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「あら…お邪魔だったかしら?」
抱き合う弟とその婚約者。
「姉様?」
「ユリシアン、元気そうですね。」
「姉様、ご無事だったのですね!」
今にも泣き出しそうに身を乗り出す。
「心配をさせてしまったようですね。
このとおり無事です。
おまけに少々便利な身体になったので会いにきました。
失礼してもいいかしら?」
布団をはぐる。
「あっ…お見苦しいですよ。」
使われていない足は痩せて骨と皮しかない。
でも、そんなのは自分の身体で見飽きているわ。
治癒魔法を発動させる。
初めてだけど、きっと大丈夫。
ついでに軽く寵愛もしておこう。
手をとり、軽く唇を当てる。
寵愛の加減も大分掴めてきた。
「姉様…これはいったい?」
「立ってごらんなさい。」
恐る恐る床に足をつけ、ニーナに手を取られ、ゆっくりと立ち上がる。
「ああ、嘘みたいに普通に立てる。
覚醒した聖女は姉様だったの?」
「ええ、でも一応内密にね。」
後ろにいる彼等に目をむけて、
「ところでなんでキリアン公爵も一緒なの?」
「久しぶりですね、ユリシアン。
会いたかったですよ。」
「あっ…ああ、久しぶりですね。」
優しく微笑むダニエルと目を反らすユリシアン。
「相変わらず美しい。」
手の甲に唇を付ける。
ん、んー…これは。
「ユリシアン、ダニエルはずっとこんな感じであなたと?」
頷くユリシアン。
「なぜ公爵と姉様が一緒にいるの?」
ユリシアンは知らないのだわ。
首都から遠くはなれて社交界の話も耳に入らなかったのね。
「この度、君の姉上と結婚する事になってね。
つまり私は君の兄となるのだよ。
よろしく頼む。」
「どういう事?どっちが本命?」
それな。
私がユリシアンに似ていたから?
それとも、ユリシアンが私に似ているから?
「何が?私はクリスティアしか愛していないが?」
無意識か?
無意識でユリシアンに色っぽいフェロモン浴びせていたの?
これはゲイの噂がたってもしかたがないわ。
「ユリシアンはクリスティアの弟だから特別に親切にするよう心がけていたのだが、なぜかいつも避けられていた。」
「怖いよ!
誰にも笑顔を見せないキリアン公爵が僕にだけ微笑むんだよ?
教室では隣に座ろうとするし、苦手な教科は分かりやすくまとめたノートを貸してくれるし、体育で怪我した時はお姫様抱っこされたしっ!」
「まあ…女子ならトキメキポイントしかないじゃない。羨ましいわ。」
「姉様!」
クスクスと笑う婚約者のニーナ。
「ずいぶんと苦労かけてしまったようですね。
お礼を申し上げます。」
確かふくよかな女性だったのに、こんなにやつれてしまって。
「とんでもございたせん。お側にいる事をお許しいただき、ありがたく思っております。」
「でも、ダイエットはほどほどになさったほうがよろしいわ。肌がかさつきますでしょう?今度よいサプリメントをお送りいたしますわね。
とりあえず今はこちらを。」
手をとり、甲に口づけを。
うん、いい感じに寵愛を与える事が出来るようになったわ。
「寵愛」という言い方変えたほうがいいわね。
「祝福」とか。
その後、私の領地であるクリスティアーナのロイドの元へ飛んだ。
彼にも世話になったわ。
ロイドがダニエルに助けを求めなかったら、ダニエルは私の元へは来なかった。
彼にも軽く「祝福」を与えて首都へ戻る。
お礼が「祝福」だなんて元手がかからなくてなんて安上がり。
それに皆格段にイケメンになる。
回りにイケメンが増えるのはいいことだわ。
抱き合う弟とその婚約者。
「姉様?」
「ユリシアン、元気そうですね。」
「姉様、ご無事だったのですね!」
今にも泣き出しそうに身を乗り出す。
「心配をさせてしまったようですね。
このとおり無事です。
おまけに少々便利な身体になったので会いにきました。
失礼してもいいかしら?」
布団をはぐる。
「あっ…お見苦しいですよ。」
使われていない足は痩せて骨と皮しかない。
でも、そんなのは自分の身体で見飽きているわ。
治癒魔法を発動させる。
初めてだけど、きっと大丈夫。
ついでに軽く寵愛もしておこう。
手をとり、軽く唇を当てる。
寵愛の加減も大分掴めてきた。
「姉様…これはいったい?」
「立ってごらんなさい。」
恐る恐る床に足をつけ、ニーナに手を取られ、ゆっくりと立ち上がる。
「ああ、嘘みたいに普通に立てる。
覚醒した聖女は姉様だったの?」
「ええ、でも一応内密にね。」
後ろにいる彼等に目をむけて、
「ところでなんでキリアン公爵も一緒なの?」
「久しぶりですね、ユリシアン。
会いたかったですよ。」
「あっ…ああ、久しぶりですね。」
優しく微笑むダニエルと目を反らすユリシアン。
「相変わらず美しい。」
手の甲に唇を付ける。
ん、んー…これは。
「ユリシアン、ダニエルはずっとこんな感じであなたと?」
頷くユリシアン。
「なぜ公爵と姉様が一緒にいるの?」
ユリシアンは知らないのだわ。
首都から遠くはなれて社交界の話も耳に入らなかったのね。
「この度、君の姉上と結婚する事になってね。
つまり私は君の兄となるのだよ。
よろしく頼む。」
「どういう事?どっちが本命?」
それな。
私がユリシアンに似ていたから?
それとも、ユリシアンが私に似ているから?
「何が?私はクリスティアしか愛していないが?」
無意識か?
無意識でユリシアンに色っぽいフェロモン浴びせていたの?
これはゲイの噂がたってもしかたがないわ。
「ユリシアンはクリスティアの弟だから特別に親切にするよう心がけていたのだが、なぜかいつも避けられていた。」
「怖いよ!
誰にも笑顔を見せないキリアン公爵が僕にだけ微笑むんだよ?
教室では隣に座ろうとするし、苦手な教科は分かりやすくまとめたノートを貸してくれるし、体育で怪我した時はお姫様抱っこされたしっ!」
「まあ…女子ならトキメキポイントしかないじゃない。羨ましいわ。」
「姉様!」
クスクスと笑う婚約者のニーナ。
「ずいぶんと苦労かけてしまったようですね。
お礼を申し上げます。」
確かふくよかな女性だったのに、こんなにやつれてしまって。
「とんでもございたせん。お側にいる事をお許しいただき、ありがたく思っております。」
「でも、ダイエットはほどほどになさったほうがよろしいわ。肌がかさつきますでしょう?今度よいサプリメントをお送りいたしますわね。
とりあえず今はこちらを。」
手をとり、甲に口づけを。
うん、いい感じに寵愛を与える事が出来るようになったわ。
「寵愛」という言い方変えたほうがいいわね。
「祝福」とか。
その後、私の領地であるクリスティアーナのロイドの元へ飛んだ。
彼にも世話になったわ。
ロイドがダニエルに助けを求めなかったら、ダニエルは私の元へは来なかった。
彼にも軽く「祝福」を与えて首都へ戻る。
お礼が「祝福」だなんて元手がかからなくてなんて安上がり。
それに皆格段にイケメンになる。
回りにイケメンが増えるのはいいことだわ。
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