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第九章 ルミーヴィアへの旅編
第187話 マリーとの別れ
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宿屋に着いた後も、レネさんとの話は止まらなかった。といっても、主に話していたのは師匠だったが。
そして翌朝、俺たちはルミーヴィアを発つ。レネさんはもう少しゆっくりしていってもと言ってくれたが、師匠の申請した日付までに間に合わせるには今日出発しないといけない。
「じゃあね──コルネ、アルノさん。私、こっちでしっかりやるから。ロンド様もここまで一緒にきてくださってありがとうございました」
町の入り口まで見送りにやってきて、そう言ってぺこりと頭を下げるマリーは寂しげだ。
「マリー、俺も頑張るよ。次に会うまでにもっと強くなって驚かせるからさ」
「私だってもっと回復魔法上手くなって、コルネに負けないくらいの超速ダッシュきめてやるんだから」
先ほどまでの仄暗い雰囲気を振り払ってはにかむマリーを見て、少しだけ安心した。
兄さんとも少し話していたが、これ以上何を話せばいいのか分からなくなったのだろう、短い沈黙が訪れる。
「いこっか」
優しい声音で師匠が促す。俺たちは頷き、ゆっくりと歩きだす。このままいると、寂しいと口から出てしまいそうで怖かった。
「じゃ、また」
後ろから追いかけるマリーの声に振り返り、笑って小さく「じゃ」と応える。マリーがさっきよりも小さくなっていた。
マリーが微笑むのを見てから向き直ると、もう振り返ることはなかった。
ルミーヴィアを出て、俺たちは坂を無言で下っていく。兄さんもマリーとの別れには思うところがあるだろうし、師匠は俺たちを気遣っているのだろう。
三人で歩いていくうちに、本当にマリーとお別れなんだということがじわじわと俺を蝕んできて、胸が涼しくなってしまった気がした。
ずいぶん前から分かっていたはずなのに……いや、だからかもしれない。ミャクーを離れるつもりだと俺に告げた後もマリーは何も変わらなかった。
だから勝手に、マリーはミャクーにいてひとっ走りすれば会いに行ける──そんな変わらない日常を期待していたのだ。
昔の仲間に会えても、結局みんなそれぞれの道を進んでいく。分かれた枝のようにもうそれらの道は交わることはないのかもしれない。
(……それでも)
それでも進んでいかなきゃいけない。再会したときにしっかりと胸を張れるように。
そして翌朝、俺たちはルミーヴィアを発つ。レネさんはもう少しゆっくりしていってもと言ってくれたが、師匠の申請した日付までに間に合わせるには今日出発しないといけない。
「じゃあね──コルネ、アルノさん。私、こっちでしっかりやるから。ロンド様もここまで一緒にきてくださってありがとうございました」
町の入り口まで見送りにやってきて、そう言ってぺこりと頭を下げるマリーは寂しげだ。
「マリー、俺も頑張るよ。次に会うまでにもっと強くなって驚かせるからさ」
「私だってもっと回復魔法上手くなって、コルネに負けないくらいの超速ダッシュきめてやるんだから」
先ほどまでの仄暗い雰囲気を振り払ってはにかむマリーを見て、少しだけ安心した。
兄さんとも少し話していたが、これ以上何を話せばいいのか分からなくなったのだろう、短い沈黙が訪れる。
「いこっか」
優しい声音で師匠が促す。俺たちは頷き、ゆっくりと歩きだす。このままいると、寂しいと口から出てしまいそうで怖かった。
「じゃ、また」
後ろから追いかけるマリーの声に振り返り、笑って小さく「じゃ」と応える。マリーがさっきよりも小さくなっていた。
マリーが微笑むのを見てから向き直ると、もう振り返ることはなかった。
ルミーヴィアを出て、俺たちは坂を無言で下っていく。兄さんもマリーとの別れには思うところがあるだろうし、師匠は俺たちを気遣っているのだろう。
三人で歩いていくうちに、本当にマリーとお別れなんだということがじわじわと俺を蝕んできて、胸が涼しくなってしまった気がした。
ずいぶん前から分かっていたはずなのに……いや、だからかもしれない。ミャクーを離れるつもりだと俺に告げた後もマリーは何も変わらなかった。
だから勝手に、マリーはミャクーにいてひとっ走りすれば会いに行ける──そんな変わらない日常を期待していたのだ。
昔の仲間に会えても、結局みんなそれぞれの道を進んでいく。分かれた枝のようにもうそれらの道は交わることはないのかもしれない。
(……それでも)
それでも進んでいかなきゃいけない。再会したときにしっかりと胸を張れるように。
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