戦鬼は無理なので

あさいゆめ

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 思い出した。
「あの子供はジグリア人じゃなかった。
 脇腹を刺された時に、腕を掴んだら褐色に塗った塗料が取れて白くなったのを見ました。
 意識が無くなる直前、あの子供は確か…嬉しそうに聖騎士に駆け寄って行ったんです。」
「なんだと?だが、それならつじつまは合う。」
 大勢の人がジグリア人がアレクシオンを射たところを見ていたが実は神殿が差し向けた者だった。
 それに気づいたアレクシオンを生かしてはおけないと今回の事がおきた。
 神殿から外出が厳しく制限されているはずの聖女が毎日見舞いにくるのも様子を探る為。聖女か側仕えか、もしくは両方かが。
「でも、私を殺して聖女にメリットは?」
 テリオス君が軽く手を挙げて、
「僕が思うに矢に当たるのはどちらでも、もしくは誰でも良かったのではないかと。ジグリア人が凱旋パレードを狙ったという事実さえあれば。
 あの子供は特に訓練を受けた感じではありませんでした。
 あの距離から確実に誰かを狙うのは難しいかと。
 しかも、あの日は聖女も凱旋するという事で聖騎士が多く配備されていました。
 元々逃げた所で始末するつもりだったのでは?」
 マティアス殿下も頷くが、
「だがあくまでも推測だ。子供はもう跡形もなく始末されているだろう。確たる証拠は無い。
 神殿の狙いは見えてきた。
 民の反感を誘い、ジグリアの王子を処刑させ、さらに彼らを奴隷としたいのだろう。
 忌々し事に、思惑どうりになりそうだ。
 王子は城で保護しているが、辛い立場になっている。私がどれだけ「手厚くもてなせ」とか「王子としての尊厳を守れ」と言っても皆余計な忖度をしてくれるのだ。」 
 頭を抱える。
「シオンの影響力もあるだろう。皆に好かれているお前が射たれたことに怒っている。」
 可愛そうに、王子には罪はないのに。
 殺された子供も利用されただけなのではないの?光魔法で暗示をかける事ができるのなら。
「あっ、じゃあ私が城に行って王子と仲良くしてる所見せたらどうかな?」
「「それはダメだ!」」
 なによ、二人して。
「危険です。シオン様はもう一歩も外には出しません!」
 またテリオス君の過保護が、
「そうだ!どれだけ護衛をつけても完璧は無い。またお前を失うことになるくらいならいっそ城に閉じ込め…て…そうだ!そうしよう!城ほど安全場所は無い!」
「いいえ!ダメです!シオン様の事情を知る者が増えるのは良くありません、それに別の危険も…。」
 口ごもり睨む。
 睨まれたマティアス殿下も睨み返す。
 なんなのもう。
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