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最終章

第308話 パーティメンバー 其の二

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「コルネくーん、手紙だってさ。帰ったとき、ちょうど玄関前にいたから受け取ってきたんだ」

 帰ってきた師匠がそう言って俺に封筒を手渡す。裏に書いてある差出人はエミル──エミル? こないだオランド家の騎士団に入れたって連絡が来たばかりなのに、また手紙が来るとは何かあったんだろうか。

 不思議に思いながら中の手紙を読むと、内容はヴィレアの冒険者ギルドから腕の立つ冒険者を紹介してほしいというものだった。

 驚いたのはそこに至った経緯で、なんとジャンとエミルがパーティを組んで他のメンバーを探しているらしい。

 領主様から頼まれてエミルは抜けられないのに俺たちが抜けていって、そこでもストレスが溜まったと思うし、最後までジャンに付き合っていたのもエミルとマリーだ。どう考えても一番の被害者はエミルだろう。

 それなのに、エミルがジャンに協力するとは意外だった。手紙の内容からどこかからの圧力で書かされたものとは考えにくいし、手紙にはジャンは人が変わったようだと書いてあったから、それが関係しているのかもしれない。

 他でもないエミルの頼み──俺としては応えたいのは山々なのだが……

「難しいと思うなぁ……」

 ヴィレアの冒険者ギルドは討伐クエストの割合が高く、冒険者も討伐クエスト以外のクエストを受けることはあまりない。魔法使い二人が抜けるということは討伐クエストには行けなくなるから、実質的にパーティ全員が駆りだされるのと同じだ。

 そうなると支払う額もおそらくエミルの想像する二倍くらいにはなるし、エミルたちがどこのギルドに行くのかは知らないが、冒険者たちはわざわざ他のギルドに行くのをめんどくさがるだろう。

 俺が魔法使いとして入れればとりあえず一枠は埋まるんだけど……いや、どうせ威力の出る魔法は使えないから無理だな。そういえばそれでジャンにパーティを出て行けって言われたんだったっけ。

 魔法使い二人か……騎士団で忙しいエミルに代わって俺がギルドを回って探すというのもできなくはないが、そう都合よくあぶれた冒険者はいないだろう。どうしたものか……

「何か悩ましい手紙だったのかい?」

 手紙を持ったまま悩んでいると、荷物を置いてきたであろう師匠が出てくる。

事情を説明すると、師匠も一緒になって考えだす。

「俺が魔法使いとして入れたらよかったんですけどね」
「さすがにBランクの本職の魔法使いと比べるとやっぱりねぇ…………あ、そういえばエミルくんはコルネくん以外の元パーティメンバーとは会ってないんだよね?」

 考えていた師匠がいきなり質問を投げかけてくる。

「会ってないって言ってましたね……師匠、まさか──」
「そのまさかだよ。たしかアクスウィルはちょうど長期休暇だったはずだし、レネさんに話せば里帰りのついでの実践ってことで許可は下りるんじゃないかな」

 現役冒険者ではないが、エミルもジャンもよく知っている魔法使いがいたではないか。
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