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9.三回目
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大樹とみどりと伊沢の奇妙な関係は、思いがけず続くことになった。
伊沢の家に訪問すると、まるでみどりのところへ遊びに来たかのように他愛ないお喋りをすることもあるせいか、みどりは大樹のことをやけに気に入ってくれていた。
「リハビリで同じ人たちとばかりしか会わないから、イツキくんとお喋りするのが楽しいの。年下のコと話すのも久しぶりだわ」
みどりは嬉しそうに笑う。弟にフェラチオをさせるということさえなければ、本当に素敵な女性と知り合いになったと思うところだ。
大樹が希望したので、みどりは昔描いた絵も見せてくれた。中には、コンクールで受賞したという絵もあった。
大樹は絵を描くよりも見る方が好きだったので、みどりとのこういう時間は大樹にとっても楽しいものだった。
流れでみどりの高校の頃の話が出て、みどりがお嬢様高校と呼ばれる高校に通っていたことも知った。
「どうりで、上品な雰囲気だと思った。うちの姉と大違い」
大樹は笑う。
「イツキくんもお姉さんがいらっしゃるの?」
「大学二年の姉が一人。みどりさんと違って、ガサツですけど」
「あら。じゃあ、私と同じ歳なのね」
「みどりさんも?」
大学二年生なのかと訊きかけて、大樹は止まる。
みどりの通っていた高校はエスカレーター式なので、そのまま同じ大学に進学していたはずだ。しかし今は、車椅子生活のせいで大学へは行ってないかもしれない。
気まずさが表情に出てしまったのか、大樹の顔を見てみどりが緩く苦笑した。
「車椅子では通学ができなくて、大学は辞めちゃったの」
出会い系サイトから始まった関係だったが、プライベートな話題もできるほどに大樹はみどりと親しくなった。
だが、伊沢については相変わらずで、歓迎はされていない。
その日は壁際に立たせた伊沢のものを咥えるというポーズだった。
三回目ともなると、伊沢にも多少免疫ができてきたようで、抵抗感はあるようだが素直に体が反応してくれるようになった。
おかげで、伊沢への罪悪感はなくなり、行為自体も疲れようとも苦ではなくなった。
みどりが絵を描き終えた後、半勃ちの伊沢をイカせようとしたが、立っていたせいですぐに逃げられてしまったのが残念だった。
「今日もありがとう」
大樹はみどりから金の入った封筒を受け取った。
「あざっす」
大樹は手提げバッグの中に封筒を放り込む。
次にみどりが、来週も来て欲しいと言うのだと思った。
「ごめんなさい。次なんだけど……」
みどりから出た言葉に、大樹はどきりとした。
まさか今日で終わりだったのかと、内心焦る。
「私の都合が悪くて、再来週はどうかしら」
続けたみどりに、大樹は自分でも驚くほど安堵した。
そもそもたった一度のつもりだったのが三回続いただけで、当たり前のようにこれからも続くと思っていた自分に気付き、軽くショックを受ける。
みどりに気に入られているとはいえ、ただ出会い系サイトで知り合っただけの、いつ切られてもおかしくない関係だ。
大樹は何を根拠に、これからも伊沢と会えると思い込んでいたのだろう。
「分かりました。じゃあ、再来週の土曜日に来ます」
「またよろしくね」
大樹は動揺が表に出ないように気を付けて、伊沢の家を後にした。
ただ一番好みな男というだけだ。
学校でも行事くらいでしか顔を見ることがなかったのだから、頻繁に会えなくなるくらいで動揺する必要はない。
何だか胸騒ぎがして落ち着かず、大樹は服の胸元をぎゅっと握った。
伊沢の家に訪問すると、まるでみどりのところへ遊びに来たかのように他愛ないお喋りをすることもあるせいか、みどりは大樹のことをやけに気に入ってくれていた。
「リハビリで同じ人たちとばかりしか会わないから、イツキくんとお喋りするのが楽しいの。年下のコと話すのも久しぶりだわ」
みどりは嬉しそうに笑う。弟にフェラチオをさせるということさえなければ、本当に素敵な女性と知り合いになったと思うところだ。
大樹が希望したので、みどりは昔描いた絵も見せてくれた。中には、コンクールで受賞したという絵もあった。
大樹は絵を描くよりも見る方が好きだったので、みどりとのこういう時間は大樹にとっても楽しいものだった。
流れでみどりの高校の頃の話が出て、みどりがお嬢様高校と呼ばれる高校に通っていたことも知った。
「どうりで、上品な雰囲気だと思った。うちの姉と大違い」
大樹は笑う。
「イツキくんもお姉さんがいらっしゃるの?」
「大学二年の姉が一人。みどりさんと違って、ガサツですけど」
「あら。じゃあ、私と同じ歳なのね」
「みどりさんも?」
大学二年生なのかと訊きかけて、大樹は止まる。
みどりの通っていた高校はエスカレーター式なので、そのまま同じ大学に進学していたはずだ。しかし今は、車椅子生活のせいで大学へは行ってないかもしれない。
気まずさが表情に出てしまったのか、大樹の顔を見てみどりが緩く苦笑した。
「車椅子では通学ができなくて、大学は辞めちゃったの」
出会い系サイトから始まった関係だったが、プライベートな話題もできるほどに大樹はみどりと親しくなった。
だが、伊沢については相変わらずで、歓迎はされていない。
その日は壁際に立たせた伊沢のものを咥えるというポーズだった。
三回目ともなると、伊沢にも多少免疫ができてきたようで、抵抗感はあるようだが素直に体が反応してくれるようになった。
おかげで、伊沢への罪悪感はなくなり、行為自体も疲れようとも苦ではなくなった。
みどりが絵を描き終えた後、半勃ちの伊沢をイカせようとしたが、立っていたせいですぐに逃げられてしまったのが残念だった。
「今日もありがとう」
大樹はみどりから金の入った封筒を受け取った。
「あざっす」
大樹は手提げバッグの中に封筒を放り込む。
次にみどりが、来週も来て欲しいと言うのだと思った。
「ごめんなさい。次なんだけど……」
みどりから出た言葉に、大樹はどきりとした。
まさか今日で終わりだったのかと、内心焦る。
「私の都合が悪くて、再来週はどうかしら」
続けたみどりに、大樹は自分でも驚くほど安堵した。
そもそもたった一度のつもりだったのが三回続いただけで、当たり前のようにこれからも続くと思っていた自分に気付き、軽くショックを受ける。
みどりに気に入られているとはいえ、ただ出会い系サイトで知り合っただけの、いつ切られてもおかしくない関係だ。
大樹は何を根拠に、これからも伊沢と会えると思い込んでいたのだろう。
「分かりました。じゃあ、再来週の土曜日に来ます」
「またよろしくね」
大樹は動揺が表に出ないように気を付けて、伊沢の家を後にした。
ただ一番好みな男というだけだ。
学校でも行事くらいでしか顔を見ることがなかったのだから、頻繁に会えなくなるくらいで動揺する必要はない。
何だか胸騒ぎがして落ち着かず、大樹は服の胸元をぎゅっと握った。
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