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第三章 ティオール森林編
第50話 告白
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コルネくんが話しかけてくれない。
こんなことは今までなかった。鍛冶屋への道中でも無言の時間はあったが、今のようにまるで話すのを躊躇っているようではなかった。
急にコルネくんがよそよそしくなった理由──心当たりは一つしかない。きっとあのことがバレたのだ。
バレたとして一体どこから知ったのか。可能性は二つ。
一つは昨晩、コルネくんは起きていて、一部始終を見ていた。もう一つはカモフラージュした血の染みと宿屋の主人の不在から推測した。
臭いや色を誤魔化すためにお酒を使ったが、扉の前にお酒をこぼしたというのは無理があったと思う。普通はそんな場所で飲まないだろう。やはり後者かもしれないな。
バレているとしてコルネくんは──僕に幻滅している?
染みから推測しているとすると、コルネくんは僕がドアの前で宿屋の主人を殺したと勘違いしている可能性が高い。まあ似たようなことはしているのだが。
主人が僕たちを殺そうとしたことを知らないわけだから、コルネくん目線だと僕は「宿屋がショボかっただけでその主人を殺した最低な人間」だと思われているということか?
「師匠がそんなクズだとは知りませんでした」「俺、もう師匠の下にいたくありません」「人として最低ですね」──そう言い放つコルネくんが脳裏に次々に浮かんで消えない。
本当にコルネくんにそんなことを言われたら立ち直れる自信がない。
明日、絶対に誤解を解かなければ。
* * *
「起きて、コルネくん」
体が揺さぶられているのを感じる。包み込むようにしっかりと掴まれている感覚、これはヘルガさんじゃないな……そもそもヘルガさんは必ずフライパンを叩くじゃないか。
「もうちょっと……もうちょっとだけ……」
「コルネくん、もう日が昇ってだいぶ経ったよ。ほら、起きて」
うーん、道場で寝ているにしてはベッドが硬くて聞こえる鳴き声が多いような──たしか昨日は野営をして……ということはここは森の中!
がばっと起き上がると師匠が驚いて飛びのいた。
「お、おはよう、コルネくん。話したいことがあるんだけど」
「俺が寝ていた間にそんなことが……」
一昨日、ベッド硬いなあなどと思いながらのうのうと寝ている間に殺されそうになっていたなんて…………きっと、師匠がいなかったら本当に殺されていただろう。
師匠がついていてくれてよかった……それと今度から宿屋では危機感を持とうと心に誓う。
「じゃああの染みはもしかしなくても血……だったってことですよね」
「えっ、コルネくん気付いてたんじゃないの?」
臭いが完全によくある果実酒だったし、色もそうだったから疑いもしなかった。場所は不自然ではあったけども、酒癖が悪いんだと納得してしまったし。
「じゃあどこで気付いたんだい?」
「昨日の師匠、なんか雰囲気がとげとげしているというか張りつめるような空気だったというか……いつもと違ったので何かあったんだと……」
「ああ、昨日はずっと報復に来るかもしれないと思ってあたりを警戒していたからかな。それがとげとげしてるように映ったのかもしれないね」
コルネくんには気付かれないようにしてたんだけど気付かれていたとはね、と呟く師匠。
昨日感じた違和感はやはりそれだったんだろうか──何はともあれ、師匠がああなっていた理由が分かってすっきりした。
これからの道のりは昨日と違って楽しく──ひたすら歩き続けるのがそんなに楽しくなるかなぁ。
こんなことは今までなかった。鍛冶屋への道中でも無言の時間はあったが、今のようにまるで話すのを躊躇っているようではなかった。
急にコルネくんがよそよそしくなった理由──心当たりは一つしかない。きっとあのことがバレたのだ。
バレたとして一体どこから知ったのか。可能性は二つ。
一つは昨晩、コルネくんは起きていて、一部始終を見ていた。もう一つはカモフラージュした血の染みと宿屋の主人の不在から推測した。
臭いや色を誤魔化すためにお酒を使ったが、扉の前にお酒をこぼしたというのは無理があったと思う。普通はそんな場所で飲まないだろう。やはり後者かもしれないな。
バレているとしてコルネくんは──僕に幻滅している?
染みから推測しているとすると、コルネくんは僕がドアの前で宿屋の主人を殺したと勘違いしている可能性が高い。まあ似たようなことはしているのだが。
主人が僕たちを殺そうとしたことを知らないわけだから、コルネくん目線だと僕は「宿屋がショボかっただけでその主人を殺した最低な人間」だと思われているということか?
「師匠がそんなクズだとは知りませんでした」「俺、もう師匠の下にいたくありません」「人として最低ですね」──そう言い放つコルネくんが脳裏に次々に浮かんで消えない。
本当にコルネくんにそんなことを言われたら立ち直れる自信がない。
明日、絶対に誤解を解かなければ。
* * *
「起きて、コルネくん」
体が揺さぶられているのを感じる。包み込むようにしっかりと掴まれている感覚、これはヘルガさんじゃないな……そもそもヘルガさんは必ずフライパンを叩くじゃないか。
「もうちょっと……もうちょっとだけ……」
「コルネくん、もう日が昇ってだいぶ経ったよ。ほら、起きて」
うーん、道場で寝ているにしてはベッドが硬くて聞こえる鳴き声が多いような──たしか昨日は野営をして……ということはここは森の中!
がばっと起き上がると師匠が驚いて飛びのいた。
「お、おはよう、コルネくん。話したいことがあるんだけど」
「俺が寝ていた間にそんなことが……」
一昨日、ベッド硬いなあなどと思いながらのうのうと寝ている間に殺されそうになっていたなんて…………きっと、師匠がいなかったら本当に殺されていただろう。
師匠がついていてくれてよかった……それと今度から宿屋では危機感を持とうと心に誓う。
「じゃああの染みはもしかしなくても血……だったってことですよね」
「えっ、コルネくん気付いてたんじゃないの?」
臭いが完全によくある果実酒だったし、色もそうだったから疑いもしなかった。場所は不自然ではあったけども、酒癖が悪いんだと納得してしまったし。
「じゃあどこで気付いたんだい?」
「昨日の師匠、なんか雰囲気がとげとげしているというか張りつめるような空気だったというか……いつもと違ったので何かあったんだと……」
「ああ、昨日はずっと報復に来るかもしれないと思ってあたりを警戒していたからかな。それがとげとげしてるように映ったのかもしれないね」
コルネくんには気付かれないようにしてたんだけど気付かれていたとはね、と呟く師匠。
昨日感じた違和感はやはりそれだったんだろうか──何はともあれ、師匠がああなっていた理由が分かってすっきりした。
これからの道のりは昨日と違って楽しく──ひたすら歩き続けるのがそんなに楽しくなるかなぁ。
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