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34 パーティー エレオノーラ視点
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この国のパーティーでは通常、下位貴族から入場し上位貴族、そして王族と続く。
下位貴族達はみな今まで通り華やかな色使いでウエストを細く絞り、スカートは大きく広がったドレスを着ている。実はあのドレス、コルセットが苦しいだけではなく、スカートの中に細い木で作られた芯が隠されているので、すごく重いのです。よく今まであんな物を着て踊っていたものだわ。控え室でそう思いながら順番を待っていると会場がざわめき立った。
レオンハルト達が入場したようね。
わたくしも驚いたわ。ダナー子爵令嬢があんな娘だったなんて。
それに続き他の上位貴族達も入場したようね。
「わたくし達も行きましょうか。」
「は、はい。しかし、本当に私などがエレオノーラ様をエスコートしてよろしいのでしょうか?」
さすがにたらしのユーリシャスでも公の場でわたくしの隣に立つのは緊張するようね。
「何を言っているのかしら、今日の主役はマダム・シャシャ・シャルタンのドレスよ。あなたには絶好のチャンスでしょう?」
「はい、このような機会を与えてくださり本当にありがとうございます。」
ああ、それにしてもなんて軽いのかしらこのドレス。
そもそもなぜあのような重いドレスを着なければならなかったのかしら。
男達にとっては都合が良かったからではないの?か弱く手を取ってやらねば馬車も降りられず、二人きりになれば逃げる事も出来ない。それが男にとって都合がよかったからではないかしら。
都合のいい女といえば、王太后様。やっと腹をくくったようね。
今までロズウェル侯爵とクロッカス夫人の言いなりだったが、先日手紙が届いた。今までの非礼の詫びと王室主宰のパーティーに参加したいとのこと。
参加も何も本来なら王族が取り仕切らなければならないパーティーなのに。昔は季節ごとのパーティーに加え王族の誕生日や様々なお祝い事の度に開かれていたパーティーも今は年4回、かろうじて残されているだけ。
王族の体調不良や予算削減のためと言われているが王族派の結束を弱め、王権の弱体化を謀っているのは目に見えていたわ。
ならば王太后様はれっきとした王族という事を見せ付けねばなりませんわね。
そのためにも今回、マダム・シャルタンのドレスには一役かってもらうわ。わたくしが贔屓にしているサロンのドレスを着るということは言葉にしなくてもこちら側の者だという事だ。
シンプルなAラインのシルバーのドレスに同色のシフォンのショール。ネックレスとティアラには大粒のルビー。王太后様のピンクブロンドによく似合うと、亡きわたくしの兄上から贈られたものだ。ドレスがシンプルなので宝石がより引き立つ。
通常はわたくしが最後の入場となり皆がわたくしに礼をし、パーティーがはじまる。
だが今回はいつもと違う。さっと入り口に向き直りうやうやしくカーテシーをする。
ざわついていた会場が一瞬で静まり返り皆、一斉に入り口に向かって礼をとると、王太后様が静かに姿を表す。
エスコートはなんと国王陛下ではないか。
これは、わたくしも予想できなかった。
幼い頃からほとんど寝たきりだと聞いていたのに、なんとゆうことでしょう。
「本日は新年を迎える王家の宴に皆の参加嬉しく思う。長く皆に心配をかけたが余はこのように健やかである。どうか今後もこの国の発展と繁栄に皆の力を借してくれ。」
どっと、歓声が沸き上がる。
皆口々に、王を称える言葉を、
「国王陛下万歳!」
「国王陛下に祝福を!」
挨拶を終えると未成年である王様は退場なさった。
いつもはくだらない噂話ばかりのパーティーだったが今回は、いや、これからは有意義な場となるだろう。
ふふふ、ロズウェル侯爵と夫人が忌々しそうにこちらを見ている。
昔からローズマリーがわたくしを目の敵にしているのは知っていた。何が気に入らないのかはわからないが、王族が気に入らないというのならばどうしようもないので放っておいた。
わたくしが不妊だという情報も王室の極秘事項だったというのに噂にされた。
王族は虚弱であったり、欠陥があるのは近親間で婚姻を繰り返した結果だ。
わたくしの兄弟は兄が二人に弟が一人。二人の兄はモントリオール公爵家から嫁いだ正妃、わたくしとレオンハルトの母はライラット伯爵家からの側妃であった。
国に三つある公爵家(レオンハルトを除く)には王女を嫁がせる事が度々ある。また、王家も公爵家から后を迎える。その結果、血が濃くなりすぎたようだ。
そのため近年、王家への婚姻は侯爵以下の家の者と。という決まりになった。
だからといって、まだ婚約段階とはいえ、二代続いてロズウェル侯爵家からとはな。
下位貴族達はみな今まで通り華やかな色使いでウエストを細く絞り、スカートは大きく広がったドレスを着ている。実はあのドレス、コルセットが苦しいだけではなく、スカートの中に細い木で作られた芯が隠されているので、すごく重いのです。よく今まであんな物を着て踊っていたものだわ。控え室でそう思いながら順番を待っていると会場がざわめき立った。
レオンハルト達が入場したようね。
わたくしも驚いたわ。ダナー子爵令嬢があんな娘だったなんて。
それに続き他の上位貴族達も入場したようね。
「わたくし達も行きましょうか。」
「は、はい。しかし、本当に私などがエレオノーラ様をエスコートしてよろしいのでしょうか?」
さすがにたらしのユーリシャスでも公の場でわたくしの隣に立つのは緊張するようね。
「何を言っているのかしら、今日の主役はマダム・シャシャ・シャルタンのドレスよ。あなたには絶好のチャンスでしょう?」
「はい、このような機会を与えてくださり本当にありがとうございます。」
ああ、それにしてもなんて軽いのかしらこのドレス。
そもそもなぜあのような重いドレスを着なければならなかったのかしら。
男達にとっては都合が良かったからではないの?か弱く手を取ってやらねば馬車も降りられず、二人きりになれば逃げる事も出来ない。それが男にとって都合がよかったからではないかしら。
都合のいい女といえば、王太后様。やっと腹をくくったようね。
今までロズウェル侯爵とクロッカス夫人の言いなりだったが、先日手紙が届いた。今までの非礼の詫びと王室主宰のパーティーに参加したいとのこと。
参加も何も本来なら王族が取り仕切らなければならないパーティーなのに。昔は季節ごとのパーティーに加え王族の誕生日や様々なお祝い事の度に開かれていたパーティーも今は年4回、かろうじて残されているだけ。
王族の体調不良や予算削減のためと言われているが王族派の結束を弱め、王権の弱体化を謀っているのは目に見えていたわ。
ならば王太后様はれっきとした王族という事を見せ付けねばなりませんわね。
そのためにも今回、マダム・シャルタンのドレスには一役かってもらうわ。わたくしが贔屓にしているサロンのドレスを着るということは言葉にしなくてもこちら側の者だという事だ。
シンプルなAラインのシルバーのドレスに同色のシフォンのショール。ネックレスとティアラには大粒のルビー。王太后様のピンクブロンドによく似合うと、亡きわたくしの兄上から贈られたものだ。ドレスがシンプルなので宝石がより引き立つ。
通常はわたくしが最後の入場となり皆がわたくしに礼をし、パーティーがはじまる。
だが今回はいつもと違う。さっと入り口に向き直りうやうやしくカーテシーをする。
ざわついていた会場が一瞬で静まり返り皆、一斉に入り口に向かって礼をとると、王太后様が静かに姿を表す。
エスコートはなんと国王陛下ではないか。
これは、わたくしも予想できなかった。
幼い頃からほとんど寝たきりだと聞いていたのに、なんとゆうことでしょう。
「本日は新年を迎える王家の宴に皆の参加嬉しく思う。長く皆に心配をかけたが余はこのように健やかである。どうか今後もこの国の発展と繁栄に皆の力を借してくれ。」
どっと、歓声が沸き上がる。
皆口々に、王を称える言葉を、
「国王陛下万歳!」
「国王陛下に祝福を!」
挨拶を終えると未成年である王様は退場なさった。
いつもはくだらない噂話ばかりのパーティーだったが今回は、いや、これからは有意義な場となるだろう。
ふふふ、ロズウェル侯爵と夫人が忌々しそうにこちらを見ている。
昔からローズマリーがわたくしを目の敵にしているのは知っていた。何が気に入らないのかはわからないが、王族が気に入らないというのならばどうしようもないので放っておいた。
わたくしが不妊だという情報も王室の極秘事項だったというのに噂にされた。
王族は虚弱であったり、欠陥があるのは近親間で婚姻を繰り返した結果だ。
わたくしの兄弟は兄が二人に弟が一人。二人の兄はモントリオール公爵家から嫁いだ正妃、わたくしとレオンハルトの母はライラット伯爵家からの側妃であった。
国に三つある公爵家(レオンハルトを除く)には王女を嫁がせる事が度々ある。また、王家も公爵家から后を迎える。その結果、血が濃くなりすぎたようだ。
そのため近年、王家への婚姻は侯爵以下の家の者と。という決まりになった。
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