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42 追い出しますわ グロリア視点
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「父様、お待ちになって!」
なんて事!レティシアの目に余る行動を相談したらお父様がお怒りになられてお城に押し掛けて来てしまった。
本来ならば王様に謁見を申し出て、許しがなければお目どうりは叶いませんのに。
ですが、我がロズウェル家は王家にもっとも貢献している貴族です。衛兵もむやみに止める事はできません。
まあ、間が悪い事に今ごろ王様は日課の朝食後の散歩をレティシアと楽しんでいるところだわ。
ふふっ。やっぱり、手を繋いでいますね。現行犯ですわ。
二人を目にしたお父様はいきなり大声で、
「王様!これはいったいどうゆう事でございますか?我が娘のグロリアとうゆう婚約者がいるにも関わらず他の婦女子と会瀬を重ているというのは本当だったのですね!」
驚いた二人は固まってしまいましたわ。お気の毒ですこと。
「お父様!お怒りを押さえて下さいまし。これはきっと、王様の治療の為ですの。」
くすん、と鼻を鳴らして目頭を押さえる。
「貴様がレティシアという小娘か!よくも我が姉上を辱しめてくれただけでなく、娘のグロリアまでも悲しませるとは!ただで済むと思うなよ。」
そうですわ。イゾルテ伯母様は厳格な方で下級貴族出身でいたらない王太后様が恥をかかぬよう厳しくされていたのに、レティシアは自分が王太后様に取り入る為に伯母様を追い出したのだ。
「ロズウェル侯爵、謁見を許した覚えは無いが?」
王様?なんて落ち着いた声で、お父様を見据えて。これまではお父様の前ではいつもおどおどしていましたのに。
「レティシア・リノス令嬢は賓客である。無礼は控えよ。」
「なっ、何を仰せですか。王様の義伯父であり、いずれはご自身の義父となるわたくしに対し無礼とは!それより、その者との関係をどう申し開きなさいますか!さあっ!」
娘思いのお父様とはいえ、そのような威圧的な態度は王様に対し無礼だわ。
王様だって萎縮して…いらっしゃらない?おかしいわ、何かが変わった。
「ロズウェル侯爵、まさかここはどこで、余が誰なのか忘れたのか?控えよと申しておる!」
「くっ…ですが、王様。わたくしが伝え聞いた話しでは王様はその者にうつつを抜かし、寵愛が過ぎ常に側に置き同衾をも許しているとか。それでは婚約者である我が娘があまりに不憫でございませんか?」
「誰から聞いた話かは存ぜぬが、レティシアは余の治癒師である。常に側にいるのは当然。それに、同衾とは?レティシアだけではなく余の名誉も傷つけようと?」
これは、あの弱々しかった王様と同じ方ですの?この威厳は。
そんな…お父様が王様の気迫に負けているの?
「これはこれはロズウェル侯爵にご令嬢、先触れも無しに早朝より押し掛けられるとは何事でございましょうか?」
騒ぎを聞き付けたレオンハルト様がいらっしゃった。
「申し訳ございません。わたくし…わたくしそんなつもりでお父様に話した訳ではございませんのに。お父様が誤解なさって…ううっ…。」
私は何一つ悪く無いわ。王様が私よりちょっとその女のほうを贔屓にしているのが悲しくてお父様に相談しただけだもの。
強めにハンカチで目を擦れば赤くなるかしら。
「ハッ!誤解ですと?今も仲むつまじく手を繋いで歩いていたのをこの目で見ましたぞ!」
「ああ、手を繋いでいたほうが回復しやすいですからね。王様が散歩でお疲れにならないよう繋いでいたのでしょう。それが何か?」
「では、よ、」
「夜に熱を出すのは子供にはよくある事ですよ。まあ、子育てなどしていない侯爵はご存じないかもですが。」
「ですが、もう王様の体調はご快復なされたそうではございませんか!いつまてその者を城に置いておくのですか?」
「あの…。」
それまでおとなしく話しを聞いていたレティシアが口をはさむ。
「あの…そんなに騒がなくても、そろそろ領地に帰りますよ?」
「「「えっ?」」」
それまで威厳を保っていた王様がおろおろと、
「レティシア!帰っちゃうの?」
レオンハルト様まで慌てて、
「そうだよ、お城が嫌だったら公爵邸で暮らせばいいじゃないか?」
「最初からずっと王都にいるのは無理って言ってたじゃないの?ってことで、ロズウェル侯爵様、グロリア様、気を悪くなさったならごめんなさい。もう帰るので許してください。」
ぺこりと頭を下げる。
「あの、会ったばかりでもうお別れですが、記念にこれよかったら使って下さい。」
手渡してくれたのは薄くふわふわの布地で出来たリボン。これは近ごろ流行りはじめたシルクシフォンではないの。はっ、よく見たら回りの侍女達の髪には皆このリボンが。くっ…なんてこと!この女はもうすでに侍女達を見方にしていたのね。皆、こちらを見てひそひそと…きっと私がレティシアを追い出そうとしていると話しているのね。
「ありがとう。こちらこそごめんなさいね。わたくし…悲しかったの。婚約者とはいえ王様といち侯爵令嬢の間柄ですもの。礼節を守ってお付き合いしているわたくしと違ってレティシアさんはとても積極的でいらして、羨ましかったのですわ。」
どうかしら、健気なふうに見えるかしら?
「それと…わたくし華美な装いは好みませんの。民の手本となるよう、質素倹約に勉めておりますのよ。侍女達もこのような華やかなリボンはいかがな物でしょうか…。」
侍女のリボンは禁止ではないけれど、侍女が目立ってどうするの?
また侍女達がざわついておりますわね。だけどあなた達の本分を忘れているんじゃなくって?
「確か、髪を束ねる為のリボンは自由でしたよね?あの娘達は制服でアクセサリーもつけれなくてリボンだけが唯一許されたおしゃれなのに。
女の子はみんなかわいくなる権利があるのに。」
またこの女は侍女達の支持を得てどうしようというの?
いずれは皆わたくしにかしづくこととなりますのに。
なんて事!レティシアの目に余る行動を相談したらお父様がお怒りになられてお城に押し掛けて来てしまった。
本来ならば王様に謁見を申し出て、許しがなければお目どうりは叶いませんのに。
ですが、我がロズウェル家は王家にもっとも貢献している貴族です。衛兵もむやみに止める事はできません。
まあ、間が悪い事に今ごろ王様は日課の朝食後の散歩をレティシアと楽しんでいるところだわ。
ふふっ。やっぱり、手を繋いでいますね。現行犯ですわ。
二人を目にしたお父様はいきなり大声で、
「王様!これはいったいどうゆう事でございますか?我が娘のグロリアとうゆう婚約者がいるにも関わらず他の婦女子と会瀬を重ているというのは本当だったのですね!」
驚いた二人は固まってしまいましたわ。お気の毒ですこと。
「お父様!お怒りを押さえて下さいまし。これはきっと、王様の治療の為ですの。」
くすん、と鼻を鳴らして目頭を押さえる。
「貴様がレティシアという小娘か!よくも我が姉上を辱しめてくれただけでなく、娘のグロリアまでも悲しませるとは!ただで済むと思うなよ。」
そうですわ。イゾルテ伯母様は厳格な方で下級貴族出身でいたらない王太后様が恥をかかぬよう厳しくされていたのに、レティシアは自分が王太后様に取り入る為に伯母様を追い出したのだ。
「ロズウェル侯爵、謁見を許した覚えは無いが?」
王様?なんて落ち着いた声で、お父様を見据えて。これまではお父様の前ではいつもおどおどしていましたのに。
「レティシア・リノス令嬢は賓客である。無礼は控えよ。」
「なっ、何を仰せですか。王様の義伯父であり、いずれはご自身の義父となるわたくしに対し無礼とは!それより、その者との関係をどう申し開きなさいますか!さあっ!」
娘思いのお父様とはいえ、そのような威圧的な態度は王様に対し無礼だわ。
王様だって萎縮して…いらっしゃらない?おかしいわ、何かが変わった。
「ロズウェル侯爵、まさかここはどこで、余が誰なのか忘れたのか?控えよと申しておる!」
「くっ…ですが、王様。わたくしが伝え聞いた話しでは王様はその者にうつつを抜かし、寵愛が過ぎ常に側に置き同衾をも許しているとか。それでは婚約者である我が娘があまりに不憫でございませんか?」
「誰から聞いた話かは存ぜぬが、レティシアは余の治癒師である。常に側にいるのは当然。それに、同衾とは?レティシアだけではなく余の名誉も傷つけようと?」
これは、あの弱々しかった王様と同じ方ですの?この威厳は。
そんな…お父様が王様の気迫に負けているの?
「これはこれはロズウェル侯爵にご令嬢、先触れも無しに早朝より押し掛けられるとは何事でございましょうか?」
騒ぎを聞き付けたレオンハルト様がいらっしゃった。
「申し訳ございません。わたくし…わたくしそんなつもりでお父様に話した訳ではございませんのに。お父様が誤解なさって…ううっ…。」
私は何一つ悪く無いわ。王様が私よりちょっとその女のほうを贔屓にしているのが悲しくてお父様に相談しただけだもの。
強めにハンカチで目を擦れば赤くなるかしら。
「ハッ!誤解ですと?今も仲むつまじく手を繋いで歩いていたのをこの目で見ましたぞ!」
「ああ、手を繋いでいたほうが回復しやすいですからね。王様が散歩でお疲れにならないよう繋いでいたのでしょう。それが何か?」
「では、よ、」
「夜に熱を出すのは子供にはよくある事ですよ。まあ、子育てなどしていない侯爵はご存じないかもですが。」
「ですが、もう王様の体調はご快復なされたそうではございませんか!いつまてその者を城に置いておくのですか?」
「あの…。」
それまでおとなしく話しを聞いていたレティシアが口をはさむ。
「あの…そんなに騒がなくても、そろそろ領地に帰りますよ?」
「「「えっ?」」」
それまで威厳を保っていた王様がおろおろと、
「レティシア!帰っちゃうの?」
レオンハルト様まで慌てて、
「そうだよ、お城が嫌だったら公爵邸で暮らせばいいじゃないか?」
「最初からずっと王都にいるのは無理って言ってたじゃないの?ってことで、ロズウェル侯爵様、グロリア様、気を悪くなさったならごめんなさい。もう帰るので許してください。」
ぺこりと頭を下げる。
「あの、会ったばかりでもうお別れですが、記念にこれよかったら使って下さい。」
手渡してくれたのは薄くふわふわの布地で出来たリボン。これは近ごろ流行りはじめたシルクシフォンではないの。はっ、よく見たら回りの侍女達の髪には皆このリボンが。くっ…なんてこと!この女はもうすでに侍女達を見方にしていたのね。皆、こちらを見てひそひそと…きっと私がレティシアを追い出そうとしていると話しているのね。
「ありがとう。こちらこそごめんなさいね。わたくし…悲しかったの。婚約者とはいえ王様といち侯爵令嬢の間柄ですもの。礼節を守ってお付き合いしているわたくしと違ってレティシアさんはとても積極的でいらして、羨ましかったのですわ。」
どうかしら、健気なふうに見えるかしら?
「それと…わたくし華美な装いは好みませんの。民の手本となるよう、質素倹約に勉めておりますのよ。侍女達もこのような華やかなリボンはいかがな物でしょうか…。」
侍女のリボンは禁止ではないけれど、侍女が目立ってどうするの?
また侍女達がざわついておりますわね。だけどあなた達の本分を忘れているんじゃなくって?
「確か、髪を束ねる為のリボンは自由でしたよね?あの娘達は制服でアクセサリーもつけれなくてリボンだけが唯一許されたおしゃれなのに。
女の子はみんなかわいくなる権利があるのに。」
またこの女は侍女達の支持を得てどうしようというの?
いずれは皆わたくしにかしづくこととなりますのに。
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