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第五章 アクスウィル魔法学校編
第75話 アクスウィル魔法学校 其の二
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とうとう待ちに待ったアクスウィル出発の日だ。
話を聞かされたときは、自分ではそうでもないと思っていたが、今日までによく分かった。確実に俺は浮かれている。
修行の休憩時間や寝る前に、ふと魔法学校のことが頭に浮かんで、「待ち遠しい……」などと考えることが何度もあった。
もう自分が浮かれていることを嫌というほど分かってしまったため、開き直って楽しむことにした。
「出発するよー!」
玄関で師匠の声がする。頼んでいた馬車が来たようなので急いで向かう。
聞くところによると、この馬車の費用は魔法学校持ちだそうな。太っ腹だと思ったが、Sランク冒険者なのだから相応の待遇なのかもしれない──一緒に暮らしているとときどき忘れそうになるが。
「コルネくん、忘れものはない? 冒険者証は持った? お金は? あ、あと替えの下着は?」
師匠が、遠出する子供の親みたいになっている。念のため、鞄を開いて全部あることを確認する──よし、全部あるな。昨日から何度も確認しているのだから当然なのだが。
「師匠も大丈夫ですか? 冒険者証ちゃんと持ってます?」
「大丈夫だよ、僕は昨日のうちに全部荷物を詰めてるから。冒険者証だってここに──ほら、ここに……ここに……あれ?」
師匠が鞄の底をまさぐっていると、靴を引っ掛けるようにして、ヘルガさんがドアを開け出てくる。
「ロンド様、冒険者証ならここに。出掛ける前でよかったですね」
「あ、ありがとう。本当にそうだね」
頭を掻きながら、冒険者証を受け取る師匠。前々から思ってたけど、師匠はちょっと抜けたところがあるからな。確認しておいてよかった。
師匠が冒険者証を探しているときに鞄の中身がちらりと見えたのだが、カードゲームが入っていた。きっと旅先でしようと思っているのだろう。
確かに旅行先でやるカードゲームはまた別の興があるが──俺にはあんなことを言っておきながら、師匠も相当浮かれてるな。
しばらく馬車に揺られていると、アクスウィルに着く。途中までは師匠とアクスウィルがどんなところなのか訊いたり、師匠が持ってきたカードゲームをしたりと楽しんでいたのだが、いつの間にか寝てしまっていた。
きっと楽しみで昨日あまり寝られなかったのと、だんだんと慣れてきた馬車の絶妙な振動が相俟ってのことだろう。
アクスウィルの街はとても活気づいていた。ラムハのように商人の街というわけではなさそうだが、店がとても多い。
行き交う人も多いのだが、特に学生が多い。次々と目に入ってくる薄茶色の服はきっと魔法学校の制服なのだろう。
俺のいたミャクー村や、その近くには大きな学校がなかったため、俺と同じくらいの歳の人間がたくさん歩いているのは大変目新しい。
友達と笑顔でペチャクチャ喋っている生徒を見ると、魔法学校はきっといい学校なのだと思う。
魔法学校……一体どんなところなんだろう、楽しみだ。
話を聞かされたときは、自分ではそうでもないと思っていたが、今日までによく分かった。確実に俺は浮かれている。
修行の休憩時間や寝る前に、ふと魔法学校のことが頭に浮かんで、「待ち遠しい……」などと考えることが何度もあった。
もう自分が浮かれていることを嫌というほど分かってしまったため、開き直って楽しむことにした。
「出発するよー!」
玄関で師匠の声がする。頼んでいた馬車が来たようなので急いで向かう。
聞くところによると、この馬車の費用は魔法学校持ちだそうな。太っ腹だと思ったが、Sランク冒険者なのだから相応の待遇なのかもしれない──一緒に暮らしているとときどき忘れそうになるが。
「コルネくん、忘れものはない? 冒険者証は持った? お金は? あ、あと替えの下着は?」
師匠が、遠出する子供の親みたいになっている。念のため、鞄を開いて全部あることを確認する──よし、全部あるな。昨日から何度も確認しているのだから当然なのだが。
「師匠も大丈夫ですか? 冒険者証ちゃんと持ってます?」
「大丈夫だよ、僕は昨日のうちに全部荷物を詰めてるから。冒険者証だってここに──ほら、ここに……ここに……あれ?」
師匠が鞄の底をまさぐっていると、靴を引っ掛けるようにして、ヘルガさんがドアを開け出てくる。
「ロンド様、冒険者証ならここに。出掛ける前でよかったですね」
「あ、ありがとう。本当にそうだね」
頭を掻きながら、冒険者証を受け取る師匠。前々から思ってたけど、師匠はちょっと抜けたところがあるからな。確認しておいてよかった。
師匠が冒険者証を探しているときに鞄の中身がちらりと見えたのだが、カードゲームが入っていた。きっと旅先でしようと思っているのだろう。
確かに旅行先でやるカードゲームはまた別の興があるが──俺にはあんなことを言っておきながら、師匠も相当浮かれてるな。
しばらく馬車に揺られていると、アクスウィルに着く。途中までは師匠とアクスウィルがどんなところなのか訊いたり、師匠が持ってきたカードゲームをしたりと楽しんでいたのだが、いつの間にか寝てしまっていた。
きっと楽しみで昨日あまり寝られなかったのと、だんだんと慣れてきた馬車の絶妙な振動が相俟ってのことだろう。
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行き交う人も多いのだが、特に学生が多い。次々と目に入ってくる薄茶色の服はきっと魔法学校の制服なのだろう。
俺のいたミャクー村や、その近くには大きな学校がなかったため、俺と同じくらいの歳の人間がたくさん歩いているのは大変目新しい。
友達と笑顔でペチャクチャ喋っている生徒を見ると、魔法学校はきっといい学校なのだと思う。
魔法学校……一体どんなところなんだろう、楽しみだ。
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