海辺で拾った宇宙人

あさいゆめ

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「先輩、今日の歓迎会も欠席すか?」
「ああ。」
 新しく就任された部長の歓迎会だが、直属の上司でもないので出席はしなくてもいいだろう。
 津田はこそっと、
「彼氏さん束縛強めっすね。」
「そんなわけじゃないが、なんとなく放っておけなくて。
 ペットカメラでもつけておこうかとも思ったが、最近じゃ勝手に外出もするようだから、意味ない気がするし。」
 部屋にいたほうがまだ安全だろうに。
「…先輩のほうか。」
「何が?」
「自覚無しっすか?怖っ!」
「だからなんで?心配だろう?」
「いやいやいやいや、ちょっとおかしな所はあるけど成人男性っすよ?かまいすぎじゃないですか?つか、監視するとか異常っすよ?先輩病んでます?」
 しまった。
 他人からみたらそうなるわな。
「そう…かな?気をつけるよ。」
 まあ津田は人に言いふらすような奴ではないだろうが、飲み会には参加することにした。
 時々は残業などで帰宅が遅くなる事もあったから、まあ大丈夫だろう。
 久しぶりに参加したせいか、同僚達もなかなか帰してはくれない。
 結局三軒ほどまわった所で急に眠気が。
 俺は酔うと眠くなる。
「先輩、先輩。」
「んあ?寝てたか?」
「帰ります?」
「うん。」
 津田は送らなくていいというのについてきた。
 タクシーに乗った所までは覚えていたのだが、気がつくとアパートの近くの路地で津田に抱きついてキスをしていた。
「あれ?津田?」
 なんでこうなった?
 津田の舌が口の中に入ってきたのに違和感を感じて目が覚めた。
 リアルな人間の舌はこんな感じだったのか。
 やってる時はオウとしているつもりだったようだ。
「なんか…すまん。」
「いえ…その…ごちっす。」
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