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第148話・悪魔の国との戦争15

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ゼロは虹の青のテントを出て、ぼんやりと王国軍を眺める。
第1戦場の王国軍は、規律がとれている気がするな。さすが頭脳派。

俺自身、裏世界で人形に鍛えてもらって、さらに成長したから是非この力を試したい。どれぐらい強くなったかな?ヘイストを掛けなおして、王国軍を突っ切っていく。

最前線が見えてきた、悪魔軍と王国軍がやりあっている。みたところ、強そうなやつは最前線にはいなそうだな。
走りながらゼロは、どうやって悪魔軍を屈服させようかな~と考えていた。第2戦場の時は悪魔軍半分をブラストカノンで吹っ飛ばす作戦をとった訳だけど、今回もそんな感じでいいかな?朝起きてからブラストカノンも準備し続けているので、補充は万全!
とはいえ、ここの大将は頭脳派っぽいし、ブラストカノンを放ったら死んじゃう可能性もあるよな。接近戦しかないよな。

「爆風の剣」

「なんだ!?ぎゃあ!!」

「あ!?ぐぎゃあ!!」

ゼロは爆風の剣を握ると、瞬間移動しているかのように悪魔軍を斬りながら突っ切っていく。とりあえず悪魔軍大将のところまで行くしかないよなと考えながら斬り続ける。
すると目の前にでかい悪魔が立ちふさがる。

「なかなか威勢がいいじゃないか!」

「えーっと悪魔軍の大将ではないですよね?」

「俺は、悪魔軍中将のゲキだ」

目の前に腕が4本で刀を持った怖そうな顔をした大男が出てきた、この悪魔軍の中では強いほうなのか?

「お?初日にきた小僧とは違うやつか、お前は魔法使いだな。
俺はあいつと戦ってみたかったんだけどな!」

それは飛燕のことだろう、剣士同士やり合ってみたい的なやつか。うーん、ゲキを見ても強そうに見えないのだが何故だろうか?俺は人形に鍛えられて自信がついたのかな?悪魔軍中将が雑魚にしか見えない。それでも、悪魔軍の中で強いなら仲間にしておきたいな~、頭数は必要だし。

「おいおい、俺と向き合って考えごとしているやつは初めてだぜ!名前は!」

「冒険者のゼロです」

「ゼロだな、よし一騎打ちだ!」

「ゲキさん、こうしましょう。
俺はゲキさんを殺したくありません。この爆風の剣で斬ったり、魔法で攻撃したらゲキさんは死んでしまいます」

「おぉ~、言うじゃあねえか」

「なので、俺の爆風の杖がゲキさんのお腹に当てたら勝ちという事ではどうでしょうか?」

ゲキは面白い奴だなと思った。初めに俺の心配をし、それもゼロはあの剣で簡単に俺を斬れると。さらには魔法でも簡単に殺せると。悪魔軍中将の俺をだ。
他の悪魔から聞いたが、初日にきた冒険者と相棒の強さは互角で、冒険者が最終奥義的なものを使ったら相棒が倒れたって事だったからな。だが、こいつは最初から俺を下にみてやがる。ここでなに下にみてんだ!ってキレるやつも多いだろうが、俺の腹に杖を当てることができるなんて芸当ができるなら見てみたいものだ。

「面白い、やってみせろ。俺の腕4本を掻い潜れるならな!」

「この勝負で俺が勝った場合なんですが、悪魔軍が王国軍の捕虜になったら王国軍の仲間になると誓ってもらえますか?今すぐ王国軍の仲間になるのはまずいと思うので」

現在、ゼロは第1戦場悪魔軍の最奥を目指して突っ切っている状況。
見渡す限り悪魔しかいない、この状況下で悪魔軍中将といえど王国軍になったら袋叩きにされること間違いなしだ。

「その提案も面白いな、分かった。その代わり、王国軍の捕虜にならない場合は仲間にはならないからな」

「それで問題ありません」

「じゃあはじめるか!」

ゲキは4本の腕に刀を持った状態で仁王立ちする。確かに、普通の悪魔よりは圧倒的に強いのは分かる。が、俺の敵にならないと思えてしょうがない。どこからこんな自信が・・・遊ぶまでもない相手だ。

「いきます」

ゼロは瞬間的にゲキの目の前へ行き爆風の杖をゲキの腹に当てる。

・・・

「こりゃすげぇ!!!お前、本物だな!
俺の負けだ、後はがんばって悪魔軍を捕虜にしてこい!」

「ありがとうございます」

悪魔っていう種族だが、リリィにしても悪いやつは少ないように感じるな。
ゲームプレイヤーのキャラクター選びにでてくる種族的な立ち位置で、本物の悪魔の所業を行うとかそういうものではないのか?
ゲキは気さくそうでいいやつっぽいので、是非王国軍と仲良くしてほしい。
一騎打ちが終わると、悪魔軍全員が俺を殺そうと突っ込んでくるので、それを斬りながら奥へ進む。その後、悪そうな悪魔軍中将が出てきたら問答無用で斬った。仲間にしてもまずそうなやつは処分だ。

やっと悪魔軍大将のテントが見える位置まできたが、悪魔軍が多すぎる。このままでは話しができん。こういう時は力で黙らせるに限るな。

「ディレイスペル解放!ブラストカノン!」

大きな魔法陣が展開し、そこから黒い極太のエネルギー派が放たれる。
ブラストカノン線上にいる悪魔達はもれなく全て消え去る。これにより、悪魔達は俺にビビるようになった。今回消えた悪魔達は必要な犠牲だったのだとゼロは正当化する。

「ふぅ、一仕事したぜ。後は、悪の親玉さんのお顔を拝借しましょうか」

一番豪華なテントに悪魔軍大将がいるのは間違いないんだろうけど、どういう顔をしているんかなと気ままに歩いて行く。群がっていた悪魔達は怯えて道を開ける。
テントから見覚えのある顔が出てくる。

「ん?
・・・あの時の人形やん!!!!」

テントから出てきたのは、裏世界で無理やり鍛えられた人型で刀を持った人形だった。
あれは絶対にあの人形だ!

「お初にお目にかかります。七大悪魔のマモンと申します。
よくぞここまでお一人の力できたものです。虹と装飾ないのではないでしょうか?」

裏世界の人形じゃなくね?
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