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マティアス視点
「私は…私達はそんな関係では無かった。
幼なじみで親友で側近だった。
シオンが倒れてからだ。
それから私は…なんと言うか…気になり出したのだ。
なぜだか無性に心配で、会いたくて、側に居れば構いたくなるし。」
「それを恋と言うのですよ。」
「恋?
いや確かに私の初恋はシオンだったが、何もわからなかった子供の頃の話しだ。
その後は普通に女性に興味をもったし、私は断じて男色家では無い!」
「そうでしょうね。
でもシオン様だからですよ。
男とか女だとかじゃなくてシオン様がお好きなんじゃございませんか?」
そう…なのか?
シオンは好きだ。
でもそういう好きでは無かった。
だが、どうだ?
近ごろはあられもない姿のシオンを想い、人には言えぬ妄想を繰り返しているではないか。
「すまない…こんな事をそたなたに聞くのは間違っているのだが…私は、どうしたらよいのだろうか?
全てがもう手遅れだとわかっているのだ。
だが、辛くて…正直何もかも放り出してしまいたくなるのだ。」
「いっそのこと放り出してしまったらどうでしょう?」
「それは出来ない。私は、私だけのものではない。」
私がこの地位にいられるのは沢山の人に支えられているからだ。
その恩に報いなければならないし、民のために尽くすのは皇族としての責任であり義務だ。
そして私はそんな自分を誇らしく思っている。
「一度だけ。自分の為だけに動いてみたら?」
「…許されない、そんな事は。」
「誰が?あなたの妻になろうという者が許すのに他の誰の許しが必要なの?」
何を言っているのだこの女は。
結婚式は5日後なのだぞ?
アンカレナ領までは馬車で3日…いや、馬ならば1日半…途中上手く乗り継ぎが出来れば1日…はっ!何を考えている?駄目だ駄目だ、そんな事は間違っている。
間違っている…。
「ひと目…ひと目会うだけ…行って来てもよいだろうか?」
この気持ちにけじめを着けなければいつまでも想い悩む事になる。
「はい!行って下さい!」
リタの瞳がパッと輝いた。
「…なぜ嬉しそうなのだ?」
「わたくし、シオン様と何度かお会いしているうちにおかしな感覚を覚えましたの。
最初は…申し訳ないけれど、本当にシオン様に恋をしていました。
でも、そのうちに女友達とお茶しているように楽しくなったのです。
お菓子や小物雑貨などの他愛のない話しです。 恋の話しもしましたよ。
シオン様は誰とはおっしゃりませんでしたがわたくしにはマティアス陛下の事だとわかりました。多くも語られませんでしたが切ない表情がいたたまれませんでした。」
「本当に?…シオンは私の事を?」
「た…たぶんですけど。もしかしたらテリオス卿かフィリップ卿かもしれないけど…。」
なぜ目をそらす?
そしてなぜみんな男なんだ?
「それにわたくし正直陛下のことはそれほど好…えっと、よく存じあげませんから今なら浮気も許せますよ?」
好きじゃないと言おうとしたな。
「私は…私達はそんな関係では無かった。
幼なじみで親友で側近だった。
シオンが倒れてからだ。
それから私は…なんと言うか…気になり出したのだ。
なぜだか無性に心配で、会いたくて、側に居れば構いたくなるし。」
「それを恋と言うのですよ。」
「恋?
いや確かに私の初恋はシオンだったが、何もわからなかった子供の頃の話しだ。
その後は普通に女性に興味をもったし、私は断じて男色家では無い!」
「そうでしょうね。
でもシオン様だからですよ。
男とか女だとかじゃなくてシオン様がお好きなんじゃございませんか?」
そう…なのか?
シオンは好きだ。
でもそういう好きでは無かった。
だが、どうだ?
近ごろはあられもない姿のシオンを想い、人には言えぬ妄想を繰り返しているではないか。
「すまない…こんな事をそたなたに聞くのは間違っているのだが…私は、どうしたらよいのだろうか?
全てがもう手遅れだとわかっているのだ。
だが、辛くて…正直何もかも放り出してしまいたくなるのだ。」
「いっそのこと放り出してしまったらどうでしょう?」
「それは出来ない。私は、私だけのものではない。」
私がこの地位にいられるのは沢山の人に支えられているからだ。
その恩に報いなければならないし、民のために尽くすのは皇族としての責任であり義務だ。
そして私はそんな自分を誇らしく思っている。
「一度だけ。自分の為だけに動いてみたら?」
「…許されない、そんな事は。」
「誰が?あなたの妻になろうという者が許すのに他の誰の許しが必要なの?」
何を言っているのだこの女は。
結婚式は5日後なのだぞ?
アンカレナ領までは馬車で3日…いや、馬ならば1日半…途中上手く乗り継ぎが出来れば1日…はっ!何を考えている?駄目だ駄目だ、そんな事は間違っている。
間違っている…。
「ひと目…ひと目会うだけ…行って来てもよいだろうか?」
この気持ちにけじめを着けなければいつまでも想い悩む事になる。
「はい!行って下さい!」
リタの瞳がパッと輝いた。
「…なぜ嬉しそうなのだ?」
「わたくし、シオン様と何度かお会いしているうちにおかしな感覚を覚えましたの。
最初は…申し訳ないけれど、本当にシオン様に恋をしていました。
でも、そのうちに女友達とお茶しているように楽しくなったのです。
お菓子や小物雑貨などの他愛のない話しです。 恋の話しもしましたよ。
シオン様は誰とはおっしゃりませんでしたがわたくしにはマティアス陛下の事だとわかりました。多くも語られませんでしたが切ない表情がいたたまれませんでした。」
「本当に?…シオンは私の事を?」
「た…たぶんですけど。もしかしたらテリオス卿かフィリップ卿かもしれないけど…。」
なぜ目をそらす?
そしてなぜみんな男なんだ?
「それにわたくし正直陛下のことはそれほど好…えっと、よく存じあげませんから今なら浮気も許せますよ?」
好きじゃないと言おうとしたな。
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