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父はキリアン公爵の話を鵜呑みにはしない。
「建前はわかりました。本題に入りましょう。」
「さすがはアストロイト侯爵。」
やはり裏があるようだ。
「聖女と皇太子が結婚ともなれば皇室は神殿の手に落ちます。
そうなった場合、事実上皇帝派など意味を成さなくなるでしょう。
我がキリアン公爵家は皇帝派を抜け、議会派に参入いたします。
他の公爵家もそれに続くはずです。
これ以上神殿に力をつけさせてはなりませんから。
派閥は大きく二分化するでしょう。
私は議会派の中でも発言力を持ち、有力でいたいのです。
その為、アストロイト侯爵のお力をお借りしたい。
これが本音です。」
「お話はわかりました。
我がアストロイト家としても、力を取り戻す為には悪くない話です。
ですが、父親としてはもうこれ以上娘を政治利用したくないのです。
クリスティア、お前が決めなさい。」
私は正直もう静かに暮らしたい。
だけどこれから先の事を考えると自分だけ楽は出来ない。弟の未来もあるし。
「私は、婚約は今すぐでなくても良いと思います。
キリアン公爵と私がお付き合いをしているという事実さえあればよいのではないでしょうか?
公爵はまだお若いです。
仮に後2年たってもよい人が現れなければ婚約いたしましょう。
私には傷を癒す期間と、新しいロマンスが必要だと思うのです。」
公爵は少し考えてから、
「いいでしょう。
少し、令嬢と二人で話しても良いでしょうか。」
両親は承諾し、退室した。
「クリスティア様は今でも殿下を愛していらっしゃいますか?それとも、憎いでしょうか?」
「…11年です。殿下と過ごした年月は長すぎました。
ただ愛しているとも、憎いとも割りきれない感情なのです。」
「では、私の事は割りきって下さい。
2年間、付き合うというお芝居でかまいません。」
「恋愛感情は必要無いという事でしょうか?」
「はい、私は女性にときめくという感情がわからないのです。」
「まぁ…。」
そういう噂はあったけど、やっぱり男性が好きなのね。
「あっ、違いますよ。男が好きなわけではありません。」
「では、生殖機能は正常ではないのでしょうか?」
「は?」
さっきから何か変だ。
落ち着きなく、顔が赤い。
「令嬢のがそのような事を口するとは…。」
「大切な事ですよ。
子孫を残すのも貴族にとっては重要な役目ですから。」
「いたって健康で健全です!」
この方、下ネタが苦手なのだわ。
「では自己処理能力の高い方ですのね。」
「え?…はっ!あっ、何をっ。」
何この方、思ったよりかわいいじゃないの。
「ふふふっ、年上を相手にするという事はこのように出玉に取られる事もあると覚悟なさって下さいませ。」
「…わかりました。
とにかく、芝居で結構ですので仲睦まじいふりをお願いいたします。」
こんなにウブなのに、お芝居できるのかしら?
「あのっ、これを。」
手渡されたのはネックレスだった。
「建前はわかりました。本題に入りましょう。」
「さすがはアストロイト侯爵。」
やはり裏があるようだ。
「聖女と皇太子が結婚ともなれば皇室は神殿の手に落ちます。
そうなった場合、事実上皇帝派など意味を成さなくなるでしょう。
我がキリアン公爵家は皇帝派を抜け、議会派に参入いたします。
他の公爵家もそれに続くはずです。
これ以上神殿に力をつけさせてはなりませんから。
派閥は大きく二分化するでしょう。
私は議会派の中でも発言力を持ち、有力でいたいのです。
その為、アストロイト侯爵のお力をお借りしたい。
これが本音です。」
「お話はわかりました。
我がアストロイト家としても、力を取り戻す為には悪くない話です。
ですが、父親としてはもうこれ以上娘を政治利用したくないのです。
クリスティア、お前が決めなさい。」
私は正直もう静かに暮らしたい。
だけどこれから先の事を考えると自分だけ楽は出来ない。弟の未来もあるし。
「私は、婚約は今すぐでなくても良いと思います。
キリアン公爵と私がお付き合いをしているという事実さえあればよいのではないでしょうか?
公爵はまだお若いです。
仮に後2年たってもよい人が現れなければ婚約いたしましょう。
私には傷を癒す期間と、新しいロマンスが必要だと思うのです。」
公爵は少し考えてから、
「いいでしょう。
少し、令嬢と二人で話しても良いでしょうか。」
両親は承諾し、退室した。
「クリスティア様は今でも殿下を愛していらっしゃいますか?それとも、憎いでしょうか?」
「…11年です。殿下と過ごした年月は長すぎました。
ただ愛しているとも、憎いとも割りきれない感情なのです。」
「では、私の事は割りきって下さい。
2年間、付き合うというお芝居でかまいません。」
「恋愛感情は必要無いという事でしょうか?」
「はい、私は女性にときめくという感情がわからないのです。」
「まぁ…。」
そういう噂はあったけど、やっぱり男性が好きなのね。
「あっ、違いますよ。男が好きなわけではありません。」
「では、生殖機能は正常ではないのでしょうか?」
「は?」
さっきから何か変だ。
落ち着きなく、顔が赤い。
「令嬢のがそのような事を口するとは…。」
「大切な事ですよ。
子孫を残すのも貴族にとっては重要な役目ですから。」
「いたって健康で健全です!」
この方、下ネタが苦手なのだわ。
「では自己処理能力の高い方ですのね。」
「え?…はっ!あっ、何をっ。」
何この方、思ったよりかわいいじゃないの。
「ふふふっ、年上を相手にするという事はこのように出玉に取られる事もあると覚悟なさって下さいませ。」
「…わかりました。
とにかく、芝居で結構ですので仲睦まじいふりをお願いいたします。」
こんなにウブなのに、お芝居できるのかしら?
「あのっ、これを。」
手渡されたのはネックレスだった。
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