300 / 328
最終章
第291話 トレトのダンジョン探索 其の四
しおりを挟む 休憩を終え、いよいよ本来の目的である探索にとりかかる。
「そういえばレオンさんとサラさんは以前来たときはどこまで潜ったんですか?」
前を歩く師匠たちが突っ込んできたモンスターをサクッと倒してから喋っている。二人がダンジョンのどこまで来たことがあるのかは俺も気になっていたところだ。俺もマップを書きこみながら聞き耳を立てる。
「たしか二階層じゃったかのう。二階層への階段はわりかし入り口から近いから、そこまでは迷わず帰れそうだったんじゃが、下りて少し探検したらすごい入り組み方だったもんだから迷わないうちに引き返した気がするぞ」
「私もギリギリ二階層までは来たことがあるけど、すぐに引き返したねぇ。私の場合は迷う迷わないじゃなくて体力も物資もギリギリだったから戻らざるを得なかったわけだけど」
なるほど、二人とも二階層までしか来たことがなかったようだ。もしかするとその下まで行ったことがあるかと思ったのだが……長くSランク冒険者をやっている二人でも二階層止まりということは、ここより下の階層に行ったパーティはもしかしたらいないんじゃなかろうか。
「ここも行き止まりかぁ」
「ということは右の道が正解じゃったかのう」
そう言いながら俺がマップに書き込むのを三人で待っていてくれる。待たせている感じがして申し訳なさがあるが、手を動かしている間に襲われると対応が遅れてしまうから誰かに守ってもらっている方が書き込むのに集中できる。
「書き終わりました、行きましょう」
ぺちゃくちゃと喋りながら進んでは分かれ道まで戻ってを繰り返していったが、三階層へ下りる階段はなかなか見つからない。
「なかなか見つからないねぇ」
「そうですね──コルネくん、マップは今どんな感じ?」
師匠が手に持っているマップを覗き込んでくる。マップの書き込みはかなり増えて、紙からはみ出しそうになっているほどだ。
「今日の分だけでもかなり探索はしてますね。ぐねぐねとうねりながらも進んではいるので、このまま進めばいつかは……って感じですかね」
「そうだよね、進むしかないよね。マップのこの部分が空いてるからこっちの方向に行ったら階段がある可能性が高い……のかな?」
師匠がマップの左上の何も書かれていない部分を指差す。たしかにそこには行き止まりの他の通路もなく、ぽっかりと空いている。
「そうですね──ダンジョン全体が変に尖った形をしていないと仮定するのなら、まだ何も見つかってないそのあたりに階段がある可能性は高いと思います」
「だよね! 今までは順番にまだ通ってない道を潰していってたけど、これからは積極的にそっちに伸びる道に入ってみよう」
最初のような元気はなくなりかけていた師匠は途端に元気を取り戻し、また歩きだす。それを見て少しくたびれてきていたレオンさんやサラさんも歩きだすのだった。
「そういえばレオンさんとサラさんは以前来たときはどこまで潜ったんですか?」
前を歩く師匠たちが突っ込んできたモンスターをサクッと倒してから喋っている。二人がダンジョンのどこまで来たことがあるのかは俺も気になっていたところだ。俺もマップを書きこみながら聞き耳を立てる。
「たしか二階層じゃったかのう。二階層への階段はわりかし入り口から近いから、そこまでは迷わず帰れそうだったんじゃが、下りて少し探検したらすごい入り組み方だったもんだから迷わないうちに引き返した気がするぞ」
「私もギリギリ二階層までは来たことがあるけど、すぐに引き返したねぇ。私の場合は迷う迷わないじゃなくて体力も物資もギリギリだったから戻らざるを得なかったわけだけど」
なるほど、二人とも二階層までしか来たことがなかったようだ。もしかするとその下まで行ったことがあるかと思ったのだが……長くSランク冒険者をやっている二人でも二階層止まりということは、ここより下の階層に行ったパーティはもしかしたらいないんじゃなかろうか。
「ここも行き止まりかぁ」
「ということは右の道が正解じゃったかのう」
そう言いながら俺がマップに書き込むのを三人で待っていてくれる。待たせている感じがして申し訳なさがあるが、手を動かしている間に襲われると対応が遅れてしまうから誰かに守ってもらっている方が書き込むのに集中できる。
「書き終わりました、行きましょう」
ぺちゃくちゃと喋りながら進んでは分かれ道まで戻ってを繰り返していったが、三階層へ下りる階段はなかなか見つからない。
「なかなか見つからないねぇ」
「そうですね──コルネくん、マップは今どんな感じ?」
師匠が手に持っているマップを覗き込んでくる。マップの書き込みはかなり増えて、紙からはみ出しそうになっているほどだ。
「今日の分だけでもかなり探索はしてますね。ぐねぐねとうねりながらも進んではいるので、このまま進めばいつかは……って感じですかね」
「そうだよね、進むしかないよね。マップのこの部分が空いてるからこっちの方向に行ったら階段がある可能性が高い……のかな?」
師匠がマップの左上の何も書かれていない部分を指差す。たしかにそこには行き止まりの他の通路もなく、ぽっかりと空いている。
「そうですね──ダンジョン全体が変に尖った形をしていないと仮定するのなら、まだ何も見つかってないそのあたりに階段がある可能性は高いと思います」
「だよね! 今までは順番にまだ通ってない道を潰していってたけど、これからは積極的にそっちに伸びる道に入ってみよう」
最初のような元気はなくなりかけていた師匠は途端に元気を取り戻し、また歩きだす。それを見て少しくたびれてきていたレオンさんやサラさんも歩きだすのだった。
0
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました
遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。
追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。
やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

【完結】投げる男〜異世界転移して石を投げ続けたら最強になってた話〜
心太
ファンタジー
【何故、石を投げてたら賢さと魅力も上がるんだ?!】
(大分前に書いたモノ。どこかのサイトの、何かのコンテストで最終選考まで残ったが、その後、日の目を見る事のなかった話)
雷に打たれた俺は異世界に転移した。
目の前に現れたステータスウインドウ。そこは古風なRPGの世界。その辺に転がっていた石を投げてモンスターを倒すと経験値とお金が貰えました。こんな楽しい世界はない。モンスターを倒しまくってレベル上げ&お金持ち目指します。
──あれ? 自分のステータスが見えるのは俺だけ?
──ステータスの魅力が上がり過ぎて、神話級のイケメンになってます。
細かい事は気にしない、勇者や魔王にも興味なし。自分の育成ゲームを楽しみます。
俺は今日も伝説の武器、石を投げる!

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる