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第三章 ティオール森林編
閑話2 留守番
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一人厨房に立ち、具材を煮込む。量はいつもと変わらないが、これは氷の魔法で保存しておいて何食かに分けて食べるのだ。
ロンド様がどこかへ出張されることは少なくないが、何日も不在なのは久しぶりだ。最後にこんなに長く家を空けられたのは半年以上前だろうか。
鍋の蓋を取り、中の具材をつついて火が通っているかを確認する──うん、大丈夫だろう。皿に今から食べる分だけを盛り、食堂のテーブルにつくと、途端に寂しさがこみ上げてきた。
二人が出かけてからもう──いや、まだ三日目だ。たった三日しか経っていないはずなのに、寂しいという感情が湧き上がってくる。
ロンド様と二人で暮らしていたときには、こんな気持ちにはならなかったのに。コルネくんがうちに来てから、ここは賑やかになった。
ロンド様と二人だとあまり話すことはなく、あっても仕事の話だったり、事務連絡のようなものだったりだった。きっと私が無表情で何を考えているのか分からないというのも一つの原因だろう。
弟子が一人も出来なかったあの一件からは、ますます会話が少なくなった。ロンド様はずっと部屋にこもって落ち込んでいた。
見かねて私が言った、「たまには外に出た方がいいですよ──ほら、才能のある子が街にいるかもしれませんし」という苦し紛れの言葉がまさか本当になるとは思わなかったが。
コルネくんが来てから、ロンド様は彼の話ばかりするようになった。
「コルネくんがね──」「コルネくんがさぁ──」「──なんだよ! すごいよねコルネくん」……そんな言葉を何度聞いたろうか。コルネくんのことを夢中になって話すロンド様は、まるで何かに夢中になっている少年のようだった。
なんだか彼が来てから、全ての歯車が噛み合っていい方向に回りだしたような──そんな感覚だ。私自身、この生活を快く思っている。ロンド様を立ち直らせてくれたことも含めて、彼には感謝してもしきれない。
だから、今回の調査で何事もなく帰ってきてほしいと願う。彼の才能はロンド様が認めるほどのものだが、まだ開花しきっていない。
現状の強さだけなら、私から見ても弱いほどだ。その才能が開花しきる前に誰かに芽を摘まれてしまわないか、と心配になる。
いや、きっとそれは杞憂だ。なぜならロンド様がついているのだから。
きっと大丈夫だ──そう思い、空の食器を手に席を立つ。食器が立てたカチャリ、という音が、静まり返った道場に響いて少し味気なく感じた。
ロンド様がどこかへ出張されることは少なくないが、何日も不在なのは久しぶりだ。最後にこんなに長く家を空けられたのは半年以上前だろうか。
鍋の蓋を取り、中の具材をつついて火が通っているかを確認する──うん、大丈夫だろう。皿に今から食べる分だけを盛り、食堂のテーブルにつくと、途端に寂しさがこみ上げてきた。
二人が出かけてからもう──いや、まだ三日目だ。たった三日しか経っていないはずなのに、寂しいという感情が湧き上がってくる。
ロンド様と二人で暮らしていたときには、こんな気持ちにはならなかったのに。コルネくんがうちに来てから、ここは賑やかになった。
ロンド様と二人だとあまり話すことはなく、あっても仕事の話だったり、事務連絡のようなものだったりだった。きっと私が無表情で何を考えているのか分からないというのも一つの原因だろう。
弟子が一人も出来なかったあの一件からは、ますます会話が少なくなった。ロンド様はずっと部屋にこもって落ち込んでいた。
見かねて私が言った、「たまには外に出た方がいいですよ──ほら、才能のある子が街にいるかもしれませんし」という苦し紛れの言葉がまさか本当になるとは思わなかったが。
コルネくんが来てから、ロンド様は彼の話ばかりするようになった。
「コルネくんがね──」「コルネくんがさぁ──」「──なんだよ! すごいよねコルネくん」……そんな言葉を何度聞いたろうか。コルネくんのことを夢中になって話すロンド様は、まるで何かに夢中になっている少年のようだった。
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いや、きっとそれは杞憂だ。なぜならロンド様がついているのだから。
きっと大丈夫だ──そう思い、空の食器を手に席を立つ。食器が立てたカチャリ、という音が、静まり返った道場に響いて少し味気なく感じた。
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