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ケモノはシーツの上で啼く Ⅱ
10.欲情
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介抱するつもりで、さらにインバスの成分の入ったものを塗りこんでいたなんて思いもしない。
知らなかったとはいえ、とんでもないことをしてしまった。
焦りと申し訳なさで、柴尾はおろおろとした。
「く……」
小さく呻き、斎賀が体を震わせる。
「インバスなんぞに……屈するものか……っ」
吐き捨てるように、斎賀が呟いた。
体は快楽を求めているのに、斎賀の気高い意志はそれを許さない。
楽になりたい気持ちと耐えたい気持ちで、せめぎ合っているのだ。
悔しそうに唇を噛む斎賀に、柴尾は辛くなる。
大丈夫かと訊ねるのは、愚かだ。けれど、どう声を掛けて良いかが分からない。
「斎賀様……」
柴尾は見守るように斎賀を見つめた。
斎賀の尾は落ち着かないように動き、もぞっと腰が揺れる。
「く……っ」
耐えるように斎賀は眉間に皺を寄せた。斎賀の意思に反して、腰は再び勝手に誘うように蠢く。
「中……が……」
独り言のように、聞き取れないほどの声が聞こえた。
柴尾に言ったのではないようだ。零れた言葉を止めるように、斎賀は慌てて口を塞いだ。
斎賀の手が腰の方へ動きかけるが、引き返して拳を作る。疼きを我慢するように、身を捩った。
「う……」
辛そうな声に、斎賀の熱を解放すべく柴尾は続きを再開することにした。
「続きをしましょう」
今までの倍、斎賀は辛くなっているに違いない。
柴尾は横を向いた斎賀の体を、仰向けにした。
「……っ」
斎賀の腰が無意識にか、小さく揺れる。震える足がシーツを掻いた。
「く……そ……っ」
斎賀は悔しそうに呟いた。
少しでも斎賀を解放できるよう、柴尾は斎賀自身に手を添わせると少し強めに上下に擦った。
だが、先程までと違い、直接的な刺激を与えても斎賀はもどかしそうに膝を擦り合わせる。
「……っ、はぁ……っ」
斎賀が苦しそうな息を吐いた。
心苦しさしかない。
どうすれば最も早く、斎賀を楽にしてあげられるのか。
こんなことなら、朱貴にもっと話を聞いておくべきだった。
柴尾は自分に男同士の経験がないことを悔いた。
思案していると、斎賀が少し腕を宙に上げた。
「……柴尾。私の……体を起こせ」
「は、はい」
言われるまま、柴尾は斎賀の両腕を引っ張り上体を起こさせた。
斎賀はシーツの上に座り、一瞬体をびくりとさせた。シーツが尻奥の入り口を掠めたのかもしれない。
どうするつもりかと思っていたら、肩をどんと突かれ後ろ向きに倒された。
今度は柴尾の方が、ベッドに仰向けになる。
「え? 斎賀様?」
緩慢な動きで、斎賀は柴尾の腰を跨いだ。
見下ろす斎賀と目が合う。さらりと銀の髪が揺らめいた。
ベッドがぎしりと揺れ、斎賀は柴尾の両脇に手を付いた。
その直後、柴尾の中心はとんでもない気持ちよさに襲われた。
「―――く……」
斎賀がゆっくりと、柴尾の昂ぶりの上に腰を落とした。
そんなことを斎賀がするとは夢にも思わず、信じがたい目で斎賀を見上げた。
しかし、自身を包み込む熱さと圧迫感が、それが夢ではないと教えてくれる。
「……っ。どうせ挿れることになるなら……、最初は自分で挿れた方が……マシだ……っ」
斎賀が息を吐き出した。本来受け入れる場所ではない場所に柴尾を受け入れ、苦しさで眉を寄せる。
それは、壮絶な色香を感じさせた。
「さ……斎賀様……っ」
声が震えた。
信じられないことに柴尾は今、斎賀の中にいる。一気に気持ちが昂った。
人にされるくらいなら自分からした方がマシだとは、何と男らしい。
最初手伝うことすら嫌がっていたこの行為も、一度開き直れば受け入れてしまう。斎賀は一度認めてしまえば潔い。
「やっぱり、斎賀様はかっこいいです」
笑顔を零すと、見下ろす斎賀は呆れたような溜め息をついた。
「可愛いわけでも女らしいわけでもない、そんな男を抱きたいなど……酔狂な奴だ」
酔狂でも何でもない。それは、斎賀がそれほど魅力的ということなのだから。
柴尾は腰を揺らした。
「あ……っ」
中を刺激され、斎賀が声を零す。
柴尾は斎賀の腰を掴むと、続けて腰を突き上げた。
「うっ……あ」
慌てて斎賀が口を塞ぐ。しかし、支えがなくなり体を前のめりに崩した。
「斎賀様っ」
倒れる体を受け止めた。長い銀の髪が、柴尾の体の上に落ちた。
どうしても柴尾が口を塞ぎたいのであれば、この体勢は無理だ。
柴尾は身を起こすと、斎賀の体を仰向けにした。
斎賀の全身を、ゆっくりと見下ろす。
さっきまでは斎賀の熱を解放するため、体をゆっくりと見る余裕もなかった。初めて、胸に近付く。
引き締まったきめの整った綺麗な肌の上に、小さな粒がある。
柴尾は欲張りだから、大きな果実だけではなく、小さな果実も食べたかった。
吸い寄せられるように、胸の果実に吸い付く。びくっと斎賀が震えた。
「斎賀様……小さくて可愛い……」
うわ言のように呟く。
なんて小粒で愛らしいのか。いくらでも舐めて吸って、食べてしまいたい。
赤ん坊のように乳首を吸い出した柴尾に、とうとう我慢できなくなった斎賀が声を上げた。
「お前にも同じものが付いているだろうが……っ。余計なことはしなくていい。私は……抱き合いたいのではない」
これは愛し合うための行為ではない。ただ熱を解放するための行為だ。
だから、前儀のようなことはしなくて良いのだと、斎賀は柴尾に現実を突きつける。
斎賀はこの行為を割り切っている。しかし柴尾は、斎賀のようには割り切れない。
名残惜しいが、柴尾は斎賀の胸に吸い付くのを諦めた。
斎賀が望むのなら、柴尾もそれに応えるまでだ。
柴尾は斎賀の両の膝裏を掴むと、前に押し倒した。
「い……いいんですね」
後ろに挿れても―――。
しかし、返事は待たずに、楔を打ち込んだ。
「斎賀……様……!」
「ん……、うっ」
激しく貫かれ、斎賀は口を塞ぐ手に力を込める。
男同士でのやり方は、朱貴に教えてもらった。どこをどう突けば、斎賀が気持ちよくなるのか。
柴尾は最初から目的のために、激しく腰を動かした。
ぼたぼたと斎賀が腹の上を濡らす。柴尾自身をも締め付ける。抑えきれない声が、零れる。
達することしか、斎賀を攻めることしか、もう頭になかった。
斎賀と体を繋げる行為は、柴尾が今まで生きてきた中で、最も刺激的で官能的だった。
知らなかったとはいえ、とんでもないことをしてしまった。
焦りと申し訳なさで、柴尾はおろおろとした。
「く……」
小さく呻き、斎賀が体を震わせる。
「インバスなんぞに……屈するものか……っ」
吐き捨てるように、斎賀が呟いた。
体は快楽を求めているのに、斎賀の気高い意志はそれを許さない。
楽になりたい気持ちと耐えたい気持ちで、せめぎ合っているのだ。
悔しそうに唇を噛む斎賀に、柴尾は辛くなる。
大丈夫かと訊ねるのは、愚かだ。けれど、どう声を掛けて良いかが分からない。
「斎賀様……」
柴尾は見守るように斎賀を見つめた。
斎賀の尾は落ち着かないように動き、もぞっと腰が揺れる。
「く……っ」
耐えるように斎賀は眉間に皺を寄せた。斎賀の意思に反して、腰は再び勝手に誘うように蠢く。
「中……が……」
独り言のように、聞き取れないほどの声が聞こえた。
柴尾に言ったのではないようだ。零れた言葉を止めるように、斎賀は慌てて口を塞いだ。
斎賀の手が腰の方へ動きかけるが、引き返して拳を作る。疼きを我慢するように、身を捩った。
「う……」
辛そうな声に、斎賀の熱を解放すべく柴尾は続きを再開することにした。
「続きをしましょう」
今までの倍、斎賀は辛くなっているに違いない。
柴尾は横を向いた斎賀の体を、仰向けにした。
「……っ」
斎賀の腰が無意識にか、小さく揺れる。震える足がシーツを掻いた。
「く……そ……っ」
斎賀は悔しそうに呟いた。
少しでも斎賀を解放できるよう、柴尾は斎賀自身に手を添わせると少し強めに上下に擦った。
だが、先程までと違い、直接的な刺激を与えても斎賀はもどかしそうに膝を擦り合わせる。
「……っ、はぁ……っ」
斎賀が苦しそうな息を吐いた。
心苦しさしかない。
どうすれば最も早く、斎賀を楽にしてあげられるのか。
こんなことなら、朱貴にもっと話を聞いておくべきだった。
柴尾は自分に男同士の経験がないことを悔いた。
思案していると、斎賀が少し腕を宙に上げた。
「……柴尾。私の……体を起こせ」
「は、はい」
言われるまま、柴尾は斎賀の両腕を引っ張り上体を起こさせた。
斎賀はシーツの上に座り、一瞬体をびくりとさせた。シーツが尻奥の入り口を掠めたのかもしれない。
どうするつもりかと思っていたら、肩をどんと突かれ後ろ向きに倒された。
今度は柴尾の方が、ベッドに仰向けになる。
「え? 斎賀様?」
緩慢な動きで、斎賀は柴尾の腰を跨いだ。
見下ろす斎賀と目が合う。さらりと銀の髪が揺らめいた。
ベッドがぎしりと揺れ、斎賀は柴尾の両脇に手を付いた。
その直後、柴尾の中心はとんでもない気持ちよさに襲われた。
「―――く……」
斎賀がゆっくりと、柴尾の昂ぶりの上に腰を落とした。
そんなことを斎賀がするとは夢にも思わず、信じがたい目で斎賀を見上げた。
しかし、自身を包み込む熱さと圧迫感が、それが夢ではないと教えてくれる。
「……っ。どうせ挿れることになるなら……、最初は自分で挿れた方が……マシだ……っ」
斎賀が息を吐き出した。本来受け入れる場所ではない場所に柴尾を受け入れ、苦しさで眉を寄せる。
それは、壮絶な色香を感じさせた。
「さ……斎賀様……っ」
声が震えた。
信じられないことに柴尾は今、斎賀の中にいる。一気に気持ちが昂った。
人にされるくらいなら自分からした方がマシだとは、何と男らしい。
最初手伝うことすら嫌がっていたこの行為も、一度開き直れば受け入れてしまう。斎賀は一度認めてしまえば潔い。
「やっぱり、斎賀様はかっこいいです」
笑顔を零すと、見下ろす斎賀は呆れたような溜め息をついた。
「可愛いわけでも女らしいわけでもない、そんな男を抱きたいなど……酔狂な奴だ」
酔狂でも何でもない。それは、斎賀がそれほど魅力的ということなのだから。
柴尾は腰を揺らした。
「あ……っ」
中を刺激され、斎賀が声を零す。
柴尾は斎賀の腰を掴むと、続けて腰を突き上げた。
「うっ……あ」
慌てて斎賀が口を塞ぐ。しかし、支えがなくなり体を前のめりに崩した。
「斎賀様っ」
倒れる体を受け止めた。長い銀の髪が、柴尾の体の上に落ちた。
どうしても柴尾が口を塞ぎたいのであれば、この体勢は無理だ。
柴尾は身を起こすと、斎賀の体を仰向けにした。
斎賀の全身を、ゆっくりと見下ろす。
さっきまでは斎賀の熱を解放するため、体をゆっくりと見る余裕もなかった。初めて、胸に近付く。
引き締まったきめの整った綺麗な肌の上に、小さな粒がある。
柴尾は欲張りだから、大きな果実だけではなく、小さな果実も食べたかった。
吸い寄せられるように、胸の果実に吸い付く。びくっと斎賀が震えた。
「斎賀様……小さくて可愛い……」
うわ言のように呟く。
なんて小粒で愛らしいのか。いくらでも舐めて吸って、食べてしまいたい。
赤ん坊のように乳首を吸い出した柴尾に、とうとう我慢できなくなった斎賀が声を上げた。
「お前にも同じものが付いているだろうが……っ。余計なことはしなくていい。私は……抱き合いたいのではない」
これは愛し合うための行為ではない。ただ熱を解放するための行為だ。
だから、前儀のようなことはしなくて良いのだと、斎賀は柴尾に現実を突きつける。
斎賀はこの行為を割り切っている。しかし柴尾は、斎賀のようには割り切れない。
名残惜しいが、柴尾は斎賀の胸に吸い付くのを諦めた。
斎賀が望むのなら、柴尾もそれに応えるまでだ。
柴尾は斎賀の両の膝裏を掴むと、前に押し倒した。
「い……いいんですね」
後ろに挿れても―――。
しかし、返事は待たずに、楔を打ち込んだ。
「斎賀……様……!」
「ん……、うっ」
激しく貫かれ、斎賀は口を塞ぐ手に力を込める。
男同士でのやり方は、朱貴に教えてもらった。どこをどう突けば、斎賀が気持ちよくなるのか。
柴尾は最初から目的のために、激しく腰を動かした。
ぼたぼたと斎賀が腹の上を濡らす。柴尾自身をも締め付ける。抑えきれない声が、零れる。
達することしか、斎賀を攻めることしか、もう頭になかった。
斎賀と体を繋げる行為は、柴尾が今まで生きてきた中で、最も刺激的で官能的だった。
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