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   リリアン視点
 
 しょうがないから神様にも誓って、結婚誓約書にサインした。
 これでめでたく結婚成立だ。
 式が終われば着替えてザカリー侯爵邸で結婚披露のパーティー。
 ケイトとメリージェーンがはりきって飾り立てる。
 レイモンド様の好きな淡い水色のドレスにディープブルーダイヤのアクセサリー。レイモンド様は指輪だけじゃなく、ネックレスも作らせた。
 深く濃い青は輝きを放つよりは吸い込まれるような魅力がある。
 めちゃくちゃ高価なのに派手さは無い。レイモンド様みたいね。
 招待客はかなりの人数になる。
 パーティーホールだけでは狭くなるので庭も解放し魔法石で光る照明を配置した。
 あの離れのあった場所はいつの間にか取り壊され跡形もなく、庭の一部にされていた。
 普段は邸にいないザカリー侯爵だけれど、さすがに今日ばかりは主として客を迎えなければならない。  
 侯爵と共に一通りの挨拶を終え、椅子に座る侯爵の前に二人で立ちレイモンド様が感謝の言葉を述べる。
「本日は私達のためにお心遣いいただきありがとうございました。」
「なに、一事はどうなることかと思ったが、落ち着くところに落ち着いて良かった。あのままではお前の所に嫁に来る令嬢などおらんかっただろうからな。」
 色々な噂が流れたからね。
「お前が駄目ならわしがリリアンにプロポーズしようと思っていたのに残念だ。ははははは。」
 ザカリー侯爵とは城で何度も話しているが気難しさは無く、冗談も言い合える。
「あら奇遇ですわ、私はレイモンド様が他の令嬢と結婚したらお義父様を誘惑してザカリーを乗っ取るつもりでしたわ。おほほほほ。」 
「…冗談でもやめてくれ。」
 ちょっと冗談が過ぎたかしら?
 レイモンド様は誰に似たのか冗談が通じない。
「レイモンドは将来的にはわしの後継者として帝国の宰相となるだろう。そうなればわしのようにめったに邸には帰らなくなる。今のうちに嫌というほど睦合っておきなさい。」
「お言葉ですが、私は父上のようにはなりません。
 今のうちに行政を細分化し、命令系統の確立と情報の共有化をします。
 仕事を減らし夜には邸に帰り、長期のバカンスも取得するつもりです。」
「ほう…、なんだかわしが仕事のできない上司って言われている気がするのだが。」
 やだ、ザカリーパパったら拗ねちゃうわ。
「お義父様は仕方がないですよ。
 あの手のかかる皇帝陛下ですもん。
 カイル殿下にはクラウディア様がついてるけど、皇帝陛下にはお義父様しかいないんですもの。」
「おお、リリアン。わかってくれるか?」
 レイモンド様、ちゃんと家庭を大切にしてくれる予定なんだ。がんばれ。ステキ。
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