女装男子と私

49話 水族館③

「到着♪」

「美月、入口前で1枚撮って。」

「スマホでいい？」

「うん。」

「じゃあ夏樹がしたいようにポーズをとって。私はそれに合わせて撮るから。」

「上からだね。美月に出来るの？」

「これで4回目だからいけるよ。」

「そこまで言うなら信じるよ。」

「どんとこい。」


　数分後。

「OK！ベストショットが撮れたよ。」

「どれ見せて。」

「はい〈ｿｯ〉写真以外は見ないでよ。」

「〈ｿｯ〉見ないよ〈ｽｯ····ｽｯ·····〉お····確かによく撮れてんじゃん。」

「そう？良かった。じゃあ行こう、はい〈ｿｯ〉」

「え？うん〈ﾆｷﾞｯ〉」

「いや····何で手を繋いでるん？」
　
「だって美月が手を出してきたから、そういうことなのかなって思って。」

「スマホだよ。え？勘違いしちゃったの？」

「手を出してきたらそう思うじゃん。」

「ハハッ····そんなに繋ぎたいならこのままでもいいけどw」

「じゃあそうしようかな。これならはぐれなさそうだし。」

「え？」

「冗談だよ。これだと写真が撮れないし。」

「だよね～良かった。女装状態だからって流石にこんな人がたくさんいる場所で無理だもんね。」

「別に今の状態だと他の人には姉妹にしか見えないからいいんじゃね？美人な姉と地味な妹みたいな感じでw」

「誰が『地味な妹』だよ。失礼だな。」

「だって本当のことだし。」

「そうかもしれないけどムカつく～〈ポコポコ〉」

「痛た····ごめんって。美月は地味だけど可愛いよ。」

「お世辞言われてもね。まぁいいや赦してあげる。」

「はぁ····助かった。〈ﾎﾞｿｯ〉美月の腕力ゴリラだから。」

「何か言った？」

「別に····それより早く行こう。」

「うん。」