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レナード視点
マーカスが教えてくれた通り、ジュリアスはベッドの中で小さくなっていた。
ジュリアスが脱ぎ散らした服を片付け、上着を脱いで隣に寄り添った。
俺だけが不安なのではなかったのだ。
ジュリアスも不安を抱えていた。
何でも出来て、皆にあいされているのに。
「ジュリアス、すまなかった。」
「何が?」
「刺客は許していい訳がない。
お前を気遣ってやるべきだった。
不安にさせて悪かった。」
「違っ…うっ…うっ…。」
泣いているのか?
背中を抱きしめた。
「だが、処刑は気が引ける。
解放してやれば勝手に帰るか魔物の餌になるだろう。そうしような。」
「違うんだっ!」
こちらに向き直り、抱きついた。
そして泣きじゃくる。
「そうじゃない…そんな事望んでない…、僕だって優しく出来る…だから、嫌いにならないでほしい。」
どういう意味だ?
「ジュリアス?お前は間違ってない。」
「レナードは知らないだけだ、僕がどんなに残酷かを。
僕は…どこかまともじゃない。
人を玩具にしても罪悪感が無いんだ。
魔物の餌食になる人間を誘い込むのさえ楽しいと思っている。
マーカスも壊れているんだ。
だからマーカスといると安心してしまう。
でも、本当は…僕だって、レナードみたいになりたかった!うわぁぁぁん。」
泣きじゃくるジュリアスを抱きしめ背中をさすり、なだめる。
「残酷でも壊れていても、俺はジュリアスが好きだ。」
そうだ、完璧な美しさに強い魔力。
それとはアンバランスな情緒の不安定とちょっと抜けている性格。
そんなところがかわいいと思えてしまう。
「レナードに憧れていたんだ。
優しくて誠実で皆に信頼され慕われている。そんな人に僕もなりたかった。」
「俺はそんな立派な者じゃない。
ジュリアスだって慕われているじゃないか。」
「違う。
魔族の人達は慕っているんじゃない。従っているだけだ。
人間だって皇子でいい人のふりをしていた僕が好きだっただけだ。
こっちでマーカスと悪巧みをして喜んでいるのが本当の自分なんだ。
レナードはこんな僕を見てがっかりしているんじゃないかって…。」
「そんな事は無い。
俺はジュリアスに振り回されるのが嬉しいんだ。
俺はつまらない普通の人間だ。
なのに、更に普通でいようと努力する馬鹿だった。
お前に出会ってから世界が変わったんだ。
灰色だった世の中が極彩色になったように。
お前がいる景色はいつもキラキラしている。
だから好きに生きてくれ。ここならそう出来るだろう?
俺はずっとお前を見ていたい。
ジュリアス。
俺と家族にならないか?」
「それって…。」
「結婚しよう。」
「あっ、え?」
「ごめん、いきなり。指輪も何の演出も無しにこんな事言って。
返事は急がなくていい。
お互いの立場もこれまで通りだ。
もちろんマーカスや他の者との関係もこれまで通りでいい。
血や体液を与える時に性的興奮が高まる事は俺もわかっている。
ただ、俺の気持ちを知っていてほしい。
誰より近くにいるのが俺でありたいと思っているんだ。」
「はいっ!」
「ん?」
「だからっ、返事だよ!」
「いいのか?」
「いいに決まってる。」
「本当に?」
「うん。」
「…抱いていいか?」
「ダメだよ、もうすぐ晩御飯の時間だよ。」
「ちょっとだけ。」
「ちょっとじゃ僕が我慢できなくなる。」
「ジュリアス…。」
長い長いキスをした。
何度も繰り返し。
ずっと抱きしめていたい。
千年じゃ足りないくらいに。
マーカスが教えてくれた通り、ジュリアスはベッドの中で小さくなっていた。
ジュリアスが脱ぎ散らした服を片付け、上着を脱いで隣に寄り添った。
俺だけが不安なのではなかったのだ。
ジュリアスも不安を抱えていた。
何でも出来て、皆にあいされているのに。
「ジュリアス、すまなかった。」
「何が?」
「刺客は許していい訳がない。
お前を気遣ってやるべきだった。
不安にさせて悪かった。」
「違っ…うっ…うっ…。」
泣いているのか?
背中を抱きしめた。
「だが、処刑は気が引ける。
解放してやれば勝手に帰るか魔物の餌になるだろう。そうしような。」
「違うんだっ!」
こちらに向き直り、抱きついた。
そして泣きじゃくる。
「そうじゃない…そんな事望んでない…、僕だって優しく出来る…だから、嫌いにならないでほしい。」
どういう意味だ?
「ジュリアス?お前は間違ってない。」
「レナードは知らないだけだ、僕がどんなに残酷かを。
僕は…どこかまともじゃない。
人を玩具にしても罪悪感が無いんだ。
魔物の餌食になる人間を誘い込むのさえ楽しいと思っている。
マーカスも壊れているんだ。
だからマーカスといると安心してしまう。
でも、本当は…僕だって、レナードみたいになりたかった!うわぁぁぁん。」
泣きじゃくるジュリアスを抱きしめ背中をさすり、なだめる。
「残酷でも壊れていても、俺はジュリアスが好きだ。」
そうだ、完璧な美しさに強い魔力。
それとはアンバランスな情緒の不安定とちょっと抜けている性格。
そんなところがかわいいと思えてしまう。
「レナードに憧れていたんだ。
優しくて誠実で皆に信頼され慕われている。そんな人に僕もなりたかった。」
「俺はそんな立派な者じゃない。
ジュリアスだって慕われているじゃないか。」
「違う。
魔族の人達は慕っているんじゃない。従っているだけだ。
人間だって皇子でいい人のふりをしていた僕が好きだっただけだ。
こっちでマーカスと悪巧みをして喜んでいるのが本当の自分なんだ。
レナードはこんな僕を見てがっかりしているんじゃないかって…。」
「そんな事は無い。
俺はジュリアスに振り回されるのが嬉しいんだ。
俺はつまらない普通の人間だ。
なのに、更に普通でいようと努力する馬鹿だった。
お前に出会ってから世界が変わったんだ。
灰色だった世の中が極彩色になったように。
お前がいる景色はいつもキラキラしている。
だから好きに生きてくれ。ここならそう出来るだろう?
俺はずっとお前を見ていたい。
ジュリアス。
俺と家族にならないか?」
「それって…。」
「結婚しよう。」
「あっ、え?」
「ごめん、いきなり。指輪も何の演出も無しにこんな事言って。
返事は急がなくていい。
お互いの立場もこれまで通りだ。
もちろんマーカスや他の者との関係もこれまで通りでいい。
血や体液を与える時に性的興奮が高まる事は俺もわかっている。
ただ、俺の気持ちを知っていてほしい。
誰より近くにいるのが俺でありたいと思っているんだ。」
「はいっ!」
「ん?」
「だからっ、返事だよ!」
「いいのか?」
「いいに決まってる。」
「本当に?」
「うん。」
「…抱いていいか?」
「ダメだよ、もうすぐ晩御飯の時間だよ。」
「ちょっとだけ。」
「ちょっとじゃ僕が我慢できなくなる。」
「ジュリアス…。」
長い長いキスをした。
何度も繰り返し。
ずっと抱きしめていたい。
千年じゃ足りないくらいに。
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