悪役令嬢が追放されてから3年後

裏側

織姫と花の妖精の話

　　物語が終わったとき、アリスはもう眠っていた。
　　彼女は母親が手編みした大好きなウサギのぬいぐるみを抱きしめ、幸せそうな笑顔で眠っていた。
　　ピノはその隣で目を細めて横たわり、少し眠くなってきたが、すぐには眠れなかった。

　　突然、エドラが口を開いた。「この物語には別のバージョンもあるのよ。」
　　今でもピノにはわからない。エドラが続けて話したのは、本当にもう一つの物語だったのか、もしくは内容や登場人物が大きく異なる物語だったのか。
　　その話がピノに向けたものだったのか、それともエドラ自身の呟きだったのかも、彼女にはわからなかった。


　　実は姬は魔法の研究が好きで、いつも妖精が持つ魔法に興味を持っていた。
　　城を追い出された後、彼女は密かに隠していた宝石を換金した。

　　彼女は森に入り、伝説の花の妖精を訪ねた。その妖精はどんな植物も花を咲かせることができると言われていた。
　　若い花の妖精は非常に美しく、姬も一瞬見惚れてしまった。
　　姬は貴族しか手に入れられない珍しい花や草の種を持ってきて、花の妖精と取引をし、花の妖精の開花魔法を研究させてもらった。
　　姬が研究を終えて離れようとするたびに、花の妖精は新しいものを見せて引き留めた。
　　鮮やかな花
　　新しい品種の種
　　美味しい果実
　　そして自分で醸造した酒など。
　　姬はその酒を飲んで花の妖精の家で眠りについた。
　　目覚めた後、彼女は花の妖精の花果実酒の研究を始め、それには数年を要した。
　　その数年の間に、二人の間には可愛い女の子が生まれた。

　　「姬はその時、とても幸せだったの。」エドラはそう締めくくった。

　　あるいは、それが結末ではなかったのかもしれない。ピノがその部分で眠ってしまったからだ。

もしエドラの言うことが、物語の別の視点だとしたら。
その姫は本当に王子や他の人々と帰りたいのでしょうか？
彼女が連れ戻された後、花の妖精と彼らの娘に何が起こるのでしょうか？