よくある転生物語だと思うんだけど？

おまけ（1）

　転生したっぽい。
　死んだ時の記憶は無いけど、たぶん寝ている間に何かあったのだと思う。
　普通の会社員だった私は明日の仕事の事を考えながらベッドに横になったまでは覚えているから、夜中に地震か何かあったのかもしれない。
　生まれ変わった私は金茶の艶やかな髪に大きな黒曜石のような瞳のかわいらしい女の子。
　地方貴族の伯爵家の三女。
　エリス・サコット。
　まあまあ家は裕福だし、家族仲もよい。
　普通の貴族。
　そんな私も16になり首都の学園に通うことになった。
　というのも三女ともなると嫁入り先を見つけるのも一苦労なのだ。
　両親もなんとか貴族にお嫁入りさせたいから、首都でいい人みつけてこいってことなのよね。
　それまではなんて事無い普通に前世の記憶を持って生まれただけで、人生に不安を感じた事はなかった。まあ、嫁入り先だって贅沢をいわなきゃ大丈夫だろう。私ってそこそこかわいいし。そう思っていた。
　壇上で新入生代表の挨拶をのべる、あの！
　リリーシェ・ヴァンヴェルート・ザカリーを見るまでは。
　思い出した。
『鮮血のリリーシェ』
　家族を惨殺してのうのうとザカリーの後継者となり学園に通う。
　学園編のスタートだ。
　私はその学園編のしょっぱなに殺される。
　モブ！
　壇上のリリーシェは小柄でピンクの髪のかわいらしい少女。
　なのに目が赤い？
　普段は金色だったんじゃないの？
　何？もう臨戦態勢なの？○蟲なの？
　やだ怖い。
　確か殺される原因は彼女の下僕の長い名前の…確か…マクなんとか・サルーキ伯爵令息に手を出したから。
　なんだ、簡単じゃないの。
　マクなんとかって令息と関わらなければいいのよ。
　…Aクラス。
　リリーシェもマクなんとかも、私も同じクラス。
　もう終わった。
　私の明るい学園生活は終わった。
　なんで頑張って勉強しちゃったかなーあーもーっ！
　…なんで隣に座るかな？
　ここ一番後ろなんだけど？
　一番目立つかわいい娘は前か真ん中でしょうが？
　そしてなんで目が赤いのよ！
　もうロックオンされてんの？
　まだ何もしてないよ？
「リリ？なんで先に行っちゃうの？」
　来たよ…マクなんとか。
　回りを見ると空いている席は無い。
　よし、
「あ、あ、あの、良かったらここどうぞ。」
　さっさと逃げよう。
　ん？スカートが引っ張られる。
「…　こ　こ　に　い　て。」
　ひぃぃぃっ！