裏山の君

メタボ戦士

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1話 変な偶然

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「ここに来たのも小学校以来か懐かしいな。きぃ君まだこの町に住んでいるかな······なんて、いるわけ無いか。もうあれから8年経過しているし。」

 
 私の名前は泉千代いずみちよ(20)。

 今日は小学校の同窓会のために昔住んでいた町に戻って来た。

 ····みんなに会うのは小学生以来だから楽しみだな。

 会場は確か学校の近くのレストランだから早く行こう。

 

〈ウウィーーン〉

「こんにちは」

「いらっしゃいませ。同窓会ですか?」

「はい。」

「では会費とこちらの用紙にお名前お願いします。」

「はい〈スッ〉〈カキカキ〉」

「では名札とその他諸々です。」

「どうも。」
 
「楽しんできてくださいね。」
 
「はい。」

〈ガチャ〉

 ·····見覚えのある顔が少ないな····

 流石に8年もしたらみんな変わるか····

「千代~」

 ·····私の名前を呼ばれたけど見覚えがない顔·····ん?近づいて来る。

〈ダダダッ········ドンッ〉

「ゴホッ······この突進はヒロミだな、びっくりしたなぁーもう····。」

「久しぶり、会いたかったよ。」

「私も。小学校以来だね。」

「そうだね。もう8年か····お酒を飲める年齢になったんだね。」

「ね~感慨深いな····。私達出会ったときはあまり仲良くなかったよね?」

「うん。まさかこんなに仲良くなれるとは思わなかったよ。」

「あのことがあってから仲良くなったよね。」

「あれね、確かに。」

 数十分後。

「そろそろ始まるね。」

「楽しみだな。」

 
 数時間後。 

 同窓会途中で終了後に小学校の校庭に生えていた木の付近に埋めたタイムカプセルを掘りに行こうという話になり、みんなで小学校に行った。

「「到着。」」

「なんか前よりボロいな。」

「「うん。」」

「じゃあ俺等、木の付近を掘っていいか小学校の職員さんに許可取りして来るからそこで待ってて。」

「「了解。」」

 10分後。

「許可取れたぞ。」  

「あとスコップを借りられたから掘るわ。」

「「うん。」」

〈ガッワサ···ガッワサ···············カッ〉

 数分後。

「硬っ」

「なんか金属みたいのが·····」
 
「タイムカプセルじゃない?」

「じゃあ周辺を掘り返そう。」

「「うん。」」

 数分後。

「出たね。」

「開けよう。」

「「うん。」」

〈パカッ〉

「「お~カラフル」」

「みんな自分のやつ覚えてる?」

「「たぶん」」

「名前書いてあるし大丈夫でしょ。まぁそれぞれ開けよう。」

「「うん。」」

 ······私はクッキー缶のタイムカプセル。

 何入れたっけ?開けてみよう。

〈パカッ〉

 ·······懐かしい。

 私ときぃ君のツーショット写真だ。

 お互い照れているな可愛い。

 あの頃が1番青春していたな·····

〈ホワンホワン······〉


 時を遡ること10年前。

 私は親の転勤で転校を繰り返して友達が作りにくかった。

 それに目つきが悪く、『生意気だ。』とクラスの男子によく虐められていた。

 目つきは悪いが心は繊細で傷ついて、誰もいないところで泣いていた。


 泣き場所は決まって誰も寄りつかない近くの裏山。

 到着したら大声で泣く。

 そうすると気持ちがスッキリして満足する。

 だから今日も泣きに来た。

 ·····よし今日も誰もいないな、泣こう。

「わぁ~~~~ーん」 

 ······涙とともにストレスが流されるような気がする。

 なんかそういうセラピーみたいなのがあるみたいだし泣くのっていいんだな。

「あーうるせぇ。せっかく寝るのに丁度いい穴場を見つけたのにガキの泣き声で最悪だ。」

 ·····ヤバッ!ちゃんと確認したと思ってたのに後ろの方に知らん男がいた。

 恥ず!

「〈クルッ〉あなたは誰?」

「俺に聞いているのか?ガキ。」

「えぇ~」

 ·····初対面なのに口悪!

「俺の名前は須藤紀伊汰すどうきいた(13)中学1年生。今日この町に引っ越して来た。お前は?」

「私の名前は泉千代いずみちよ(10)小学4年生。何よ新参者じゃない。私の方がこの町に来てから長いのよ、半年もいるのだから。」

「うるせぇ····俺の方が3歳も上なんだから敬え。あと俺の寝床だからここにはもう来るな。」

「はぁ~ここがアンタの親の所有地でない限りそんな権限ないわよ。馬鹿じゃないの?」

「確かに親の所有地ではないけど、俺はお前よりも年上だしいいだろ。それにお前の悩みなんてどうでもいいけど、こんなところで泣いたところで何も解決しないぞ。」

「何よ!何もわからない癖に勝手なこと言って~。ここでたくさん泣くからストレス解消出来たのに奪おうとするなんて酷い、悪魔。」

「悪魔でも閻魔でも勝手に言えばいい、でもここは渡さないぞ。」

「私だって。」

「お互いに譲れないならジャンケンだ、それなら平等だろ。負けた方は明日からここに来ないということでいいな。」

「わかった。それでいいわ。」

「「ジャンケン····ぽい。」」

 私はグー、彼はチョキだった。

「私の勝ちねwほら立ち去りなさい。もう来ないでね。」

「待てよ····お前も居ていいからここ使わせてくれよ。こんな落ち着いて眠れる場所ないんだよ。」

「家で眠ればいいじゃない。」

「家は弟達がうるさくて寝れないんだよ。だからお願い····お前の悩みも聞いてやるから。」

「土下座をして『僕が生意気でした』と言うならいいわよ。」

「下手に出たらつけあがりやがって·····」


「そんなこと言っていいのかな~w」


「くっ!〈ズッ〉僕が生意気でした。」

「いいわよ共同で使ってw」

「ホッ····」

「あと悩み相談をしてくれるのよね?」

「おぅ」

「じゃあ話すわ実はクラスの男子に『生意気だ』って虐められているの。」

「お前、性悪だから自然とそうなるだろ。」

「学校では大人しいわよ。」

「土下座させたくせに····」

「それはあなたが嫌なやつだからよ。」

「そういうところだよ。」
 
「はぁ?」

「自分では大人しいと思っても他の視点だと見え方が変化して別の印象に見えているかもしれないだろう。」
 
「うん?」

「客観的に物事を捉えないと駄目なんだよ。クラスの男子に虐められていると思っていても、本当は違うかもしれない。そう思うことが大事だ。」

「長々言われたけどよくわからないわ。」

「端的に言えば主観的に1つの方向から見るのではなく客観的に色々な方向から物事を考えろということだよ。」

「わかったようでわからないわ。でもなんかありがとう。」

「どういたしまして。まぁこれも縁だ、また何かあったら相談してくれ。学校帰りにここに来るから。」

「うん。あれ?ここで寝るんじゃなかったの?」

「寝にも来る。」

「意外と良い人だねアンタ。」

「アンタじゃねぇ、紀伊汰さんと呼べ。」

「さん付け嫌だから紀伊汰君でいい?」

「それで良いよ。お前はなんて呼べばいい?」

「千代さんでいいよ。」

「何で俺が『君』でお前は『さん』なんだよ。千代でいいだろ別に。千代。」

「何か呼び捨ては照れるわね。まぁいいわこれで。」

「偉そうだな。〈グ~~〉ハハッ···丁度腹も鳴ったし家に帰るわ、千代は?」

「私も帰る。遅いとお母さんが心配するから。」

「じゃあ送っていくよ。」

「ありがとう。」

「家って何処の方?」

「●●●●●●●●」

「え!偶然だな。俺もそっち方面。」

「マジか!丁度いいね。」

「そうだな。じゃあ帰るぞ。」

「えぇ~」

 数十分後。  

「私、この家だから。」

「え!マジ!」

「どうしたの?」

「俺隣何だけど···」

「え!お隣さん?」

「こんな偶然あるんだな····」

「そうだね。」 

「「プッハハハッ············」」
 
「何か····ウケるw」

「だなw」

「じゃあね紀伊汰君。」

「またな千代。」

〈ガチャ〉
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