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第十一章 サラの魔法道場編
第257話 アドレアとの再会 其の三(アドレア視点)
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コルネからいきなりサラさんとの修行について訊かれて戸惑ってしまった。
サラさんにはゲヘナのことは口止めされているから、コルネにも言うことはできない。サラさん曰く、「大切な人ほど情報が漏れたときに疑わないといけないから言ってはだめさね」だそうだ。
咄嗟に適当な理由を付けて返しはしたが、正直ボクの返しは不自然ではなかったか自信はない。
それでもコルネがそれ以上追求してこないということはコルネが察してくれたか、ボクの返しに納得したかのどちらかなんだろう。コルネは何か考えこんでいるようなのできっと前者かな。
魔法使いは手の内を明かさないのが基本だ。コルネもその辺は分かってるのだろうと思っていると、何か思いついたようにハッと頭を上げる。
そして警戒するように周りをキョロキョロと見回し、私に周りに人がいないことを確認してくる。
「コルネ、いきなりどうしたの……?」
「ちょっとこっちに来て」
急に声を潜めだすコルネ。これは……そういうことなんだろうか。友だちに聞いたことがある──みんなが帰った放課後の教室で告白されただとか、そういうのがロマンチックだとか。
「ま、待って……まだ心の準備が。学校でたしかにこういうのが流行ってるって聞いたことあるけど、いきなり来るとは思わないじゃん」
「魔法学校だと流行ってる……のか? まあ、大きい学校だとその辺も融通が利くのかもな。アドレア、今からびっくりすると思うけど大きい声は出さないで。他の人が来るとまずいから」
融通──はよく意味が分からなかったけど、他の人が来るとまずいってことは、きっとあれだ──告白、いやそれ以上かもしれない。
そう思って待っているとコルネが持っていた鞄を開けて何かを取り出そうとしている。なるほど、そういえば告白のときにプレゼントをもらったことがあるというのも聞いたことがある。
何が出てくるのだろうと待っていると、コルネが鞄から小さな袋を取り出す。そして袋の中身を丁寧に取り出すと────コルネの手には深くて、それでいて鮮やかな赤色の魔力結晶が乗っていた。
「ま、ま──」
プレゼントでこんなものが飛び出してくるとはまさか思わなかったので、驚きのあまり声が出てしまう。コルネが人差し指を立てて「シーッ」と言ったところでボクはハッとして自分の口を塞ぐ。そうでもしないと声が出てしまいそうだったから。
「トレトのダンジョンに行ったときに採ったんだ。手紙にここに通ってるって書いてあったから、もしかしたらアドレアに会えるかもと思って持ってきて正解だったよ。この魔力結晶は炎系統が得意なアドレアにぴったりだと思うんだ」
「え──い、いいの? こんなのいくらお金出しても買えないよ。それにコルネだって魔法使うでしょ?」
コルネもたしか得意な系統は炎だったはず。魔法剣だって魔法を使うんだからきっと魔力結晶はあった方がいい。
「俺のは別にとってあるし、この剣だって魔力結晶が使われてるんだ。二回ダンジョンに行ってるからそれなりに余裕はある。だからもらってよ、アドレア」
「──! じゃ、じゃあ遠慮なく──」
差し出されたコルネの手から燃えるように輝く魔力結晶を受け取る。
「あっ、お金! お金はいくら払えば──」
「お金はいいよ。その代わりに、ローランやアクスウィルのみんなによろしく言っておいて」
「わ、分かった」
コルネがくれた魔力結晶──これを使って絶対に<ゲヘナ>を習得してみせる、ボクは胸の中で固く誓った。
サラさんにはゲヘナのことは口止めされているから、コルネにも言うことはできない。サラさん曰く、「大切な人ほど情報が漏れたときに疑わないといけないから言ってはだめさね」だそうだ。
咄嗟に適当な理由を付けて返しはしたが、正直ボクの返しは不自然ではなかったか自信はない。
それでもコルネがそれ以上追求してこないということはコルネが察してくれたか、ボクの返しに納得したかのどちらかなんだろう。コルネは何か考えこんでいるようなのできっと前者かな。
魔法使いは手の内を明かさないのが基本だ。コルネもその辺は分かってるのだろうと思っていると、何か思いついたようにハッと頭を上げる。
そして警戒するように周りをキョロキョロと見回し、私に周りに人がいないことを確認してくる。
「コルネ、いきなりどうしたの……?」
「ちょっとこっちに来て」
急に声を潜めだすコルネ。これは……そういうことなんだろうか。友だちに聞いたことがある──みんなが帰った放課後の教室で告白されただとか、そういうのがロマンチックだとか。
「ま、待って……まだ心の準備が。学校でたしかにこういうのが流行ってるって聞いたことあるけど、いきなり来るとは思わないじゃん」
「魔法学校だと流行ってる……のか? まあ、大きい学校だとその辺も融通が利くのかもな。アドレア、今からびっくりすると思うけど大きい声は出さないで。他の人が来るとまずいから」
融通──はよく意味が分からなかったけど、他の人が来るとまずいってことは、きっとあれだ──告白、いやそれ以上かもしれない。
そう思って待っているとコルネが持っていた鞄を開けて何かを取り出そうとしている。なるほど、そういえば告白のときにプレゼントをもらったことがあるというのも聞いたことがある。
何が出てくるのだろうと待っていると、コルネが鞄から小さな袋を取り出す。そして袋の中身を丁寧に取り出すと────コルネの手には深くて、それでいて鮮やかな赤色の魔力結晶が乗っていた。
「ま、ま──」
プレゼントでこんなものが飛び出してくるとはまさか思わなかったので、驚きのあまり声が出てしまう。コルネが人差し指を立てて「シーッ」と言ったところでボクはハッとして自分の口を塞ぐ。そうでもしないと声が出てしまいそうだったから。
「トレトのダンジョンに行ったときに採ったんだ。手紙にここに通ってるって書いてあったから、もしかしたらアドレアに会えるかもと思って持ってきて正解だったよ。この魔力結晶は炎系統が得意なアドレアにぴったりだと思うんだ」
「え──い、いいの? こんなのいくらお金出しても買えないよ。それにコルネだって魔法使うでしょ?」
コルネもたしか得意な系統は炎だったはず。魔法剣だって魔法を使うんだからきっと魔力結晶はあった方がいい。
「俺のは別にとってあるし、この剣だって魔力結晶が使われてるんだ。二回ダンジョンに行ってるからそれなりに余裕はある。だからもらってよ、アドレア」
「──! じゃ、じゃあ遠慮なく──」
差し出されたコルネの手から燃えるように輝く魔力結晶を受け取る。
「あっ、お金! お金はいくら払えば──」
「お金はいいよ。その代わりに、ローランやアクスウィルのみんなによろしく言っておいて」
「わ、分かった」
コルネがくれた魔力結晶──これを使って絶対に<ゲヘナ>を習得してみせる、ボクは胸の中で固く誓った。
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