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騎士学校と言ってもきちんと休みの日が設定されていて、だいたい3日間行けば一日休み、というリズムになっている。
今日は特に予定もないのに、めちゃくちゃ天気が良かったから悔しくなって一人で町でもぶらつこうと繁華街を歩いていた。
適当においしそうな店でお昼ご飯でも食べてから帰るか、と飲食店の看板をみたり、メニューをみたりしながら歩いていると、見知った顔がそこにいた。

津島だ。だいたい十五メートルほど離れているが、見間違うわけがない。
陽太郎の言っていた彼女と歩いている。

陽太郎の言う言葉を信じていなかったわけではないがこうして目の当たりにするとは思っていなかった。
すぅ、と観察するように眼を細くして眺める。

制服じゃない普通の服を着ている津島を見たのははじめてだ。
遠目で見ても柄が悪い。
知り合いじゃなければ目が合わないようにするタイプの人相だ。

だぼっとした印象のするジーンズは膝の部分が擦り切れて破れてしまいそうだ。
流行りを熟知している澄也をもってしてもよくわからない柄のアロハシャツのようなものを着ているが、体格が完ぺきなため着こなしてしまっている。
靴はえらくごついスニーカーで、アロハシャツと完全に喧嘩している。

隣を歩く彼女はふわふわのパーマをかけたミルクティー色の髪を肩までのばしていて、津島と同じような色合いのフレアスカートを着ている。その丈がちょうど膝が隠れるかどうかの絶妙な長さで、上品さとかわいらしさの中間地点のような雰囲気が出ている。
白と青のストライプ生地がさわやかなウェッジウッドのパンプスで身長をかなりかさ上げしているにもかかわらず、その頭はちょうど津島の肩のあたりにある。
かなり小柄な女性だ。
当然ながらお化粧はばっちりしている。
津島に何かしら話しかけては無視されたり、適当に流されたりしているのに、それに対してもう仕方ないわね、とばかりにニコニコしている。
津島のつれない態度にもまったくへこたれずに、津島の太い腕に自分の腕を絡ませてぐいぐいと引っ張っている。
津島は嫌な顔を隠さずにいるが、抵抗する気はないのか彼女の細腕に引っ張られるままに着いていく。

陽太郎が年上っぽい、とは言っていたがかなり年上だろうなと目算する。
しかし並んで歩く二人の姿は不思議としっくりと馴染んでいて、仲の良さがうかがえる。
もしかして近所のおねぇさんで小さなころから津島のことを知ってるとか?
そのぐらい年季の入った様子に見えた。

澄也は自分の機嫌が急降下するのを自覚する。
津島にかわいい彼女がいたという事実を突きつけられただけでこんなにも冷たくなる自分の心を笑った。

「おねーさん、12番のホイップマシマシ罪悪♡スペシャルクレープ一つ」

澄也は近くのスタンドで手慣れた様子で注文する。
それは完全に糖分過剰摂取による多好感で先ほどの嫌悪感を相殺しよういう試みだった。
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