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続編 16
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離婚式から一ヶ月ほどした城内はすでにクリスティアがいない影響が出始めていた。
何がどう違うのかは皆には解らないのだが、執務が滞るようになり、先送りになる案件が目立つようななる。
皆、疲れやすくイライラするようになった。
後宮でもそれは同じようだった。
アリエルの身仕度を整え終えた侍女はなぜか部屋から出て行かない。
「何?終わったなら下がりなさい。」
侍女は、ハッとして、
「失礼いたしますっ。」
あわてて廊下へ出た。
「どうしちゃったの?」
もう一人の侍女が聞く。
「う…ん。
なんでも無い事なんだけど、皇后さまは私達が部屋を出る時は必ず「ありがとう」とか「ご苦労でした」なんて声をかけてくれたなぁ…なんて。」
「そうね…それに、少しだけ祝福もくれてたんだと思う。体が楽だったもの。」
「いつも無表情で怖い方だったけど気遣って下さっていたんだよね。」
皇后不在の後宮は侍女達が気楽に廊下で話せるようになった。多少服装に乱れがあろうとも、廊下の隅に埃があろうとも、気にはされなかった。
城全体も緩く、来客も先触れ無しに城内を歩く。
「ねえ?あれってイデオン大神官様よね?」
元から整った顔に若い肉体、大人の色気を合わせ持っている。
「やだ、ステキ。」
色めき立つ侍女達に、にっこり笑い手を振る。
「きゃあぁっ!」
騒がしさに執務室に向かっていたアリエルも視線をむける。
(なんてステキなのかしら?そう言えば彼は直系の皇族。本当の王子様なんだわ。)
ダニエルと同じ金髪だが瞳は優しいエメラルドグリーン。
ひょろりとした長身のダニエルとは違い、肩幅は広く胸板は厚そう。それでいて手足は長く均整のとれた身体をしている。
イデオンもアリエルに気づいたようで近寄ってきた。
「ごきげんよう、アリエル様。
陛下の所へおいでですか?」
「は、はい。」
アリエルの頬が染まる。
「私もです、ご一緒しましょう。」
さりげなく手を差し出しエスコートしようとする。あまりにも自然なためアリエルも素直に手をとった。
「あ、あの、皇…クリスティア様はどうされていますか?」
「お元気ですよ。」
「そうですか。
ちょっと心配していたんです。」
「お優しいお心遣い、クリスティア様も感謝されることでしょう。」
「あのぅ…クリスティア様とは、その…。」
下世話な勘繰りに一瞬、冷ややかな目をしたイデオンだったが、すぐに微笑み、
「クリスティア様は幼馴染みで姉のような存在でした。今は私は臣下でございます。
親しくはさせていただいてはおりますが、世間で言われているような関係ではございませんよ。」
なぜかほっとしたアリエル。
執務室へ入り、ダニエルを見る。
明らかに一ヶ月前とは違いやつれていた。
何がどう違うのかは皆には解らないのだが、執務が滞るようになり、先送りになる案件が目立つようななる。
皆、疲れやすくイライラするようになった。
後宮でもそれは同じようだった。
アリエルの身仕度を整え終えた侍女はなぜか部屋から出て行かない。
「何?終わったなら下がりなさい。」
侍女は、ハッとして、
「失礼いたしますっ。」
あわてて廊下へ出た。
「どうしちゃったの?」
もう一人の侍女が聞く。
「う…ん。
なんでも無い事なんだけど、皇后さまは私達が部屋を出る時は必ず「ありがとう」とか「ご苦労でした」なんて声をかけてくれたなぁ…なんて。」
「そうね…それに、少しだけ祝福もくれてたんだと思う。体が楽だったもの。」
「いつも無表情で怖い方だったけど気遣って下さっていたんだよね。」
皇后不在の後宮は侍女達が気楽に廊下で話せるようになった。多少服装に乱れがあろうとも、廊下の隅に埃があろうとも、気にはされなかった。
城全体も緩く、来客も先触れ無しに城内を歩く。
「ねえ?あれってイデオン大神官様よね?」
元から整った顔に若い肉体、大人の色気を合わせ持っている。
「やだ、ステキ。」
色めき立つ侍女達に、にっこり笑い手を振る。
「きゃあぁっ!」
騒がしさに執務室に向かっていたアリエルも視線をむける。
(なんてステキなのかしら?そう言えば彼は直系の皇族。本当の王子様なんだわ。)
ダニエルと同じ金髪だが瞳は優しいエメラルドグリーン。
ひょろりとした長身のダニエルとは違い、肩幅は広く胸板は厚そう。それでいて手足は長く均整のとれた身体をしている。
イデオンもアリエルに気づいたようで近寄ってきた。
「ごきげんよう、アリエル様。
陛下の所へおいでですか?」
「は、はい。」
アリエルの頬が染まる。
「私もです、ご一緒しましょう。」
さりげなく手を差し出しエスコートしようとする。あまりにも自然なためアリエルも素直に手をとった。
「あ、あの、皇…クリスティア様はどうされていますか?」
「お元気ですよ。」
「そうですか。
ちょっと心配していたんです。」
「お優しいお心遣い、クリスティア様も感謝されることでしょう。」
「あのぅ…クリスティア様とは、その…。」
下世話な勘繰りに一瞬、冷ややかな目をしたイデオンだったが、すぐに微笑み、
「クリスティア様は幼馴染みで姉のような存在でした。今は私は臣下でございます。
親しくはさせていただいてはおりますが、世間で言われているような関係ではございませんよ。」
なぜかほっとしたアリエル。
執務室へ入り、ダニエルを見る。
明らかに一ヶ月前とは違いやつれていた。
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