。」

ナーダ 「そんなに言うならわかりました、いいですよ。」

ケイ 「助かります。じゃあすぐ仕事を終わらせるのでそこで待っててもらえますか?」

ナーダ 「はい。」

 それから15分後。

ケイ 「仕事が終わったので僕の家に行きましょう。」

ナーダ 「その前に今日の診察代を受付に払わないと。」

ケイ 「今回は元に戻せないから無料です。受付の人にも伝えてあるからこのまま帰りましょう。」

ナーダ 「わかった。じゃあケイさんの家に行きますか。」

ケイ 「はい。」

 それぞれの飛行手段でケイの家まで向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

隠された第四皇女

山田ランチ
ファンタジー
 ギルベアト帝国。  帝国では忌み嫌われる魔女達が集う娼館で働くウィノラは、魔女の中でも稀有な癒やしの力を持っていた。ある時、皇宮から内密に呼び出しがかかり、赴いた先に居たのは三度目の出産で今にも命尽きそうな第二側妃のリナだった。しかし癒やしの力を使って助けたリナからは何故か拒絶されてしまう。逃げるように皇宮を出る途中、ライナーという貴族男性に助けてもらう。それから3年後、とある命令を受けてウィノラは再び皇宮に赴く事になる。  皇帝の命令で魔女を捕らえる動きが活発になっていく中、エミル王国との戦争が勃発。そしてウィノラが娼館に隠された秘密が明らかとなっていく。 ヒュー娼館の人々 ウィノラ(娼館で育った第四皇女) アデリータ(女将、ウィノラの育ての親) マイノ(アデリータの弟で護衛長) ディアンヌ、ロラ(娼婦) デルマ、イリーゼ(高級娼婦) 皇宮の人々 ライナー・フックス(公爵家嫡男) バラード・クラウゼ(伯爵、ライナーの友人、デルマの恋人) ルシャード・ツーファール(ギルベアト皇帝) ガリオン・ツーファール(第一皇子、アイテル軍団の第一師団団長) リーヴィス・ツーファール(第三皇子、騎士団所属) オーティス・ツーファール(第四皇子、幻の皇女の弟) エデル・ツーファール(第五皇子、幻の皇女の弟) セリア・エミル(第二皇女、現エミル王国王妃) ローデリカ・ツーファール(第三皇女、ガリオンの妹、死亡) 幻の皇女(第四皇女、死産?) アナイス・ツーファール(第五皇女、ライナーの婚約者候補) ロタリオ(ライナーの従者) ウィリアム(伯爵家三男、アイテル軍団の第一師団副団長) レナード・ハーン(子爵令息) リナ(第二側妃、幻の皇女の母。魔女) ローザ(リナの侍女、魔女) ※フェッチ   力ある魔女の力が具現化したもの。その形は様々で魔女の性格や能力によって変化する。生き物のように視えていても力が形を成したもの。魔女が死亡、もしくは能力を失った時点で消滅する。  ある程度の力がある者達にしかフェッチは視えず、それ以外では気配や感覚でのみ感じる者もいる。

自由気ままな生活に憧れまったりライフを満喫します

りまり
ファンタジー
がんじがらめの貴族の生活はおさらばして心機一転まったりライフを満喫します。 もちろん生活のためには働きますよ。

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...