黒い聖女

あさいゆめ

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続編 28

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  クリスティア視点

 次の日、聖女の邸に使いを出した。
 ある人を連れて来てもらうために。
 歳はイデオンと同じだから確か48?
「クリスぅ、いくらルシェルに人の悪意を学ばせるって言っても、あれは悪意の塊だよ?」
「言ってくれるわね。」
 そう言ったのはレミナ。
 かつて地球から召喚された聖女。
 聖女としては使い物にならなかったけど、意外な事に料理の才能はあった。
 彼女は聖女の邸で賄いをしてこの世界で生きていた。
 国からは十分な賠償金を受け取っているから邸を出ていっても良かったのだけど、結局そこにいるほうが落ち着くんだと。
 さんざん男遊びもやりつくし、今では飽きてしまったらしい。
 彼女から謝りもしないし、赦しもしないけれど腐れ縁とでもいうのだろうか、時々会っていた。
 皇后時代に部屋に大量の活きのいいタコが放置される事件があり、処分に困り彼女の元に。
 すると、
「あははははっ、うける!マジで?」
 何かと思えば、怪しい人に皇后の弱点を聞かれたから生きたタコが死ぬほど嫌いだと教えたらしい。
「タコ好きでしょ?」
 彼女の作るタコ焼きはおいしい。
 内陸の首都では鮮度のよい海産物は高価だ。
「迷惑したんだからタコ焼き作りなさいよ。」
「待ちなさいよ、このぬめりを取るのが手間なんだから。」
「手伝おうか?」
「やめて、あんたが食材に触るとなぜか壊滅的な味になるから。」
「…ひどい。」
 そうだった…壊滅的な味になるんだったわ。
「という訳で、あなたに家の家政婦になってほしいんだけど。」
「何がという訳なのよ。」
 経緯を、話した。
 ルシェルはイデオンの子だと伝えたのに、
「こんなんダニエルの子にしか見えないじゃん。」
 一応気を使ってルシェルには聞こえないようにだったが。
 レミナにも近くに家を購入し、そこから通ってもらうことにした。
 ルシェルは願ったとおりすくすくと育った。
 街の人達は私達一家を暖かい目で見守ってくれた。
 言動も金銭感覚もおかしい。
 父親は毎日何をしているかわからない。
 母親の働く店は異常に繁盛している。
 釣り銭をもらうと一緒に祝福も貰えるから。
 一番常識的だったのはルシェルだった。
 ロイドの孫、レオナルドとよく遊び、ストーレン家の者と懇意になり、着々と自分の配下を作っていた。
 「若」と呼ばせ影で暗躍する組織なるものを作っているらしい。順調に中2を発病なさったわ。
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