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そしてケモノは愛される

42.青空の下

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 腰に下げた剣や縄などを、草の上にぽいぽいと転がす。
 穂積の服は草の上に放り投げたが、志狼の濡れた服は乾かしがてらシロの待つ木の枝に引っ掛けた。

 太陽の下、広々とした隠れられない場所で素っ裸にされ、草の上に座り込んだ志狼は心もとないのか尾で前を隠していた。

「こんなところ、誰かに見られたら……」
「ぐるっと回ってこなきゃ見えねえから大丈夫だ」
 根拠はないが、穂積は自信たっぷりに言い切った。

 ぺたりと尻をつけて地面に座っている志狼の前にしゃがむと、ちらりと視線が向けられる。
「裸、初めて見た……。着痩せ……してるんだ」

 穂積は今も体を鍛え続けている。割れた腹筋もまだ健在だし、胸板も厚く、腕も逞しい。がっしりとした体躯は、現役時代には敵わないが、志狼よりも男らしいくらいだ。

「男らしくて、いいカラダだろ」
 つい自慢げに言ってしまう。
 穂積の雄々しいものが目に入ってしまったのか、志狼は恥ずかしそうに少し視線を逸らすと小さく頷いた。

「……お、男の人に、抱かれるんだ……て感じがする」
 志狼が顔を真っ赤にした。

 今のはキタ。
 無自覚で、穂積を興奮させるようなことを言う。今すぐ押し倒したくなった。

 だが、今のは違う意味でも引っ掛かった。
「お前、まさか斎賀と比べたな」
「!」
 耳をピンと立てたその反応で、図星だったとすぐ分かった。

 斎賀の体は当然男のものではあるが、余計な筋肉をつけずに絞り込まれた細身できれいな体だ。
 女なら比較はしないが、相手が男という特殊な状況なため、つい比較してしまったに違いない。

「空気読んで口にしないでいたのに、何でそういうこと言うかなぁ」
 鈍い志狼にしては、一応気遣っていたらしい。

 きっと穂積が、斎賀を意識しすぎているからだ。

 過去の女にはまったく嫉妬しないが、斎賀にだけは嫉妬する。
 志狼を初めてちゃんと抱いたのは、斎賀だ。良く知る親友だからこそ、意識してしまう。

 斎賀はどのように志狼を乱れさせたのか。志狼はどれほど愛されたのかと。

「うるせえ。嫉妬してんだよ」
 みっともないが、正直に告げた。
 嫉妬なんて感情は、きっと十代の頃以来なのではないかと思う。

 驚いた顔で志狼が見返した。
「穂積先生でも、嫉妬なんてするんだ……。そういう女々しい考えなんて、しないと思ってた」
「嫉妬くらいするさ」

 ぱたっ…と志狼の膝の上で、尾が小さく動いた。
「……な、なんか、ちょっと……嬉しいかも」
 志狼は照れた顔で呟いた。

 穂積は、志狼の腰に手を回した。背骨に指を這わせると、ぴくっと志狼が反応する。
 腰を支えるようにして、その体を草の上に横たえた。

「それだけ、志狼にべた惚れってことなんだよ」
 見上げる志狼の耳がピンと立つ。
 小さく、うん、と返ってくる。
「俺も……。穂積先生のこと、好き」

 互いに気持ちを確かめ合い、穂積は夢中で志狼の体をまさぐった。
 日に焼けた張りのある体、硬いが少し弾力があり触り心地のいい肌。ずっと、全身触れたくて仕方がなかった。
 平らな胸の小さな粒も、快感を素直に伝えてくる下腹部も、ようやく思う存分、遠慮せずに触れられる。

 キスを繰り返し、指で右の胸の粒を摘まんだり揉んだりすると、唇が離れるたびに志狼が小さく声を漏らす。女と違うこんな小さな胸でも感じるものなんだなと、不思議に思えた。

 貪っていた唇から離れ、首筋から鎖骨へと降りていく。穂積の舌が胸まで移動すると、志狼が反射的に穂積の肩を押そうとした。

「あっ……あ」
 この程度で逃げ腰では、この先持たない。そんな思いを込めながら舌先で胸の粒を転がすと、志狼は体を震わせた。

「はぁ……っ、……っ先生」
 熱っぽく呼ばれると、もっと感じさせてやりたいと思う。
 穂積の右手は、鍛えられた志狼の腹をゆっくりと下へと移動した。

 ふさ、と手に温かなものが触れた。
 見ると触れたい部分に、茶色の尾が乗っかっていた。
 穂積はむぎゅっとそれを掴むと、放り出すかのような勢いで体から引き剥がした。

「わぁぁ」
 興奮を隠せないその場所が露わになり、志狼が慌てた声を出す。

 今から抱くと言っているのに、いつまでもここを隠しているなんて往生際が悪い。

「いいねえ。そそる姿だ」
 裸で横たわり中心だけを上向かせた志狼に、穂積は満足気に微笑んだ。

 志狼は両手で顔を隠して弱々しく呟いた。
「へ、変なこと言わないで……」

 いつもの元気さはどこへやら、随分と可愛い物言いだ。新鮮な反応で、穂積の中の雄をくすぐられる。

 緩く主張を見せる志狼のそこに、穂積は指を絡めた。
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