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僕が連れてこられてすぐにアナスタシアが来てくれた。
レナードとマーカスはアドルゲードに下ろして来たらしい。彼らは瘴気に耐えられないだろうからと。
アナスタシアがいれば僕は帰る事が出来るだろう。
だけど魔王やゲオルクの話を聞いたら帰れなくなってしまった。
悩みながら数日が過ぎた。
魔界の住人はさほどおらず、小さな町らしきものはあるが、上位の魔族はそれぞれが森の中に邸を構え好きなように生きている。
上空から見ると確かに邸らしきものが点在していた。
魔王は相変わらず寝ている。
千年を過ぎた頃から力を無くし、普通の人のように老化が始まるのだそうだ。
まだ見た目は30代くらいに見える。
「…何の真似だ?」
「ちょっと人恋しかったので。」
ベッドに入り込み添い寝してみた。
寝てるふりしているだけなんじゃない?すぐに目を覚ましてしまった。
「普通の人が瘴気の壁を越えるにはどうしたらいい?」
「瘴気だけではなく、魔の森には道が無い。
魔物もいるから普通の者には無理だ。
瘴気はお前の眷族となれば耐える事はできるが。」
「どうやったら眷族になるの?」
「血を与えるのだ。体液でもいいらしい。
お前、妃はいるのか?」
「いないけど…。」
「なんだ?」
「体液なら与えたかも。」
「その娘はすでにお前の眷族という事だ。
だが、一度くらいならばさほど影響はない。
何度も契りを繰り返せば魔力や身体能力が上がるらしいぞ。
その娘を呼びたいのか?」
「娘じゃないよ。」
「…そうか。
その者に責任がもてるならば連れてくるがいい。お前が愛している限りはお前と同じ時を生きていられるはずだ。」
「魔王様は連れて来なかったの?」
「…連れてきたが、帰した。
ここにはドレスや宝石はあってもパーティーや友達はいないからな。
口にはしなかったが、さみしい思いをさせているのがわかったから。」
そうか、やっぱりこんな何も無い所にいるのはさみしいよね。僕だってさみしい。
さみしいけど責任が持てるかなんて聞かれたら持てない。
ゲオルクにお別れだけ言いに行ってもいいか聞いてみた。
「よろしいですが、必ず戻って来て下さい。」
了解した。
魔王様が話してくれたけど、千年前に瘴気が溢れた時は、ヴァンパイアをはじめとした魔族が人を襲って大変な事になっていたそうだ。
ゲオルクも理性を失うのは死ぬより怖いと言っていた。
ちゃんと帰ってくるつもりだ。
レナードとマーカスはアドルゲードに下ろして来たらしい。彼らは瘴気に耐えられないだろうからと。
アナスタシアがいれば僕は帰る事が出来るだろう。
だけど魔王やゲオルクの話を聞いたら帰れなくなってしまった。
悩みながら数日が過ぎた。
魔界の住人はさほどおらず、小さな町らしきものはあるが、上位の魔族はそれぞれが森の中に邸を構え好きなように生きている。
上空から見ると確かに邸らしきものが点在していた。
魔王は相変わらず寝ている。
千年を過ぎた頃から力を無くし、普通の人のように老化が始まるのだそうだ。
まだ見た目は30代くらいに見える。
「…何の真似だ?」
「ちょっと人恋しかったので。」
ベッドに入り込み添い寝してみた。
寝てるふりしているだけなんじゃない?すぐに目を覚ましてしまった。
「普通の人が瘴気の壁を越えるにはどうしたらいい?」
「瘴気だけではなく、魔の森には道が無い。
魔物もいるから普通の者には無理だ。
瘴気はお前の眷族となれば耐える事はできるが。」
「どうやったら眷族になるの?」
「血を与えるのだ。体液でもいいらしい。
お前、妃はいるのか?」
「いないけど…。」
「なんだ?」
「体液なら与えたかも。」
「その娘はすでにお前の眷族という事だ。
だが、一度くらいならばさほど影響はない。
何度も契りを繰り返せば魔力や身体能力が上がるらしいぞ。
その娘を呼びたいのか?」
「娘じゃないよ。」
「…そうか。
その者に責任がもてるならば連れてくるがいい。お前が愛している限りはお前と同じ時を生きていられるはずだ。」
「魔王様は連れて来なかったの?」
「…連れてきたが、帰した。
ここにはドレスや宝石はあってもパーティーや友達はいないからな。
口にはしなかったが、さみしい思いをさせているのがわかったから。」
そうか、やっぱりこんな何も無い所にいるのはさみしいよね。僕だってさみしい。
さみしいけど責任が持てるかなんて聞かれたら持てない。
ゲオルクにお別れだけ言いに行ってもいいか聞いてみた。
「よろしいですが、必ず戻って来て下さい。」
了解した。
魔王様が話してくれたけど、千年前に瘴気が溢れた時は、ヴァンパイアをはじめとした魔族が人を襲って大変な事になっていたそうだ。
ゲオルクも理性を失うのは死ぬより怖いと言っていた。
ちゃんと帰ってくるつもりだ。
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