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ダニエルの天幕に連れて来られたようだ。
久しぶりのベッドに布団。
「失礼いたします。」
えっ?
ダニエルがベッドに…。
『暖かい。』
こんな状態じゃなかったらドキドキするんだろうけど。
そして、さっきからずっと泣いているみたい。
気づかないふりをしてあげたほうがいいのかしら?
『あまり悲しまないで下さい。』
「どうして…どうしてあなただけがこんな事に…。」
優しい方。
『仕方ない事なのです。私にしか出来なかった事ですから。』
「イデオン殿下は知っているのですか?」
『ふふっ、殿下は私が側にいても私だとはきづきませんよ。』
「では、このような仕打ちをうけている事も?」
『聖女が私を罪人だと教えたみたいです。素直な子ですから信じているでしょう。
いいのです。このような姿は知られたくありません。』
「あなたは…あなたという人はどこまでも殿下に尽くすのですね。」
『そう…ですね。…大切な方なのです。』
「愛しているのですね。」
『ええ。』
「そこまでしてあなたが得るものは何も無いではないですか。」
『そうでしょうか。愛する事の喜びは愛されるよりも尊いですよ。』
「私にはわかりません。
やはりまだ寒いようですね、毛布をもう一枚調達してきます。」
『ならばセゼル神官を呼んで下さい。話せるうちに伝えたい事があるのです。』
すぐに、セゼル神官がダニエルと毛布を持って来た。
ロイドの報告書と薬を渡す。
『読めばわかると思いますが、聖女の気脈はもうほとんど整っています。
後は本人の努力次第なのですが、努力が嫌いな方でしょうから薬を用意しました。
私が死んでから飲ませて下さい。
毒だと騒がれるのはたまりませんから。
中身が心配なら首都に帰ってから薬師に調べさせてからでかまいません。
聖女をあきらめないであげて下さい。』
「なぜ?あなた様は聖女様が憎くはないのですか?」
『嫌いですが、憎くはありません。
この世界に召喚された時、ストールを巻いてあげると、あの娘は震えていたんです。
いきなり知らない所へ連れて来られて、家族も友達もいないのです。怖くて当たり前でしょう。
悪態をつくのも虚勢をはっているだけです。
男達に頼るのも。
自分が完璧な聖女ではなく、上手く出来ない焦りと苛立ちと不安でセックス依存症になっているのだと思うのです。
優しくしてあげなさい。』
「…あなた様は。
あなた様こそ本当は聖女様にふさわしい人だ。
私は、とんでもない罪を犯しました。
どうかお許しください!」
土下座…そんな事で許したりはしない。
「許す事はできません。道を踏み外すこと無く、後悔しながら生きていきなさい。」
久しぶりのベッドに布団。
「失礼いたします。」
えっ?
ダニエルがベッドに…。
『暖かい。』
こんな状態じゃなかったらドキドキするんだろうけど。
そして、さっきからずっと泣いているみたい。
気づかないふりをしてあげたほうがいいのかしら?
『あまり悲しまないで下さい。』
「どうして…どうしてあなただけがこんな事に…。」
優しい方。
『仕方ない事なのです。私にしか出来なかった事ですから。』
「イデオン殿下は知っているのですか?」
『ふふっ、殿下は私が側にいても私だとはきづきませんよ。』
「では、このような仕打ちをうけている事も?」
『聖女が私を罪人だと教えたみたいです。素直な子ですから信じているでしょう。
いいのです。このような姿は知られたくありません。』
「あなたは…あなたという人はどこまでも殿下に尽くすのですね。」
『そう…ですね。…大切な方なのです。』
「愛しているのですね。」
『ええ。』
「そこまでしてあなたが得るものは何も無いではないですか。」
『そうでしょうか。愛する事の喜びは愛されるよりも尊いですよ。』
「私にはわかりません。
やはりまだ寒いようですね、毛布をもう一枚調達してきます。」
『ならばセゼル神官を呼んで下さい。話せるうちに伝えたい事があるのです。』
すぐに、セゼル神官がダニエルと毛布を持って来た。
ロイドの報告書と薬を渡す。
『読めばわかると思いますが、聖女の気脈はもうほとんど整っています。
後は本人の努力次第なのですが、努力が嫌いな方でしょうから薬を用意しました。
私が死んでから飲ませて下さい。
毒だと騒がれるのはたまりませんから。
中身が心配なら首都に帰ってから薬師に調べさせてからでかまいません。
聖女をあきらめないであげて下さい。』
「なぜ?あなた様は聖女様が憎くはないのですか?」
『嫌いですが、憎くはありません。
この世界に召喚された時、ストールを巻いてあげると、あの娘は震えていたんです。
いきなり知らない所へ連れて来られて、家族も友達もいないのです。怖くて当たり前でしょう。
悪態をつくのも虚勢をはっているだけです。
男達に頼るのも。
自分が完璧な聖女ではなく、上手く出来ない焦りと苛立ちと不安でセックス依存症になっているのだと思うのです。
優しくしてあげなさい。』
「…あなた様は。
あなた様こそ本当は聖女様にふさわしい人だ。
私は、とんでもない罪を犯しました。
どうかお許しください!」
土下座…そんな事で許したりはしない。
「許す事はできません。道を踏み外すこと無く、後悔しながら生きていきなさい。」
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