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魔界に帰ったらまずはレナードに叱られた。
だけど連れて来たミシェルを見て涙を流した。
肩に手をかけて「?」ってなってるのを見て笑った。
アンジェリカから例の絵本を一冊もらってきていた。
祝福の魔法をかけてダンジョンのポータルに置いた。
こうするとダンジョンのどこかに宝箱となって現れる。
だけどこの本はきっとどこか違う次元に迷い込むのかもしれない。
そしてこの絵本を手にした人はこれを元に小説を書くのかもしれない。
かもしれない話ばかりだけど、この絵本を手にした人がちょっと幸せになれるように、祝福を与えよう。
ミシェルは孤島で反省しすぎたようで僕やレナードに対してしばらくぎこちなさが抜けなかった。
けれど、元聖女のモニカが献身的に寄り添ってくれているおかげで、徐々に本来の明るさを取り戻しつつある。聖女ってのも伊達じゃなかったようだ。
僕とレナードは今日、結婚する。
教会も神殿もないし、もちろん誓う神もいない。
お互いがお互いを愛し、生涯を共にすごす事を玉座の前で互いに誓った。
魔界の結婚式だからそれらしく夜に行う。
式が終わり、城の外に集まる魔族達に御披露目する為に、二人で並んで外に出た。
入り口でキスをするとそれを合図にしたかのように花火が打ち上げられた。
この花火は人間界からも見える。
魔の森に立ち込める瘴気が光を反射してどこか幻想的な景色になっている。
後はいつもと同じ、飲んで踊って皆で楽しんでもらう。
魔族達はなんでもいいから騒ぎたいだけみたいだ。
違うのは、
「ジュリアス、俺と踊ってくれないか?」
レナードがダンスを申し込む。
男同士でダンスを踊るなんて今まで出来なかった。
「うん。」
差し出された手を取る。
なんだか恥ずかしい。
慣れない女性パートはちょっと下手だったけど、嬉しかった。
朝方までパーティーは続き、招待客が帰って部屋に入れたのは空がうっすらと明るくなった頃だった。
さすがに、
「眠いー!」
「俺もー!」
着替えもせずに上着だけ脱いでベッドに横になった。
でもお互いに手をつないで、見つめあってキスをした。
ふと、ブレスレットが目についた。
「これを贈った時からずっと一緒にいたかったんだ。
でもまさか結婚するとは思わなかった。
僕にとっては友達は恋人よりも特別な存在だったから。
あの日の夜も二人でベッドに入ってずっと話をしていたね。」
「ああ、ジュリアスはすぐに寝てしまったがな。」
「そうだっけ?一晩中話していたと思ったけどな。」
「俺はかわいい寝顔を見て我慢できなくなってトイレでこっそりぬいた。」
「あはは。」
あの日に願ったように、これからはこんな日がずっと続くんだ。
「これからもよろしくね。」
「こちらこそ。」
僕達は家族になった。
だけど家族は僕達二人だけじゃない。
ギルやマーカス、ディルクにオスカーをはじめこの城で働く人達、そしてミシェルも。
皆僕の家族だ。
「レナード、ここが僕達の家だね。」
「そうだ。
ジュリアス、ここが俺達の帰る場所だ。」
「おやすみ。
もう、朝だけど。」
「ああ、おはよう。
毎晩毎朝ずっと一緒にいよう。」
「うん。」
幸せだ。
柔らかな朝日がうっすらと部屋を照らす。
あたたかなベッドの中でまどろむ。
腕の中の白いふわふわ。
背中を抱く逞しい腕。
レナードの眉間のしわ。
…。
「君らはなぜ当然のようにベッドにいるのかな?一応新婚初夜だよ?」
レナードと僕の間に割って入っているマーカスに僕の背中にぴったりと寄り添うギル。
マーカスが上目遣いで、
「今日くらい皆で寝てもいいだろ?これからずっと一緒なんだから。」
いや逆に今日くらい二人きりにしてくれるもんじゃない?
ギルが、
「私達も家族だろう?」
そうだけど。
レナードはふっと、笑って、
「そうだな。皆、家族だ。」
マーカスごと抱きしめた。
「レナード、痛い。チンコあたってる!」
「間に入るお前が悪い。」
僕の背中の人もチンポ押し付けてきてるし。
「もーっ!眠いから寝るよ!」
「おやすみ。チュッ。」
ギルから首筋にキスされた。
「おやすみ。チュッ。」
僕からレナードに。
マーカスが、
「俺も、チュッ。おやすみ。」
レナードからも、
「おやすみ、ジュリアス。」
抱きしめてキスを。
「だからチンコあたってるってば。」
「マーカスうるさい。チンポ好きなくせに。」
「お前だって好きだろ!」
「好きだよ。」
「お、おう。」
こうやって皆でふざけて過ぎていく日々も悪くはないな。
完
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
だけど連れて来たミシェルを見て涙を流した。
肩に手をかけて「?」ってなってるのを見て笑った。
アンジェリカから例の絵本を一冊もらってきていた。
祝福の魔法をかけてダンジョンのポータルに置いた。
こうするとダンジョンのどこかに宝箱となって現れる。
だけどこの本はきっとどこか違う次元に迷い込むのかもしれない。
そしてこの絵本を手にした人はこれを元に小説を書くのかもしれない。
かもしれない話ばかりだけど、この絵本を手にした人がちょっと幸せになれるように、祝福を与えよう。
ミシェルは孤島で反省しすぎたようで僕やレナードに対してしばらくぎこちなさが抜けなかった。
けれど、元聖女のモニカが献身的に寄り添ってくれているおかげで、徐々に本来の明るさを取り戻しつつある。聖女ってのも伊達じゃなかったようだ。
僕とレナードは今日、結婚する。
教会も神殿もないし、もちろん誓う神もいない。
お互いがお互いを愛し、生涯を共にすごす事を玉座の前で互いに誓った。
魔界の結婚式だからそれらしく夜に行う。
式が終わり、城の外に集まる魔族達に御披露目する為に、二人で並んで外に出た。
入り口でキスをするとそれを合図にしたかのように花火が打ち上げられた。
この花火は人間界からも見える。
魔の森に立ち込める瘴気が光を反射してどこか幻想的な景色になっている。
後はいつもと同じ、飲んで踊って皆で楽しんでもらう。
魔族達はなんでもいいから騒ぎたいだけみたいだ。
違うのは、
「ジュリアス、俺と踊ってくれないか?」
レナードがダンスを申し込む。
男同士でダンスを踊るなんて今まで出来なかった。
「うん。」
差し出された手を取る。
なんだか恥ずかしい。
慣れない女性パートはちょっと下手だったけど、嬉しかった。
朝方までパーティーは続き、招待客が帰って部屋に入れたのは空がうっすらと明るくなった頃だった。
さすがに、
「眠いー!」
「俺もー!」
着替えもせずに上着だけ脱いでベッドに横になった。
でもお互いに手をつないで、見つめあってキスをした。
ふと、ブレスレットが目についた。
「これを贈った時からずっと一緒にいたかったんだ。
でもまさか結婚するとは思わなかった。
僕にとっては友達は恋人よりも特別な存在だったから。
あの日の夜も二人でベッドに入ってずっと話をしていたね。」
「ああ、ジュリアスはすぐに寝てしまったがな。」
「そうだっけ?一晩中話していたと思ったけどな。」
「俺はかわいい寝顔を見て我慢できなくなってトイレでこっそりぬいた。」
「あはは。」
あの日に願ったように、これからはこんな日がずっと続くんだ。
「これからもよろしくね。」
「こちらこそ。」
僕達は家族になった。
だけど家族は僕達二人だけじゃない。
ギルやマーカス、ディルクにオスカーをはじめこの城で働く人達、そしてミシェルも。
皆僕の家族だ。
「レナード、ここが僕達の家だね。」
「そうだ。
ジュリアス、ここが俺達の帰る場所だ。」
「おやすみ。
もう、朝だけど。」
「ああ、おはよう。
毎晩毎朝ずっと一緒にいよう。」
「うん。」
幸せだ。
柔らかな朝日がうっすらと部屋を照らす。
あたたかなベッドの中でまどろむ。
腕の中の白いふわふわ。
背中を抱く逞しい腕。
レナードの眉間のしわ。
…。
「君らはなぜ当然のようにベッドにいるのかな?一応新婚初夜だよ?」
レナードと僕の間に割って入っているマーカスに僕の背中にぴったりと寄り添うギル。
マーカスが上目遣いで、
「今日くらい皆で寝てもいいだろ?これからずっと一緒なんだから。」
いや逆に今日くらい二人きりにしてくれるもんじゃない?
ギルが、
「私達も家族だろう?」
そうだけど。
レナードはふっと、笑って、
「そうだな。皆、家族だ。」
マーカスごと抱きしめた。
「レナード、痛い。チンコあたってる!」
「間に入るお前が悪い。」
僕の背中の人もチンポ押し付けてきてるし。
「もーっ!眠いから寝るよ!」
「おやすみ。チュッ。」
ギルから首筋にキスされた。
「おやすみ。チュッ。」
僕からレナードに。
マーカスが、
「俺も、チュッ。おやすみ。」
レナードからも、
「おやすみ、ジュリアス。」
抱きしめてキスを。
「だからチンコあたってるってば。」
「マーカスうるさい。チンポ好きなくせに。」
「お前だって好きだろ!」
「好きだよ。」
「お、おう。」
こうやって皆でふざけて過ぎていく日々も悪くはないな。
完
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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こちらこそお読みいただきありがとうございます。