60 / 112
60
しおりを挟む
テリオス視点
シオン様が朝帰りなされた。
近ごろ多少煙たがられている自覚はあった。
逆の立場で考えてみる。
他人である成人男性に一日中付きまとわれて着替えや風呂まで世話をされ、あげくに性処理まで…。
気持ち悪い!
そんな気持ち悪い思いをシオン様にさせていたなんて。
だけど他の者には触れさせたくなかった。
公爵家の使用人は貴族も多いその気になれば公爵家に嫁げる身分だ。
中にはアレクシオン様に不心得な感情を抱く者もいるかもしれない。以前のアレクシオン様なら毅然とした態度で使用人とは一線を画しておられただろうけど、今のシオン様はどうだ?メイドにも「ありがとう」とにっこり微笑まれる。その時のメイドの顔!ぽぅっとして、あれは絶対誤解する。
僕はシオン様の秘密を隠す為とし、使用人達との距離をとらせ孤立させた。
公爵邸はシオン様にとって居心地のよい場所ではなかったのかもしれない。
帰ってこられたシオン様はマティアス皇太子の服を着ていた。
マティアス皇太子の匂いが鼻について無性に腹が立った。
昨晩二人で何を?
少し赤目は何を意味している?
いやらしい妄想が頭を巡ってお側にはいられなかった。
僕は嫉妬している。
そんな事出来る立場でもないのに。
僕の立場はたかが元部下だ。
従者の真似事をしているが正式な公爵家の使用人でもない。
どちらかといえば客人扱いを受けている他人。
シオン様に呼び出され部屋に行くと近衛隊に行くよう言われた。シオン様の居ない近衛隊になんの意味があるのだ。
以前は出世や身分を得る為には近衛隊が打ってつけだと思ってた。運が良ければ侯爵家や伯爵家の婿にと望まれるかもしれない。そんな打算もあった。
今はシオン様のいない日々など想像出来ない。したくない。
まさか僕はシオン様を愛してる?いや、愛と言うには変質的でやはり気持ち悪い。
僕は自分で言うのもなんだが世間の評判は良いほうだ。
侯爵家の三男で天才剣士と謳われるプラチナブロンドに深いブルーの瞳の美男子。
学生時代からもてた。でもそんなことは鼻にはかけない貴公子。
それが自分だと思ってた。
どこで狂った?
軍隊に入りアレクシオン様に劣等感を抱いた時?
戦場で男達に乱暴された時?
変わってしまったシオン様をお世話するようになった時?
どれも思い当たるけど、更にまたマティアス皇太子殿下に嫉妬しておかしくなった気がする。
殿下に借りた服は切り刻んでこっそり捨て、新しいものをお仕立て下さいと高級な生地を送った。
万が一殿下がまたその服を着る事があるかと思うと我慢ならなかった。
メイド達と楽しそうに笑っているシオン様を見てホッとした。公爵邸がシオン様にとって居心地の良い場所になればよい。
メイド達は僕がしっかり躾よう。
シオン様が朝帰りなされた。
近ごろ多少煙たがられている自覚はあった。
逆の立場で考えてみる。
他人である成人男性に一日中付きまとわれて着替えや風呂まで世話をされ、あげくに性処理まで…。
気持ち悪い!
そんな気持ち悪い思いをシオン様にさせていたなんて。
だけど他の者には触れさせたくなかった。
公爵家の使用人は貴族も多いその気になれば公爵家に嫁げる身分だ。
中にはアレクシオン様に不心得な感情を抱く者もいるかもしれない。以前のアレクシオン様なら毅然とした態度で使用人とは一線を画しておられただろうけど、今のシオン様はどうだ?メイドにも「ありがとう」とにっこり微笑まれる。その時のメイドの顔!ぽぅっとして、あれは絶対誤解する。
僕はシオン様の秘密を隠す為とし、使用人達との距離をとらせ孤立させた。
公爵邸はシオン様にとって居心地のよい場所ではなかったのかもしれない。
帰ってこられたシオン様はマティアス皇太子の服を着ていた。
マティアス皇太子の匂いが鼻について無性に腹が立った。
昨晩二人で何を?
少し赤目は何を意味している?
いやらしい妄想が頭を巡ってお側にはいられなかった。
僕は嫉妬している。
そんな事出来る立場でもないのに。
僕の立場はたかが元部下だ。
従者の真似事をしているが正式な公爵家の使用人でもない。
どちらかといえば客人扱いを受けている他人。
シオン様に呼び出され部屋に行くと近衛隊に行くよう言われた。シオン様の居ない近衛隊になんの意味があるのだ。
以前は出世や身分を得る為には近衛隊が打ってつけだと思ってた。運が良ければ侯爵家や伯爵家の婿にと望まれるかもしれない。そんな打算もあった。
今はシオン様のいない日々など想像出来ない。したくない。
まさか僕はシオン様を愛してる?いや、愛と言うには変質的でやはり気持ち悪い。
僕は自分で言うのもなんだが世間の評判は良いほうだ。
侯爵家の三男で天才剣士と謳われるプラチナブロンドに深いブルーの瞳の美男子。
学生時代からもてた。でもそんなことは鼻にはかけない貴公子。
それが自分だと思ってた。
どこで狂った?
軍隊に入りアレクシオン様に劣等感を抱いた時?
戦場で男達に乱暴された時?
変わってしまったシオン様をお世話するようになった時?
どれも思い当たるけど、更にまたマティアス皇太子殿下に嫉妬しておかしくなった気がする。
殿下に借りた服は切り刻んでこっそり捨て、新しいものをお仕立て下さいと高級な生地を送った。
万が一殿下がまたその服を着る事があるかと思うと我慢ならなかった。
メイド達と楽しそうに笑っているシオン様を見てホッとした。公爵邸がシオン様にとって居心地の良い場所になればよい。
メイド達は僕がしっかり躾よう。
0
お気に入りに追加
216
あなたにおすすめの小説
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる