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第十章 Aランク昇格編

第217話 Aランク昇格への挑戦 其の七

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 五十三日目。

 二回目のラムハ滞在も同じようにゆるりと二日を過ごし、また討伐クエストの旅に戻ったのだが、今回は次の街アズリダまで戻るのに三日かかってしまった。

 行きもギリギリだったから、さらに遠いアズリダまで三日かかりそうな気はしていた。一日多く使ってしまったが、ラムハに行く前に進めておいた分で二日に一体のペースは割っていない。

 三日間走りつづけて疲れているし、日が傾きかけていて今からクエストを受けに行くには時間も少し遅い。今日は少し街を散策してからゆっくりと休もう。

 すぐに宿を取り、街をぶらぶらと歩いてみる。街というわりには人が少なめだが、それがまたのどかな雰囲気を作っている。

 アズリダはレンド王国の中で最北端に位置する街だ。

ラムハやミャクー村は季節によって温度の上下はあるものの、一年を通じて温暖な気候と言えるのに対し、ここアズリダは冬がとても寒いことで有名だ。

 なんでも冬は雪の降る日がかなりあるんだとか。ラムハなどの南の地方では雪が降るのは年に数えるほどしかないので、そのたびに子どもたちは大はしゃぎだが、ここではそんなの慣れっこで子どもたちも喜ぶということは特にないんだろうか。

 そんな寒い気候のアズリダは作物を育てるのに向いておらず、昔から牧畜が盛んだ。モンスターを家畜として育て、その乳や肉を加工して糧とする。

 乳自体は腐ってしまうので出回らないが、アズリダの肉やチーズは王国中に知れ渡るブランドとなっており、市場に高い値段で出回っている。

 ここまで来たからには他では飲めない乳──ミルクやアズリダのお肉を使った料理を堪能しなくては。そのために今までもらったBランクのクエスト報酬だって、身軽になるために道場にある程度置いてきたが、ここで好きなものを食べられるくらいには持っている。

 どうせ今日は何もしないと決めているのだ。目いっぱい楽しもう。



 六十三日目。

 今日は討伐に復帰してから十日目──師匠たちに手紙を書く日だ。あれから新たに倒した数は八体。残すところはわずか六体となった。

 あと六日後にはラムハに帰る予定だが、このままいけば帰る前に最後のトレトでのクエストを受けられるところまでいけるかもしれない。

 しかし師匠とトレトのダンジョンに行く約束をした手前、一人でクエストをさっさと片付けてからラムハに帰るのはさすがによくないだろう。俺がラムハに帰ってきて「もうクエストは全部終わった」と告げられたら喜んではくれるだろうが、きっと拍子抜けしてしまう。

 たとえクエストを全部終わらせたとしても、もう申請書類を書いているだろうから、あとでダンジョンのためだけにトレトに行くことになるだろうが──まあ、あと六日でトレトまで行けるかどうかも分からないから、今こんなことを考えることもないか。
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