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傷を癒されたジークフリードはアサコに礼を言い、一緒に国へ来て欲しいとたのんだ。
争いの絶えないこの世の中に平和をもたらすには各国を統一し、帝国を築くしかない。その為に力を貸して欲しいと願ったのだ。
アサコもまた平和な世を願っていた。
アサコはジークフリードとグラディアス王国へ行く事にした。
ジークフリードに寵愛を与え、多くの術式を教えた。
ジークフリードだけではなく、彼の兵士達にも寵愛を与え、最強の部隊を作り上げ、早々に帝国を築きあげたのだった。
アサコはジークフリードを愛し、ジークフリードはアサコを大切にした。
霊体だったアサコの命は無限だったが、その命をジークフリードに分け与え、共に人として生きることを選んだ。
それにより、肉体と寿命を得た。
二人は結婚し、初代皇帝と皇后となった。
争いのあった国々をまとめ、平和になったかのようだったが、ジークフリードの征服欲は治まる事がなかった。
アサコがどんなに止めても、次々と近隣諸国を制圧し、帝国を広げてゆく。
無慈悲な皇帝を人は「氷帝」、もしくは「氷の魔王」と呼ぶようになった。
男が力を持つと考える事は同じ。氷帝もまた後宮に美姫を集めハーレムを作るのだった。
ふと鏡を見るアサコ。
黒目黒髪に地味な顔。
後宮の美姫達に嫉妬の感情が沸き上がる。
そして鏡を見続けていると次第にそれはあのおぞましい悪霊の姿に移り変わっていくのだった。
その姿にはっとし、アサコはジークフリードの蛮行は全て自分が力を与えたからだと後悔した。
アサコにはジークフリードしか見えなくなっていたけれど、彼に殺された人々もまた、アサコの愛すべき命だったのだ。
アサコは氷帝の魔法を封印し、神殿を建て、自らを聖女と名乗りそこに閉じ籠ることにした。
魔法が使えなくなった氷帝は怒り、聖女などまやかしだと、兵を差し向けたが聖女の周りには側近として敬い仕える魔法使いが大勢いて近寄ることが出来なかった。
聖女がまやかしだと言うのならばと、聖女は浄化を止めた。
たちまち帝国には瘴気が溢れ、戦どころではなくなった。
寵愛も失った氷帝は日に日に衰え、己の行いを後悔し、聖女に許しを乞う。
だが氷帝の前に現れた聖女はアサコではなく、薄茶色の髪に赤茶の瞳の少女だった。
少女は「アサコ様は私に命を分け与え、聖女の務めを果たすよう命じられました。」そう言って神殿の奥で儀式を行い、帝国全土を浄化してみせた。
氷帝はアサコはどうしたかと少女に聞くと、
「女神イレーネ様が転生を許して下さったので、命をまっとうしたら輪廻の輪にお戻りになられるそうです。それまで神殿内の結界で、失われた命と帝国の為お祈りを捧げ続けるとおっしゃいました。」
氷帝はこれまでの行いを悔い、残りの人生は賢帝となるよう努めた。
これが初代皇帝と聖女の物語。
初代聖女に仕えた大神官が聖女から聞いた話を元に書いたとされている。
皇帝は自分への戒めとして、また、後世の皇帝達が驕る事なく国を治めるようにと、内容には手を加えず保管されているそうだ。
争いの絶えないこの世の中に平和をもたらすには各国を統一し、帝国を築くしかない。その為に力を貸して欲しいと願ったのだ。
アサコもまた平和な世を願っていた。
アサコはジークフリードとグラディアス王国へ行く事にした。
ジークフリードに寵愛を与え、多くの術式を教えた。
ジークフリードだけではなく、彼の兵士達にも寵愛を与え、最強の部隊を作り上げ、早々に帝国を築きあげたのだった。
アサコはジークフリードを愛し、ジークフリードはアサコを大切にした。
霊体だったアサコの命は無限だったが、その命をジークフリードに分け与え、共に人として生きることを選んだ。
それにより、肉体と寿命を得た。
二人は結婚し、初代皇帝と皇后となった。
争いのあった国々をまとめ、平和になったかのようだったが、ジークフリードの征服欲は治まる事がなかった。
アサコがどんなに止めても、次々と近隣諸国を制圧し、帝国を広げてゆく。
無慈悲な皇帝を人は「氷帝」、もしくは「氷の魔王」と呼ぶようになった。
男が力を持つと考える事は同じ。氷帝もまた後宮に美姫を集めハーレムを作るのだった。
ふと鏡を見るアサコ。
黒目黒髪に地味な顔。
後宮の美姫達に嫉妬の感情が沸き上がる。
そして鏡を見続けていると次第にそれはあのおぞましい悪霊の姿に移り変わっていくのだった。
その姿にはっとし、アサコはジークフリードの蛮行は全て自分が力を与えたからだと後悔した。
アサコにはジークフリードしか見えなくなっていたけれど、彼に殺された人々もまた、アサコの愛すべき命だったのだ。
アサコは氷帝の魔法を封印し、神殿を建て、自らを聖女と名乗りそこに閉じ籠ることにした。
魔法が使えなくなった氷帝は怒り、聖女などまやかしだと、兵を差し向けたが聖女の周りには側近として敬い仕える魔法使いが大勢いて近寄ることが出来なかった。
聖女がまやかしだと言うのならばと、聖女は浄化を止めた。
たちまち帝国には瘴気が溢れ、戦どころではなくなった。
寵愛も失った氷帝は日に日に衰え、己の行いを後悔し、聖女に許しを乞う。
だが氷帝の前に現れた聖女はアサコではなく、薄茶色の髪に赤茶の瞳の少女だった。
少女は「アサコ様は私に命を分け与え、聖女の務めを果たすよう命じられました。」そう言って神殿の奥で儀式を行い、帝国全土を浄化してみせた。
氷帝はアサコはどうしたかと少女に聞くと、
「女神イレーネ様が転生を許して下さったので、命をまっとうしたら輪廻の輪にお戻りになられるそうです。それまで神殿内の結界で、失われた命と帝国の為お祈りを捧げ続けるとおっしゃいました。」
氷帝はこれまでの行いを悔い、残りの人生は賢帝となるよう努めた。
これが初代皇帝と聖女の物語。
初代聖女に仕えた大神官が聖女から聞いた話を元に書いたとされている。
皇帝は自分への戒めとして、また、後世の皇帝達が驕る事なく国を治めるようにと、内容には手を加えず保管されているそうだ。
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