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第八章 新しいメニューと緊急クエスト編
第157話 緊急クエスト 其の五
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山に入ってからかなりの時間が経ち、オーガ探しは難航していた。
「山の麓から外に逃がさないようにジグザグに探していって……これで地図に載ってるところは全部探し終えましたかねぇ……」
地図とにらめっこをしながら俺はロンド様に伝える。
ギルドで冒険者用に配っている地図は、山の麓から中腹までについてしか書かれていない。理由としては、奥に行くほど勾配が急になっていくことで地図が作りにくくなるというのもあるが、単純にそこまで奥に入る必要がないのだ。
ある程度まで行けば、必要な薬草も取れるし、モンスターも生息している。それなのに人の立ち入らない草木が鬱蒼と繁るエリアにわざわざ入るなど、ただ面倒なだけだ。
「ここからは地図のない山奥に入るしかないということか……煙が上がっていないから僕たちが見落としていてオーガが山を下ったということもなさそうだし」
出立前に、オーガが山から下りてきたときは煙を上げて知らせるという取り決めをした。ときどき木に登ってはロンド様が確認しているが、煙はまだ見えていないらしい。
「今からは地図のない場所に入ることになりますが、大丈夫ですか? ここからは俺も案内できなくなります」
「ああ、大丈夫だよ。今まで通りに少しずつ麓に近い方から少しずつ潰していけば、きっと見つかるはずだから。帰りはとりあえず方角さえ合わせて歩いていれば、見覚えのある場所に出るだろうから、そこからは案内よろしくね」
こんな状況なのに、ロンド様はすごくいい笑顔で告げる。これがSランク冒険者の余裕というものか……俺なんかオーガを見つけないと大変なことになるという責任感と見つかったら見つかったで死ぬかもしれないという恐怖で胃が痛くてしょうがないのに。
低木を切り払いながら、ゆっくりではあるが山の奥へと進んでいく。ロンド様はきっと見つかると言っていたが、そんなに上手くいくだろうか。
いやしかし、目撃情報は地図のある範囲で出ているから、そんなに奥には行ってないと考えるのが自然──か。
前でロンド様が邪魔な蔓を払っているのを見ながら考えていると、ロンド様が急に立ち止まる。何かあったのかと訊こうとする前に、ロンド様が俺を手で制し、声を潜めて言う。
「静かに」
ロンド様に続いてそっと屈んでから、これはもしやと思い、ロンド様の背中から顔を出し前方を確認する。
すると、遠くからでもはっきりと分かる巨躯がずしんずしんと揺れているのが木々の隙間から見える──オーガだ。
「山の麓から外に逃がさないようにジグザグに探していって……これで地図に載ってるところは全部探し終えましたかねぇ……」
地図とにらめっこをしながら俺はロンド様に伝える。
ギルドで冒険者用に配っている地図は、山の麓から中腹までについてしか書かれていない。理由としては、奥に行くほど勾配が急になっていくことで地図が作りにくくなるというのもあるが、単純にそこまで奥に入る必要がないのだ。
ある程度まで行けば、必要な薬草も取れるし、モンスターも生息している。それなのに人の立ち入らない草木が鬱蒼と繁るエリアにわざわざ入るなど、ただ面倒なだけだ。
「ここからは地図のない山奥に入るしかないということか……煙が上がっていないから僕たちが見落としていてオーガが山を下ったということもなさそうだし」
出立前に、オーガが山から下りてきたときは煙を上げて知らせるという取り決めをした。ときどき木に登ってはロンド様が確認しているが、煙はまだ見えていないらしい。
「今からは地図のない場所に入ることになりますが、大丈夫ですか? ここからは俺も案内できなくなります」
「ああ、大丈夫だよ。今まで通りに少しずつ麓に近い方から少しずつ潰していけば、きっと見つかるはずだから。帰りはとりあえず方角さえ合わせて歩いていれば、見覚えのある場所に出るだろうから、そこからは案内よろしくね」
こんな状況なのに、ロンド様はすごくいい笑顔で告げる。これがSランク冒険者の余裕というものか……俺なんかオーガを見つけないと大変なことになるという責任感と見つかったら見つかったで死ぬかもしれないという恐怖で胃が痛くてしょうがないのに。
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